レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2023年05月01日
- 登録日時
- 2023/12/07 12:16
- 更新日時
- 2023/12/07 12:16
- 管理番号
- 市川20230501-01
- 質問
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解決
CDブック『現代思想について』(小林秀雄/講演 新潮社 2004)で、小林秀雄がユングに関して「あるアフリカの山地で土人の風俗なんか、こう、いろいろと調べていたらね、老人に会ったというんです。いかにもこれは老人だという老人に会ったというんだ。」と述べているが、ここで触れられているエピソードが掲載されている著書を知りたい。
- 回答
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小林秀雄が語る表現そのままの箇所は見つからなかった。アフリカでの体験と老人の描写としては、『ユング自伝2 』(A.ヤッフェ/編 河合隼雄[ほか]/訳 みすず書房 1973)p.93にアフリカ旅行についての描写があり、「その医術師は堂々とした人物というにはほど遠く、ただいくらか涙もろい老紳士にすぎなかった。彼は基盤を侵食され、時代おくれとなり、復旧の可能性もない世界の、次第に拡大して行く崩壊を、生き生きと体現していた。」とある。また、『ユング著作集3』(江野専次郎/訳 日本教文社 1978)p.233には、老齢や死に関する記述に「私は以前、東アフリカの未開種族を訪れたが、白髪を貯え、六十の坂を越したかと思われる人は、ごく少なかった。しかし、彼らはほんとうに年をとっていた。しかも、むかしから年をとっていたかのようであった。彼らは、これほどまで完全に生きて、老齢に達したのだ。」とある。
アフリカ滞在の記述がある資料は、ほかに、『ユングの生涯』(河合隼雄/著 第三文明社 1994)、『評伝ユング1 その生涯と業績』(バーバラ・ハナー/著 後藤佳珠・鳥山平三/訳 人文書院 1987)、『ユング著作集2』(高橋義孝・江野専次郎/訳 日本教文社 1977)、『ユング伝』(ゲルハルト・ヴェーア/著 村本詔司/訳 創元社 1994)などが挙げられる。
老齢に関連する資料としては、『ユング名言集』(フランツ・アルト/編 金森誠也/訳 PHP研究所 2011)に「幼児的な青年、若者ぶる老人」、「青春は去り老残の身となる」の名言があるほか、『無意識の心理』(C.G.ユング/著 高橋義孝/訳 人文書院 2017)p.121~に年を取ることへの考察がある。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 臨床心理学.精神分析学 (146 10版)
- 参考資料
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介 所蔵調査
- 内容種別
- 人物
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000343065