「コミュニティ」を「一定の地域に居住し、所属意識を持つ人々の集団。共同体」(『広辞苑』第7版(新村出編 岩波書店 2018)より)と捉えて調査をはじめる。
1 参考図書にあたる。
『日本史大事典』7 索引(平凡社 1994)の「五十音索引」で「学習」を引くと「学習塾」3-851上(私塾)に導かれる。
『日本史大事典』3 こ~し(平凡社 1993)で「私塾」を確認する。
p.850下段「私塾」で教育対象が成年であること、共同学習であること、学習内容や主な塾名がわかる。
【資料1】
p.460~「私塾と遊学」に「門弟の名前や入門年月日(中略)門人帳が作成された私塾が多く」とあり、「私塾」は質問内容には沿わないことがわかる。
p.470~「踊り・音曲 座敷の楽しみ」に「(前略)同好の士によって身分の別を超えてサークルが結成されさまざまな活動を行った。なかでも、江戸では狂歌、大坂では雑俳によって結ばれた連・社中が目を引く(後略)」の記述があり。
2 「連」「社中」について調べる
(1)参考図書にあたる
『日本生活史辞典』(木村茂光編 吉川弘文館 2016)の索引から「連」(団体)は「朝顔」の項に導かれる。p.8「連と呼ばれる愛好家集団」という記述あり。索引に「社中」はなかった。
『江戸学事典』(西山松之助編 弘文堂 1984)p.357「千社札」の項から「連」という天保年間に納札交換会の好事家グループが生まれたことがわかる。p.489「狂歌摺物」の項に「連とか側と称する狂歌人グループ」とあり。p.534「茶番」の項には茶番師による連の組織が寛政年間につくられるようになったことがわかる。索引に「社中」なし。
(2)書架で直接資料を見る
『お江戸風流さんぽ道』(杉浦日向子編著 世界文化社 1998)p.67「喋りを楽しむ集まり続々誕生」に「(前略)言葉遊びは、湯屋の二階、髪結床の土間、私邸や料亭などで開かれる「~会」や「~連」などと呼ばれる定例の集まりの中で(後略)」とあり。
3 WEBで調べる
Googleで<江戸時代/連>を検索。
田中優子氏の講演録PDF「家から連へ」公益財団法人花王芸術・科学財団(
https://www.kao-foundation.or.jp/wp/wp-content/uploads/2019/02/family03_report.pdf 最終アクセス日2023/2/1)がヒット。
この講演は公開シンポジウム「これからの家族を考える」シリーズ第3回で行われたもので「連」についての記述がある。また連の特質を10項目列記してあり、この特質が質問内容と一致する。
この他、田中優子氏が語る「江戸時代にもアバターが存在していた?かつての風習から学ぶ「生きやすさ」とは」ライフハッカー・ジャパン(
https://www.lifehacker.jp/article/mugendai-tanakayuko/最終アクセス日2023/2/1)もヒット。
「江戸時代の「サロン」ともいうべき「連」の存在。これは(中略)勉強会で庶民や武士など身分を超えて集まる組織だったそう」「参加者それぞれが本名とは違う名前を名乗る」といった記述があり。
4 田中優子氏の著作を図書館システムで検索する
【資料2】p.153~160「「座」と「講」と「連」と「社」」、p.160~168「貴族も武士も町人も歌に遊ぶ」に「連」についての記述あり。
【資料3】p.218~257「連は楽しいからみ合い」に「連」の意味、連の歴史について記載あり。
『江戸とアバター』(池上英子著 朝日新聞出版 2020)第3章「江戸のダイバーシティ」の中に「連」などについての記述あり。
記述の見あたらなかった資料
『国史大事典』15下索引事項(国史大事典編集委員会 吉川弘文館 1997)
『日本問答』(田中優子著 2017 岩波書店)
『グローバリゼーションの中の江戸』(田中優子著 岩波書店 2012)
『江戸への新視点』(高階秀爾編 新書館 2006)