レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2023年5月23日
- 登録日時
- 2023/11/29 18:42
- 更新日時
- 2024/02/05 14:45
- 管理番号
- 中央-1-0021684
- 質問
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解決
相模国の国府祭などで歌われる甚句の歌詞について
国府祭や櫛魂まつりで歌われている甚句で、御神輿を担いでいる際に歌われているようです。
甚句はいくつか種類があるようなのですが、特に下記のようなことが含まれる歌詞を知りたいと思っています。
・国府祭で行われている座問答を示すもの
・国府祭で集まる六社の特徴が含まれているもの
・(もしあれば)上記と共に歌われている甚句の歌詞
実際に国府祭や櫛魂まつりで耳にしたのですが、歌詞がうまく聞き取れず、これらの歌詞を知りたいです。
- 回答
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さいたま市で提供できる資料では、質問に合致するものが無かったため、回答プロセスの〇がついたものを参考に紹介した。
また、神奈川県立図書館から得た参考になりそうな資料を伝えた。
- 回答プロセス
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・参考書架の所蔵資料で“国府祭”を調べる。
△『民俗風俗図版レファレンス事典 祭礼・年中行事篇』日外アソシエーツ株式会社/編 日外アソシエーツ 2015年
p89 国府祭記載あり。記載資料を調べる。
〇『祭礼行事 神奈川県』高橋秀雄/編 須藤功/編 桜楓社 1991年
p68 座問答の儀についての説明あり。歌われている甚句についての記載はなし。
×『日本祭礼地図 1』国土地理協会 1976年
p142 時間ごとに何が行われるかの記載のみ。
×『日本民俗芸能事典』日本ナショナル・トラスト/編 第一法規 1976年 p292
×『日本の祭り文化事典』星野紘/監修 芳賀日出男/監修 全日本郷土芸能協会/編集 東京書籍 2006年 p298
2冊とも国府祭りの行事次第について詳細な記載があるが、歌われている甚句についての記載なし。
・所蔵資料を“国府祭”で検索する。
〇『日本祭祀研究集成 第3巻』名著出版 1979年
p389-421「中郡大磯町国府の国府祭」
p406-407に座問答の解説あり。詳しい手順が分かるが、甚句については記載なし。
・国立国会図書館デジタルコレクションで神奈川の甚句を調べる。
〇『茅ケ崎市史 5 (概説編)』茅ケ崎市/編 茅ヶ崎市 1982年
「https://dl.ndl.go.jp/pid/9522796(2023.11.29最終確認)」
111コマ~112コマ目(p208-210)に「茅ヶ崎甚句」を掲載
〇『民俗音楽研究』(18) 日本民俗音楽学会 1995.9
「https://dl.ndl.go.jp/pid/4427628(2023.11.29最終確認)」
9-14コマ目(p14-24)「別荘地文化の中の民衆音楽-湘南サウンドの背景となった民間伝承-」内に茅ヶ崎甚句の歌詞あり。
・国立国会図書館れきおんを検索する。
“甚句”で検索すると245件ヒットするが、神奈川県の甚句は「鎌倉節 三崎甚句」のみ。
・神奈川県立図書館に協力レファレンスを依頼。以下その調査結果。
〇『国府祭 相模国府祭調査報告書』 大磯町教育委員会 2020 <K38.61/37 貸出不可>
「第一章 総説」、「第二章 国府祭を支える地域と人々」、「第三章 国府祭の記録」で構成されている。
p119~404「第二章 国府祭を支える地域と人々」では、六社各社と国府祭について、鷲の舞についてそれぞれ立節されている。
p191~240「第二章 第三節 川匂神社と国府祭」中、「三 国府祭の現状と変遷(二)国府祭の実際 (5)大矢場から川勾神社まで」
p199 国府祭でのものではないが、川勾神社の十月の例大祭で歌われる甚句について、「〔納めの甚句(お礼の甚句)〕」と「〔宮入の甚句〕」の歌詞が記載されている。
p206 馬場公園交差点でのハナ合わせのところで歌われる甚句の歌詞が記載されている。
p210 川勾神社に到着した後に歌われる「〔納めの甚句〕」の歌詞が掲載されている。
p333~368「第六節 平塚八幡宮と国府祭」の、「三 国府祭の現状と変遷 (三)国府祭の実際 (3)神揃山から大矢場まで」
p353~354に「神輿渡御の変遷」が立項されており、「甚句はレパートリーが少なくて、「一で相州一之宮、二で日光の東照宮、三で讃岐の金毘羅さん、四は四之宮前鳥さん」という数え歌など二、三曲しかなく、好きな人が酔っ払って唄う程度だったという。」との記述がある。
上記については、下記資料にも同様の記載がある。
〇『大磯町文化財調査報告書 第50集 相模国府祭調査報告書 ダイジェスト版』大磯町教育委員会 2021 <K06.61/1/50 貸出不可>
p110~111 「〔甚句〕」川勾神社の馬場公園交差点前のハナ合わせ時
p170「神輿渡御の変遷」の項 平塚八幡宮
〇『ふるさと再発見 no.3』 二宮町文化財保護委員会編 二宮町教育委員会 2000 <K291.61/105/3 貸出不可>
p1~14 宮戸理恵「国府祭と川匂神社の付祭り 塩海村の唐人おどりについて」が掲載あり。国府祭のために各村々からくり出す山車や付祭りがあり、塩海村の「唐人おどり」は、東海道を通行する朝鮮通信使の行列からその服装や所作を真似するものとある。甚句についての記載はなし。
〇『寒川町史 9 別編 神社』 寒川町 1994 <K21.51/7/9 貸出不可>
p205~221「第一部 本文編 第五章 浜降祭と国府祭」
p525~544「第二部 史料編 第五章 浜降祭と国府祭」が、それぞれ立章されているが、甚句についての記載はなし。
〇『寒川町史 12 別編 民俗』 寒川町 1991 <K21.51/7/12 貸出不可>
「第二部 生活のリズム 第三章 世間との交渉 第二節 寒川神社の祭礼」
p484~491「5 国府祭」
p491~496「6 浜降祭」がそれぞれ立項されているが、甚句についての記載はなし。
〇『平塚市史 12 別編民俗』 平塚市 1993 <K21.62/7/12 貸出不可>
p680~683「第九章 社寺と信仰」の中に「三 国府マチ」が立項されている。甚句についての記載はなし。
×『相模国府祭の研究』湯口英厳 1954 <K38.61/1 貸出不可>
p17~18「六 現在の祭式次第」に昭和29年6月21日時点での次第についての記載のみ。
〇『神奈川県民謡緊急調査報告書』神奈川県教育委員会文化財保護課 神奈川県教育委員会<K95/6 貸出不可>
昭和54、55年度にわたり実施された、神奈川県下に伝承されている古民謡の悉皆調査の結果報告書。
「第四章 調査票」に民謡の名称、伝承地、伝承者、歌の種別、歌われる機会、歌詞、備考の各欄が設けられている。
p111~154に「二 儀式唄・祝唄(祭唄)」が立項されているが、国府祭で歌われている旨の記述がある民謡はなかった。
※参考に「国府祭」が行われる市町では、下記の掲載あり(項目は抜粋)。
p.136「名称:祇園囃子 伝承地:平塚市馬入 歌われる機会:馬入神明神社の祭典日に屋台を引く時」
p.152「名称:舟祭り唄(権現くどき) 伝承地:中郡大磯町大磯 歌われる機会:7月の第3日曜日の祭礼の際(隔年)」
p.153「名称:やんな音頭 伝承地:中郡大磯町大磯 歌われる機会:1月14日の大磯の左義長の際」
p.154「名称:二宮船唄 伝承地:中郡二宮町茶屋 歌われる機会:仕事のあとなど」
p185~239「娯楽唄(座興唄)」甚句についてはいくつか掲載があるが、国府祭で歌われているという記述はなかった。
「甚句」と名称についているもので、「国府祭」が行われる市町のものは下記のとおりだが、国府祭に参加する神社のものではない(項目は抜粋)。
p220「名称:相州須賀甚句(新地通り、平塚名代) 伝承地:平塚市須賀 伝承者:三島神社神輿保存会 歌われる機会:沖あがり、大漁祝、真祝などの祝宴の時
p237「名称:大磯甚句(坂田山) 伝承地:中郡大磯町大磯 歌われる機会:みこしの渡御の際」
〇『大磯町史 8 別編 民俗』大磯町 2003 <K21.61/24/8 貸出不可>
p597-608「第八章 祭りと民俗芸能 第一節 祭りと行事」の中に「一 国府祭」が立項されているが、甚句についての記載はなし。
〇『二宮町史 別編 寺社・金石文』 二宮町 1994 <K21.61/10/3-1 貸出不可>
p285~314「七 川匂神社 神事・祭礼」の中に「(三)国府祭」が立項されているが、甚句についての記載なし。
〇『伊勢原市史 別編 社寺』 伊勢原市史編集委員会編 伊勢原市 1999 <K21.64/7/3-2 貸出不可>
p262~291「五 民衆の信仰と社寺」の中に「(三)祭礼-国府祭-」が立項されているが、甚句についての記載なし。
〇『伊勢原市史 別編 民俗』 伊勢原市史編集委員会編 伊勢原市 1997 <K21.64/7/3-1 貸出不可>
p381~382「Ⅰ部 第六章 信仰生活の諸相 第二節 神社の組織と祭り 3 三ノ宮比々多神社の祭り」の中に「比々多神社と国府祭」が立項されているが、甚句についての記載はなし。
×『県央史談 第3~10号』 県央史談会 1964 <K20.92/1/3-10 貸出不可>に所収されている以下の論文には、甚句についての記載はなし。
永井参治「相模国府祭 上」『県央史談 第4号』 県央史談会 1965 p.1~5
永井参治「相模国府祭 下」『県央史談 第8号』 県央史談会 1970 p.22
〇『神奈川県の祭り・行事―神奈川県祭り・行事調査報告書―』神奈川県教育委員会 2009 <K38/232 貸出不可>
「五 祭り・行事基礎調査一覧」に、「地区番号」、「テーマ」、「祭り・行事の名称」、「実施日」、「中心となる場所」「概要」の一覧あり。
p211(40)の「大磯町に、「108 節供 国府祭(こうのまち)(御大祭・御用祭・天下祭・六所祭・五月祭・端午祭)」として、国府祭の概要等の掲載があるが、甚句についての記載はなし。櫛魂まつりについては項目自体なし。
〇島田潔「相模国国府祭の持続と変化に関する予備的考察―祭認識の変化を中心に―」『國學院大學日本文化研究所紀要 第八十輯』國學院大學日本文化研究所 1997 p59~101 <Z302/546 貸出不可>
現在の国府祭の次第、祭の近世から近代への変化などについて書かれた論文。甚句についての記述はなし。
〇『神奈川県史研究 第46-50号』神奈川県史編集委員会編 神奈川県県民部県史編集室 1981<K21/18/46-50 貸出不可>
第49号(昭和57年11月)に、中村二郎「雑談国府祭」(p.26-33)が掲載されており、参加する大社、祭の概要や座問答の様子などが記載されているが、甚句についての記述はなし。
- 事前調査事項
- NDC
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- 風俗史.民俗誌.民族誌 (382 10版)
- 年中行事.祭礼 (386 10版)
- 参考資料
- キーワード
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- 国府祭
- 甚句
- 座問答
- 櫛魂まつり
- 照会先
-
- 神奈川県立図書館
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 学生
- 登録番号
- 1000342637