レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2011年12月01日
- 登録日時
- 2012/01/31 17:54
- 更新日時
- 2012/03/27 17:44
- 管理番号
- 名古屋市鶴-2011-041
- 質問
-
解決
五月飾りの兜の箱に「刎」という文字が書かれていたが、この文字が兜の数え方なのかどうか知りたい。
- 回答
-
「刎(はね)」は兜の数え方としてはもっとも一般的に使われている語のようです。ただ、「刎」は首をはねることを意味する語で、『数え方の日本史』(三保忠夫/著 吉川弘文館 2006年)によると近世の使用例としては敵の兜首を数える場合に使われているそうです。これに対して、味方の兜を数える場合の語としては「羽(はね)」や「頭(ず)」が紹介されています。最近の辞典では「刎」の他に、「具(ぐ)」・「装い(よそい)」(兜飾り一式)、「頭(かしら)」(頭にかぶるもの)が兜の数え方として挙げられています。
- 回答プロセス
-
(1)<数えるもの>から調べることができる『数え方の辞典』(小学館 2004年)を確認してみると、兜の項目があり、「刎」・「具」・「装い」・「頭」が<数え方>として紹介されていました。同書の<数え方のポイント>によると次のように意味の違いがあるようです。
・「刎(はね)」 → (首を)はねることを意味する語で兜を数える
・「具(ぐ)」、「装い(よそい)」 → 兜飾り一式の場合はこの語でも数える
・「頭(かしら)」 → 頭にかぶるものを数える語
(2)確認のため<数え方>(単位)から調べることができる『丸善単位の辞典』(丸善 2002年)や『図解単位の歴史辞典』(柏書房 1989年)を確認してみます。すると、これらには「頭(かしら)」「具(ぐ)」「刎ね(はね)」がありました。特に「刎ね」の項目には“兜(かぶと)などを数えるときに用いる語”とどちらの辞典にも書かれています。
(3)『数え方の日本史』(吉川弘文館 2006年)という本がありましたので内容を確認してみると、近世の出版物における助数詞(数え方)の用例がいくつか紹介されており、「甲冑を数える」というものもありました。このうち「兜」に関するものについては次のように書かれていました。
・「頭(ず)」 → 「冑」を「頭(づ)」で数える。味方は「一頭(いちづ)」、敵は「一刎」。
・「刎(はね)」 → 「甲」「冑」「兜」「頭」を「一刎(ひとはね)」と数える。敵の兜首の数え方。
・「羽(はね)」 → 「甲」「冑」「兜」(味方)を「一羽(ひとはね)」と数える。味方の兜の数え方。
- 事前調査事項
- NDC
-
- 文法.語法 (815 9版)
- 度量衡.計量法 (609 9版)
- 参考資料
-
- 『数え方の辞典』 飯田朝子/著 町田健/監修 小学館 2004年 p.60
- 『丸善単位の辞典』 二村隆夫/監修 丸善 2002年 p.55,93,267
- 『図解単位の歴史辞典』 小泉袈裟勝/編著 柏書房 1989年 p.30-31,57,221-222
- 『数え方の日本史 (歴史文化ライブラリー)』 三保忠夫/著 吉川弘文館 2006年 p.136-137
- キーワード
-
- 兜
- 助数詞
- 兜人形
- 五月人形
- 端午飾り(内飾り)
- 端午節供(端午節句)
- 五月節供(五月節句)
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000100919