レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2022年09月08日
- 登録日時
- 2022/12/20 10:55
- 更新日時
- 2024/01/15 10:50
- 管理番号
- 横浜市中央2673
- 質問
-
解決
横浜開港期に、行商スタイルで花を売っていた人達がいたと聞いた。
それに関する資料と写真が見たい。
- 回答
-
横浜開港期の花売りの業態などについて記載がある資料や写真を
ご紹介します。
1 横浜開港期から明治期の花売りに関する資料
(1)『横浜市史稿 風俗編』 横浜市役所/編纂 臨川書店 1985.12
p.174-176 花売娘と背負螺(しょひびく)さん
・開港頃から明治にわたり、中期頃を全盛として、花売娘と背負螺さんが
横浜市中の点景であったこと。
・花売娘は、大岡・笹下・日野・田中・栗木中区等に咲く草花と畑幸の
品々とを籠荷にして市中を売り歩いていた女性達で、大方は乙女だったこと。
・背負螺(しょひびく)さんは、小魚類を版臺(はんだい)に入れ螺籠に乗せて
売り歩いていた女性達で、多くは本牧・根岸・杉田界隈の濱方の年増女だったこと。
・当時、町方の民家が野菜物や魚類を得る事は困難で、その需要に花売娘と
背負螺が応じており、こういった農家又は漁家の副業的稼業は、
開港当初からの事といわれている。
事などが記載されています。
こちらの資料は、国立国会デジタルコレクションで公開されており
下記のURLからもご覧頂けます。
国立国会デジタルコレクション
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1213723
138コマ~139コマ
(2)『横浜の花の歴史を語る』 横浜市緑政局/編 横浜市緑政局 1973.3
昔から花を栽培した古老の方々を招いた座談会の記録で、巻末に年表が付いています。
巻末「横浜市における花き栽培の歩み」
年表形式で、1868(明治初)年~1958(昭和33)年までの横浜市内の花き栽培状況、
流通状況、県下他都市の動きが記載されています。
・明治初年、東京の蒲田、川崎市市ノ坪から花の小売をする人が入り込んで商売を
していたこと
・1868(明治8)年頃に農家の切花の引き売りが始まったこと
・1877(明治10)年頃 生花商(日本花専門)が出現し、山切りに行き、
花を買い集めて小売りしたこと。
の記載があります
p.2-12に明治期の小売商の発生、花き生産の発展、花の消費状況について
座談会で触れられています。
(3)『横浜に於ける花卉の生産並販売状況』 横浜市勧業課/編 横浜市勧業課 1933.3
p.16-21 販売の沿革
生花商を中心に販売の沿革が記載されています。
「然して所謂生花商の本市に出来始めたのは、明治10年前後のことであって(中略)
右諸氏は何れも日本花専門の生花商であって、取扱った種類も、イブキ、
ソナレ、征木、花桃、花櫻、ツツヂ、レンギョー、椿、山茶花、菊、等が主で
あった。当時未だ花卉類を販売目的に作るもの無き時代故、花商は農家の
宅地廻りにある庭木を買い集め、若くは仲買人おり不足分を仕入れて、
之を肩に擔いで市中を売り歩いたものであった。」
と記載されています。
こちらの資料は、横浜市立図書館デジタルアーカイブ 都市横浜の記憶にも
登録されており、下記のURLからもご覧頂けます。
都市横浜の記憶
https://archive.lib.city.yokohama.lg.jp/museweb/detail?cls=collect_01&pkey=00003292
(4)『神奈川県花き業界沿革史』
神奈川県花き業界沿革史編纂委員会/編纂 神奈川県生花商組合連合会 1967
p.4-6 「生産と流通の推移」
(1)の『横浜市史稿 風俗編』「花売娘と背負螺さん」の引用、大正初期の生産地
と生花商の交流が紹介されています。
※p.39-40に「明治の花屋」、p.7-10「神奈川県花き主要生産地の沿革」
について記載されています。
(5)「特集 洋種園芸は横浜から発進した -明治から戦前まで-①」 椎野昌宏
(「園芸世界」 2010年5月 改良園企画部 2010.5)
p.8-9 植木職、近郊農家が洋種花卉、洋種野菜の販売を開始
需要の拡大により生花商と生産農家が生まれたことや本牧、根岸、杉田あたりから
個人の花売り女たちも販売に加わったことなどが記載されています。
2 明治期の横浜の花売りの写真
年代の記載がない写真と1880年代後半(明治10~20年代)の写真です。
(1) 『明治の日本 《横浜写真》の世界』
横浜開港資料館/編 有隣堂 2003.5
年代については記載がありませんが、以下の写真が掲載されています。
p.182 1 荷車の花売り
切り花を載せた荷車を引く男性の写真です。
2 花売り
天秤棒に花を載せている男性とそれを眺める女性の写真です。
p.184 11 折り花売り
花を入れた籠を背負う女性の写真です。
p.182 1の写真は、横浜開港資料館のよこはま歴史画像集でも紹介されています。
横浜開港資料館
http://www.kaikou.city.yokohama.jp/document/picture/05_11.html
(2)『レンズが撮らえたオックスフォード大学所蔵幕末明治の日本』
フィリップ・グローヴァー/著 山川出版社 2017.2
p.89 「花売り」
「花売りの格好の日本人男性が、花を入れた2つの盆と共に立っている手彩色写真。」
撮影場所:神奈川県横浜市 撮影日:1880年代後半頃
3 明治の横浜の園芸や花卉の生産・販売に関する資料
花売りについての記載はありませんが、参考に明治期横浜の園芸に関する資料を
ご紹介します。
(1)『絵図と写真でたどる明治の園芸と緑化
秘蔵資料で明かされる、現代園芸・緑化のルーツ』
近藤三雄/著 誠文堂新光社 2017.4
(2)『百花繚乱「横浜植木物語」 花と緑で世界を結んだ先駆者の歩みを追憶』
近藤三雄/編著 誠文堂新光社 2021.7
(3)『港町 百花繚乱 横浜から広がる「緑花」文化』
横浜開港資料館/編 横浜開港資料館 2008.10
(4)『日本園芸界のパイオニアたち 花と緑と、20の情熱』
椎野昌宏/著 淡交社 2017.7
(5)「特集 洋種園芸は横浜から発進した -明治から戦前まで-②~④」椎野昌宏
(「園芸世界」 2010年6~9月 改良園企画部 2010.6~9)
(6)『横浜植木株式会社100年史』 横浜植木株式会社 1993.4
※インターネット情報の最終確認日は2023年12月25日です。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
-
- 花卉園芸[草花] (627 8版)
- 参考資料
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000326038