レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2013年07月15日
- 登録日時
- 2013/07/15 16:53
- 更新日時
- 2014/11/14 11:16
- 管理番号
- 国音2013-0014
- 質問
-
唱歌「うみ(海)」 歌い出し=「うみは ひろいな おおきいな…」を即興演奏の授業で使うので、
元の楽譜を探したい。
- 回答
-
◎当館HPの「童謡・唱歌索引」の歌詞、インチピット→収録資料(当館OPAC)から、
C27-235「ウタノホン. 上 / 文部省〔編〕. - 日本学舎, 1977.」を検出
⇒昭和16年に発行された文部省著作「ウタノホン(上)」のリプリント。
ト長調の音程であるが、調号(#)はなし。○日外「音楽教科書掲載作品10000」X-087/Uから
「新編しょうがくせいのおんがく 1」(音楽之友社 1989)
→当館OPACから
C58-024「新編しょうがくせいのおんがく 1」
C58-096「同 教師用指導書」
⇒文部省唱歌 林柳波作詞 井上武士作曲。 ト長調。 教師用指導書p.61には、「昭和16年に
発行された文部省著作『ウタノホン(上) 』に掲載されている曲で、子どもたちに広く親しまれてい
る名曲である」と記されている<探し方の注意点>
・唱歌や童謡は、教科書に掲載されていることが多く、曲名からOPACでは探せないことが多い。
・次のツールを収録範囲に注意しながら、併用して探すことが望ましい。①「唱歌索引」(明治編)X-080/S 及び「唱歌教材目録」(明治編)X-080/S
収録範囲:明治期(1868-1912)に出版された唱歌本
特徴:曲名と歌詞索引、歌い出しの旋律番号(最初の3音のみ)あり、旋律索引なし②「童謡・唱歌索引」(当館HP)
収録範囲:大正期~昭和前期(1912-1945)
特徴:曲名、作詞・作曲者、歌詞、ヨミ、インチピット、収録資料請求記号から探せる
*インチピットのドレミ…は移動ド唱法③「音楽教科書掲載作品10000」(日外アソシエーツ)X-087/U
収録範囲:1949(昭和24年)~2009(平成21年)
特徴:作品の作詞者、作曲者、出典とされる唱歌集名などを見出しとし、作品名索引を付す。ただし、
歌詞やインチピットから探せない④「童謡唱歌名曲全集内容総覧」X080/D
収録範囲:明治初年代から昭和初年代に至る50年間に発表され、歌われた童謡唱歌
特徴:「童謡唱歌名曲全集」全8巻(京文社 1931-1932)に収録されている1412曲の総覧と曲名索引及び
人名索引
⇒原則として、②に含まれている
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
-
- 声楽 (767)
- 参考資料
- キーワード
-
- 唱歌
- 林柳波作詞 井上武士作曲:海
- KCMLOPAC
- 照会先
- 寄与者
- 備考
-
◆本事例の楽曲「うみ」の他に唱歌には、"松原遠く消ゆるところ "と歌い出す「海」がある。ネット等では、
「うみ」で検索すると本事例の楽曲が、「海」で検索すると"松原遠く消ゆるところ "と歌い出す楽曲が
概ねヒットするが、楽譜記載方法を尊重する目録記述方法をとる図書館、情報機関のOPACでは、
必ずしも、決定的な検索語とはなりえないので、注意する必要がある。[確定要素は、テキスト(歌い出し)、
インチピット等であるが、一般的なOPACでは、そこまでの情報は提供されない。作詞者、作曲者も確定要素
となり、それなりに確定度も高いのだが、文部省唱歌の作者(作詞者、作曲者)の特定については、別の問題
がある点も知っておく必要がある。
◆ウキペディア「文部省唱歌」(2013.8.1現在)の記述
「文部省唱歌(もんぶしょうしょうか)とは、明治から昭和にかけて文部省が編纂した、尋常小学校、高等小学校、
国民学校及び学制改革後の小学校の唱歌、芸能科音楽の教科書に掲載された楽曲の総称である。文部省が
定めた正式名称ではない。」
「1910年(明治43年)の『尋常小学読本唱歌』から1944年(昭和19年)の『高等科音楽一』までの教科書に掲載
された楽曲。1910年代から尋常小学校で教えられた。なお、1900年代までの翻訳唱歌は「文部省唱歌」に含ま
れない。」
「そもそも合議制で編纂されたため、個人の著作物とするのは無理がある。時代の変化にともない、歌詞が変更
されることも多かった。検定教科書の時代になって著作者を明らかにしなければならなくなったが、その作業が学
問的に行われたことはなく、著作者が判明しても根拠が弱いものも少なくない。」
等は、文部省唱歌情報提供の際の重要な見解として踏まえておく必要がある。
◆本事例の作詞者、作曲者についても、林柳波作詞 井上武士作曲と記述する資料があるので、そのまま書いた
が、本来、作者確定のために、まずは本来は自筆稿、自筆譜までの事実調査の必要がある。その上で、更に確
かにその「個人の著作物」として特定して良いのか?等の研究や論議がなされる必要がある。その点から言うと
本件については、そうした原典研究、論議は尽くされていないと観察している。従って、真に確定されてはいない
という認識をもっているのだが、現実的検索手段[確定要素]の一つとして、当該資料に記載された林柳波作詞、
井上武士作曲も利用できるので、現時点で、便宜的に利用しているに過ぎない。
- 調査種別
- 所蔵調査
- 内容種別
- 作品
- 質問者区分
- 学生
- 登録番号
- 1000133756