レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2012年12月24日
- 登録日時
- 2012/12/24 13:12
- 更新日時
- 2013/05/24 15:05
- 管理番号
- 長野市立長野-12-025
- 質問
-
未解決
加藤楸邨の句
「猛蘭の花に名刺はかへされ来」
にでてくる「猛蘭」がどんな蘭なのか、写真があればみたい。
- 回答
-
蘭に関する資料をあたってみましたが、掲載されていませんでした。
ひとつの解釈としては、「猛」という字で「蘭」を形容しているのではということも考えられます。
一番はこの句に対する評釈があればいいのですが、代表的な句ではないようなので、見つかりませんでした。
- 回答プロセス
-
この句は、「野哭」に掲載されている句。
『加藤楸邨全集 第2巻』
の季語検索によると、秋の「蘭」というところで該当の句を指していたので、蘭の花であることは間違いなさそう。
植物の資料をあたる。
『植物3.2万名前大辞典』(日外アソシエーツ 2008)
『朝日百科植物の世界 1~15』(朝日新聞社 1997)
『朝日百科 世界の植物 1~15』(朝日新聞社 1979)
『園芸植物 1、2 (世界文化生物大図鑑)』(世界文化社 1991)
『原色植物検索図鑑』(北隆館 1979)
『花彙 上・下』(八坂書房 1977)
『原色日本春蘭銘鑑』(誠文堂新光社 1985)
『日本のラン』(日本放送出版協会 1994)
『日本の野生ラン』(主婦と生活社 1979)
などを見るも猛蘭の記載なし。
『原色日本春蘭銘鑑』には「猛虎」「猛彪」という言葉はあった。
また、季語の観点からあたった。
『季寄せ‐草木花 秋 上・下』(朝日新聞社 1979)
『俳文学大辞典』(角川書店 1995)
をみるも、猛蘭については記載なし。
インターネットで「加藤楸邨」と検索すると、「加藤楸邨記念館」というフレーズにヒットする。
検索していった中で、小淵沢に記念館があったらしいが、
現在は閉館しており、さいたま文学館に資料は引きとられたとの情報あり。
http://mitoho.com/yamanashi/tennyo-nansei/60-kato-shuson.htm <最終確認:2013年1月20日>
さいたま文学館に今までの経緯をお話しし、お持ちの資料で何かわからないか依頼する。
さいたま文学館より回答。
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・評釈があればと、当時の雑誌で「野哭」についての解説が掲載されているものをあたったが、この句については評釈がなかった。
・楸邨が関わっていた『図説俳句大歳時記』(昭和39年)を見るが、季語の「蘭」の部分には「小蘭(こらん)」「秋の蘭」「漳蘭(めらん)」「建蘭(けんらん)」などあるのみだった。
ひとつの解釈としては、「猛蘭」は蘭の種類ではなく、「猛」で蘭を形容しているのではないだとうかというもの。
たとえば蘭が開ききった状態のような…。
当時昭和22年ごろで、終戦のころ。
戦没者に対して悲しみを表す句が多かった時期なので、「猛蘭」とすることで戦没者に対し何か表すものもあったのでは…。
何にせよ、加藤楸邨の代表的な句ではないので、評釈が出てこなかった。
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以上を質問者に回答。
- 事前調査事項
- NDC
-
- 詩歌 (911)
- 参考資料
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- 『加藤楸邨全集 第2巻』加藤 楸邨/著 講談社 1980.03 <918カ2> (p136)
- キーワード
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- 加藤楸邨
- 照会先
- 寄与者
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- さいたま文学館(http://www.saitama-bungakukan.org/)
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000117447