レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2011/01/19
- 登録日時
- 2011/08/19 02:00
- 更新日時
- 2011/08/19 16:01
- 管理番号
- 横浜市中央1445
- 質問
-
未解決
『外郎売』の口上について、下記の2冊で文言が異なるのはなぜか知りたい。
(1)『声がよくなる本“ヴォイス博士”の方法 1日5分で歌と声に自信がつく!(21世紀ブックス)』
(米山文明/著 主婦と生活社 1977年、1991年(改訂版))
(2)『はじめての朗読レッスン』(川和孝/著 新水社 2006年)
- 回答
-
以下のとおり、回答いたします。
演劇、歌舞伎、大衆演芸関係の参考図書では、テキストの違いについてまでは確認できませんでした。
参考に下記の資料をご紹介いたします。
1 『日本古典文学大辞典 第1巻 あ-かほ』
日本古典文学大辞典編集委員会/編集 岩波書店 1983年
p.252-253に項目があり、
【伝承】の記述に、
「天保三年(一八三二年)三月、江戸市村座所演以来の『助六所縁江戸桜(すけろくゆかりの
えどざくら)』に挿入されたものが今日に伝えられた。」
とあります(原文より)。
2 『日本古典文学大系 98 歌舞伎十八番集』岩波書店 1965年
「収録作品以外の十八番」としてp.17に
「十一代目が海老蔵襲名披露の興行の時、新たに一幕物として書き下ろされている。」
とあります。
3 『ことば遊び(講談社学術文庫 1972)』鈴木棠三/〔著〕(講談社)年
「ういろう売のせりふ」という章に舞台化の経緯について記述あります。
4 十返舎一九の『続膝栗毛』八上(文化十三年〔一八一六〕板)
が、作中にういろう売りの光景を取り入れた例として別のパターンを引用しています。
5 成田屋 市川團十郎・市川海老蔵 公式Webサイト
http://www.naritaya.jp/
歌舞伎十八番 外郎売(ういろううり) - 成田屋 市川團十郎・市川海老蔵 公式Webサイト
http://www.naritaya.jp/naritaya/18/12.php
曾我十郎(五郎にすることもある)が小田原の「透頂香<とうちんこう>」(外郎と通称する)という薬を
売り歩く商人の扮装で現れ、この中国伝来の妙薬の由来や効能を、すらすらとよどみなく述べ
立てる。雄弁術を聞かせるのが眼目の役と演技。大正11年(1922)9月、市川三升が復活上演
した作(平山晋吉脚本)と、昭和55年十二代目團十郎が復活した作(野口達二脚本)とがあり、
現在は後者が上演されています。
初演年月 享保3年(1718)1月
原題名 若緑勢曾我
わかみどりいきおいそが
初演者 二代目市川團十郎
初演劇場 森田座 (江戸)
テキスト :服部幸雄著『市川團十郎代々』(講談社刊)より
とあり、
『市川團十郎代々』(服部幸雄/著 講談社 2002年)でも記述を確認できますが、
それぞれのテキストの異同は確認できません。
6 『市川團十郎研究文献集成』中山幹雄/編著(高文堂出版社)2002年
p.120-124解説と引用があります。
p.208-209
歌舞伎十八番文献目録「外郎売」
7 『評釈江戸文学叢書 第6巻 歌舞伎名作集』(講談社)1970年
p.934-935
「『外郎賣』のせりふ」
「この『外郎賣』のせりふは、享保八年春中村座に於て三代目松本幸四郎(後の五代目市川
團十郎)が演じた際のもの。『歌舞伎年代記』には享保三年二代目團十郎所演のものが轉録
されてゐるが、大差はない。」(一部異体字で引用)
とあります。
前者のテキストかもしれません。
8 『花江都歌舞妓年代記 上(覆刻日本古典全集 芸能・風俗)』(現代思潮社)1978年
p.68-73
初演の記録に相当すると考えられます。
後者のテキストかもしれません。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
-
- 歌舞伎 (774 8版)
- 参考資料
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000090213