レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2023年04月17日
- 登録日時
- 2023/09/26 14:50
- 更新日時
- 2023/11/06 14:59
- 管理番号
- 中央-1-0021671
- 質問
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解決
埼玉県内での文化圏ごとの緩やかな区切りがあるか。
埼玉県内について、北足立郡、比企郡等の行政区画があるが、各区画ごとに同じ文化圏と言えるのか知りたい。
- 回答
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埼玉県の年中行事、衣食住、言葉等の民俗文化についての資料を調査した。
行政区画できっぱり線引きできるものではなく、各文化によってゆるやかなまとまりがあることが分かった。ここからここはこの文化圏、というように、区切るのは難しいと思われる。
調査に使用し参考になりそうな、回答プロセスにある○印のついた資料を紹介した。
- 回答プロセス
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●複数の行政地域にまたがって記述されている風俗、文化などについて書かれている本を382・383を中心に所蔵資料を検索
○『日本の食生活全集 11 聞き書 埼玉の食事』農山漁村文化協会 1992年
p343-355「埼玉の食とその背景」
街道文化や宿場文化の記述に、地域同士のつながり、融合について触れられている。
とくにp349では「県下のそれぞれの地域に根ざす食べものと食べ方の特徴を表現する」ために、次の6つの地域設定が行われている。
秩父山地、大里・児玉、入間台地、北足立台地、東部低地、川越商家 各地域の食事情が解説されているが、この区分けも行政区分でないので、緩やかな区切りと言えそう。
○『埼玉県東部の民俗-祭り行事と民俗芸能-上巻』板垣時夫/著 さいたま民俗文化研究所 2019年
p1-3「はじめに」
「本書は、埼玉県東部で暮らす人々の生活や祭り行事を中心に、東部地域の民俗としてまとめたものである」
「東部地区の範囲は、20頁の図3のとおりで、南埼玉郡(越谷市・八潮市・蓮田市・白岡市・さいたま市岩槻区・春日部市旧春日部市・久喜市旧久喜市・同菖蒲町・宮代町)、北葛飾郡(三郷市・吉川市・春日部市旧庄和町・松伏町・杉戸町・幸手市・久喜市旧鷲宮町・同栗橋町)、北葛飾郡(行田市・羽生市・加須市)の市町である」
年中行事、祈祷、大蛇作りなど、写真入りで詳しい解説あり。東部地区全体でこのような習わしがあり、その中で○○地域はこのようなやり方、△△地域はこのようなやり方、というような書き方をしている。地域によって少しずつ異なりつつも、文化的なつながりがあるということが分かる。
×『埼玉風土記』長井五郎/著 小池信一 1960年
×『埼玉の民俗歳事記』倉林正次/著 倉林美千子/著 さきたま出版会 1980年
×『芸能風土記-埼玉県-』倉林正次/著 埼玉県神社庁 1958年
以上3冊は特定の地域の文化芸能の記述のみ。
●所蔵の地域資料を民俗文化関係を中心に検索
×『埼玉の祭りは今』埼玉民俗の会 「埼玉の祭りは今」刊行委員会 2015年
×『埼玉のまつり』国土地理協会/編集 埼玉県県民部自治文化課 1989年
×『くらしの風土記 埼玉』野村路子/著 かや書房 1983年
×『埼玉(図説日本民俗誌)』内田賢作/著 岩崎美術社 1986年
○『埼玉の正月行事』埼玉県教育局社会教育 1961年
p4「近世にはいっては、中仙道を中心とする動きが活発となり、やがて近代にはいって高崎線がこれに沿って開通してからは、本県の大動脈となり、文化的にもここが中心となってきた。
このようなわけで、本県の現状は、高崎線沿線が古い文化をもっともはやく脱ぎすて、そのむかし文化の中心であった西部の八高線沿線は、秩父郡とともに文化的に立ちおくれ、反面古い生活慣習を維持することが多い。なお東部の水田地帯は、東武線の沿線ということになるが、沿線から少しはいると交通の便もよくなく、近年まで単作的傾向が強く、生活的にも変化が少なく、こうしたことから古い生活慣習がよくのこっている。」との記載あり。
○『埼玉生活文化史シリーズ1 着物の歴史』埼玉県立文化会館/編集 真珠書院 1967年
○『埼玉生活文化史シリーズ2 食物の歴史』埼玉県立文化会館/編集 真珠書院 1968年
○『埼玉生活文化史シリーズ3 住居の歴史』埼玉県立文化会館/編集 真珠書院 1969年
埼玉県の着物・食べ物・住居の歴史をまとめている。それぞれの生活文化について、市町村にまたがって共通している様子が読み取れる。
○『埼玉県民俗地図 民俗文化財緊急分布調査報告書』埼玉県教育委員会 1979年
埼玉県内の民俗文化について調査し、その分布を地図上にまとめたもの。同じ民俗文化のまとまりが地図上に読み取れる。
○『埼玉県民俗芸能誌』倉林正次/著 錦正社 1970年
付属資料として、「埼玉県獅子舞系統図」「埼玉県民俗芸能分布図」の2種類の地図あり。地図上で各文化のまとまりを確かめられる。
●所蔵資料を「埼玉県の方言」で検索
○『講座方言学 5 関東地方の方言』飯豊毅一/[ほか]編集委員 国書刊行会 1984年
P172-174 県内の地域差(区分)
×『埼玉のことば 県北版』篠田勝夫/著 さきたま出版会 2004年
×『埼玉県東南部方言の記述的研究』原田伊佐男/著 くろしお出版 2016年
×『埼玉県方言辞典』手島良/編著 桜楓社 1989年
○『都道府県別全国方言辞典』佐藤亮一/編 三省堂 2009年
p90-91 埼玉の方言
「東部は利根川を隔てた栃木・茨城の方言に近い。アクセントの区別があいまいで、また発音の点では、語頭のイとエが混同され、シチジの音色がスツズに近くなる。
県の中央部は西関東、ことに東京の下町言葉に近い。西の秩父地方は、群馬方言に近く、古い言葉を残し、歯切れのいい発音である。」
○『日本列島方言叢書 6 関東方言考 群馬県・埼玉県・千葉県・神奈川県』井上史雄/[ほか]編 ゆまに書房 1995年
p186-226 ある単語のアクセントについての埼玉県言語地図あり。どういうアクセントで発音するかについての違いを調査し、その分布を地図上にまとめている。行政区分をこえたゆるやかなまとまりを読み取れる。
- 事前調査事項
- NDC
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- 風俗史.民俗誌.民族誌 (382 10版)
- 衣食住の習俗 (383 10版)
- 年中行事.祭礼 (386 10版)
- 参考資料
- キーワード
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- 文化圏
- 埼玉県
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000339022