レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2009/11/25
- 登録日時
- 2009/11/26 02:10
- 更新日時
- 2022/08/15 15:23
- 提供館
- 京都市図書館 (2210023)
- 管理番号
- 右中-郷土-15
- 質問
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解決
『実隆公記(さねたかこうき)』成立当初の「仁和寺宮(にんなじのみや)」が誰であったかを知りたい。
- 回答
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【資料2】より、『実隆公記』は文明6年(1474)~天文5年(1536)にわたり、室町時代の公卿三条西実隆(さんじょうにし さねたか)により書かれた日記。
【資料8】所収「仁和寺御傳」「諸門跡譜」より、仁和寺歴代の年譜を確認すると、質問に該当する年代の仁和寺宮は木寺宮邦康(きでらのみやくにやす)親王皇子であり、後花園院猶子(ゆうし)にあたる第18代後光台院御室(ごこうだいいんおむろ)。御法名は静覚(じょうかく)法親王。永享11年(1439)御生誕~文亀3年(1503)御入滅。
仁和寺宮となった時期については明確な記述が見られないが、伝法灌頂(でんぼうかんじょう・・密教修行のすぐれた行者に対して大日如来の秘法を授ける、真言密教のもっとも重要な儀式。【資料11】)を受けたのは長禄元年(1457)と記載あり。
- 回答プロセス
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●【資料1】の文明7年(1475)3月29日に記されている「仁和寺宮」が誰のことをさすのか知りたい、とのこと。
●『実隆公記』について資料を確認。
【資料2】より、“実隆公記”の項目で成立年代と概要を、“三条西実隆”で経歴を調べる。
【資料7】p16にて、文明7年3月末の記述内容を確認。
●「仁和寺」、「仁和寺宮」について資料を確認。
【資料4】p570 “にんなじの宮”の項より、「仁和寺宮」は仁和寺の住職である法親王の尊称をさすことを確認。
【資料6】“仁和寺の歴史と文化”では「御室」について、室(むろ)とは僧の住むところを意味し、仁和寺においては初代宇多法皇の住坊であったことから御室と呼ばれ、のちに代々入寺された門跡や法親王の呼称となり、やがて仁和寺周辺の地名となったと説明されている。
【資料13】p508~512 “仁和寺”の項に「爾来御室御所と称して法務は歴代帝跡たるべきを以って、仁和寺宮と称したり。」と記載あり。
●仁和寺歴代御室について資料を確認。
【資料3】p288 “仁和寺”の項より、仁和寺は仁和寺門跡・御室御所ともいわれ、「御室」は仁和寺の異称として鎌倉時代から多く用いられており、初代住職宇多法皇以後、第30代純仁(じゅんにん)法親王(小松宮彰仁親王)が慶応3年(1867)に復飾するまで皇族の御室が続いていたことを確認。
【資料8】所収「仁和寺御傳」「諸門跡譜」にて、歴代年譜を確認。
【資料12】所収「御室御代々略記」にて御室系譜を確認。
●『実隆公記』成立時の時代背景について資料を確認。
【資料5】“仁和寺の歴史と信仰”では、応仁2年(1468)応仁の乱により主要伽藍をはじめ数百の堂舎が焼け落ちたため、静覚法親王は双ヶ丘(ならびがおか)西麓に堂舎をかまえ法務を維持されていたこと、寛永11年(1634)徳川三代将軍家光が仁和寺再興に着手し、第21代覚深(かくじん)法親王の時に改修され、正保3年(1646)に落慶供養が行われたことが説明されている。
◎京都市中央図書館より情報提供(2009.10.30)
『仁和寺大観 宇多天皇開創千百年記念』(法蔵館 1990) p290~291 “仁和寺歴代一覧”記載あり。
- 事前調査事項
- NDC
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- 各宗 (188 8版)
- 参考資料
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- 【資料1】『実隆公記 巻1 上』 (続群書類従完成会 1958)
- 【資料2】『国史大辞典 6』 (国史大辞典編集委員会編 吉川弘文館 1985)
- 【資料3】『国史大辞典 11』 (国史大辞典編集委員会編 吉川弘文館 1985)
- 【資料4】『日本国語大辞典 第10巻』 (小学館国語辞典編集部編集 小学館 2001)
- 【資料5】『古寺巡礼京都 11 仁和寺』 (淡交社 1977)
- 【資料6】『仁和寺 旧御室御所』 (吉田裕信ほか著 仁和寺 1988)
- 【資料7】『人物叢書 三条西実隆』 (芳賀幸四郎著 吉川弘文館 1987)
- 【資料8】『群書類従 第5輯』 (塙保己一編纂 続群書類従完成会 1979)
- 【資料9】『読史備要』 (東京大学史料編纂所編 講談社 1978) p1000 “真言宗仁和寺門跡歴代”あり。
- 【資料10】『日本史諸家系図人名辞典』 (小和田哲男監修 講談社 2003) p43~44 “木寺宮家”について記述あり。
- 【資料11】『真言宗小事典』 (福田亮成編 法蔵館 2000)p136~137
- 【資料12】『仁和寺史料 寺誌編 2』 (奈良国立文化財k研究所編 吉川弘文館 1967)
- 【資料13】『京都名勝誌』 (京都市役所 1928)
- キーワード
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- 真言宗御室派
- 伝法灌頂
- 三条西実隆
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- 室町時代
- 仁和寺御伝
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000060113