レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2022/08/04
- 登録日時
- 2023/03/24 00:30
- 更新日時
- 2023/03/24 00:30
- 管理番号
- 6001059562
- 質問
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解決
太閤下水に関する資料はあるか。
- 回答
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太閤下水について書かれた資料は、以下の通りです(■は図書、●は雑誌、〇はインターネットの情報を表します。)。
■『大阪市下水道事業誌 第1巻』(大阪市下水道局/編集 大阪市下水道技術協会 1983)
第1章第1節「豊臣秀吉の築城と街割り」(p.9-12)中「(2)城下町と背割下水」の項(p.11-12)に、東西両横堀川に囲まれた城下町について「街路で囲まれた区画の中心線を通るこの下水溝は、「背割下水」といい、また太閤秀吉の名をとって『太閤下水』ともいい伝えているが、この背割下水は、町割り及び宅地割りの境界の基準線として大きな意味をもった」(p.11)とあります。
同章第3節「堀川・下水溝渠の維持管理」(p.22-28)中「(2)下水溝渠の浚渫」の項(p.24-28)に「上水道の施設がなかった大阪では、水の通る道は、雨水、汚水を集めて堀川に流下する背割下水のみであって、文字どおり”水道”だったのである」、「この下水溝渠の浚渫は水道浚えといわれ、例年、4月15日には触渡しがあって春から梅雨期までに行われた」(p.24)とあります。
また、同節「(3)川筋掟十二か条」の項(p.27-28)に堀川、下水溝の維持管理に関して幕府が出したお触れに関する説明があります。
■『下水道のあゆみ』(大阪市下水道局/編集 大阪市下水道局 1981)
「城下町と背割下水」の項(p.8)に背割下水の説明と写真があります。
「背割下水の暗渠化」の項(p.11)に、中央部下水道改良事業に関する説明があります。
■『定本船場ものがたり』(香村菊雄/著 創元社 1986.11)
「15 浮世小路と太閤下水」の項(p.161)に「太閤下水は背割下水といい、一つの街のブロックの南面に建ち並んだ家と、北面に建ち並んだ家とが背中合わせになる接点に、掘られた溝である」、「日本最古の下水、太閤下水は、大阪築城四百年記念として、中浜東下水処理場(城東区中浜一)の資料館に復元されている」とあります。
■『図説大阪府の歴史』(津田秀夫/責任編集 河出書房新社 1990.7)
p.183に「船場には太閤下水と呼ばれる大きな背割り下水が縦横に走っていて、今日もときどきそれが話題にのぼるが、このような下水を完備せねばならなかったのは、こうした低地を一気にしかも広大に造成したためであった」とあります。
■『写真でみる大阪市下水道100年のあゆみ』(大阪市下水道局/編集 大阪市下水道局 1994)
p.14「初の大規模な下水道」の項に「道路で囲まれた区画の中に中央町界線に掘られた開渠の下水道で、道路横断面では板石の蓋で橋渡ししている。町の表通りに対し、宅地の背を割るところから「背割下水」と呼ばれている」「背割下水は、家庭の生活排水を受けて堀川に放流する公共の下水溝である。素堀りで栗石の石垣護岸を築く」とあり、写真(年代不明)と絵(『守貞漫稿』)が掲載されています。
■『人づくり風土記 27(49) 大阪の歴史力』(会田雄次/監修 農山漁村文化協会 2000.3)
「四方発達した大運河と大下水―"水の都"の完成へ」の項(p.114-119)に、背割下水の説明や管理に関する記載があり、「淀川河口部の湿地帯を開発してつくられた大坂の下町には配水のための施設がどうしても必要でした。道路を挟んで碁盤の目のように構成された街の背後には、のちに背割下水と呼ばれるようになった幅二~三尺の水路(当時は水道と呼ばれていました)がつくられました」とあります(p.117)。「図1 船場の下水網」(p.117)が掲載されています。
■『近世大坂の都市空間と社会構造』(塚田孝/編 山川出版社 2001.2)
p.41に「背割下水」の項があり、「大阪冬ノ陣以降に建設されたと推定する背割下水がある」、「各敷地の境にある溝が奥にまで伸びていく時期が17世紀中頃と確認されており、その時期には背割下水が完備していたのであろう」とあります。
■『上下水道が一番わかる:浄水から循環利用まで最重要インフラの上下水道を理解する(しくみ図解)』(長澤靖之/監修・著 技術評論社 2012.9)
「下水道の歩みと普及」の項(p.20-21)に背割下水の説明として「戦国時代の大阪城築城の際、城下町に石積みの排水溝が、碁盤の目に仕切られた区画境に建設されていました」とあり、「図1-6-1背割下水」(p.21)が掲載されています。
●『大阪人34(1-6)』(大阪都市協会 1980)
第34巻第4号p.20-21「東横堀川 その十五」の記事に「太閤下水」の項があり、「秀吉が城下町として船場などを整備した時、道路に沿って四十間を一区画とし背中合わせの裏に下水溝を構築した」とあります。
●『大阪人39(1-6)』(大阪都市協会 1985)
第39巻第5号p.23「背割(太閤)下水見学施設完成 東区の南大江小学校に」の記事に、主に見学施設についての説明があり、「背割下水は、江戸、明治の時代になっても増・改築が行われ、現在も日本で最も古い下水道として、東、西、南区などで約四十キロにわたって使用されている」とあります。
●『下水道協会誌 19<216-217>』(日本下水道協会 1982)
217号巻頭の「背割下水(太閤下水)」の記事に「大阪市内東区を中心に、現在も使用されている背割下水は、豊臣秀吉時代につくられたといわれ、太閤下水とも呼ばれている」とあります。東区南農人町の「石積みの背割下水」の写真と、東区竜造寺町の「改良後の背割下水」の写真が掲載されています。
●『下水道協会誌 35(422-426) 425号:別製本』(日本下水道協会 1998)
422号「太閤下水を未来へ引き継ぐ大阪の下水道」(石澤剛/著)の記事(p.36-40)に「大阪城の工事は、最初に着工した天正11年から15年後の秀吉の死後に至るまで、継続しているが、大阪城と濠を巡って展開する城下町は、ほとんど天正年間に完成していたと考えられている」(p.36)、「中央部下水道改良事業は、明治27年から34年度にわたる8カ年の歳月と、100万円の事業費によって、当初の計画および新市域に対する若干の事業を追加して一応完了した」(p.40)とあります。
また、p.37に「図-2 町割りと背割下水模式図」が掲載されています。
●『セメントコンクリート 467-472』(セメント協会 1986)
468号「明治期に改良された背割下水」(横幕正式,三大隆義/著)の記事(p.22-28)に、南大江小学校の背割下水の見学施設について記載されており、写真や図も掲載されています。「この背割下水は、元禄期の古地図にも描かれている幹線であり、難波宮跡付近から西へ流れ、東横堀川へ注いでいる。(中略)内のり寸法は幅2m、高さ2m、400年の歴史をもち、今日なお公共下水道として併用されている背割下水の代表例である」(p.22)とあります。明治、昭和の下水道の改良工事に関する記述もあります。
●『葦火24-30<139-180>(2009.4-2016.2) 各巻6号:総目次』(2009.4-2016.2)
28号に「太閤さんの、、、背割下水/趙哲済」(趙哲済/著)の記事(p.6-7)があります。「裏込め側から掘った背割下水」の写真が掲載されています。
〇国土交通白書. 平成25年度(国土交通省 2017)
p.6に「中世末期の大阪において豊臣秀吉により『太閤下水』と呼ばれる背割下水が作
られたといわれているが、江戸時代になっても拡張が進められ、その維持管理は各町内の町衆の手に
よって行われていたといわれる」とあります。
本資料は「国立国会図書館デジタルコレクション」で閲覧可能です(2023/3/2確認)。
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/10226082/2
[事例作成日:2023年3月2日]
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 衛生工学.都市工学 (518 10版)
- 参考資料
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- 大阪市下水道事業誌 第1巻 大阪市下水道局∥編集 大阪市下水道技術協会 1983
- 下水道のあゆみ 大阪市下水道局∥編集 大阪市下水道局 1981
- 定本船場ものがたり 香村/菊雄∥著 創元社 1986.11 (p.161)
- 図説大阪府の歴史 津田/秀夫∥責任編集 河出書房新社 1990.7 (p.183)
- 写真でみる大阪市下水道100年のあゆみ 大阪市下水道局∥編集 大阪市下水道局 1994 (p.14)
- 人づくり風土記 27(49) 会田/雄次∥監修 農山漁村文化協会 2000.3 (p.117)
- 近世大坂の都市空間と社会構造 塚田/孝∥編 山川出版社 2001.2
- 上下水道が一番わかる 長澤/靖之∥監修・著 技術評論社 2012.9
- 大阪人 大阪市都市工学情報センター 34(1-6) (p.20-21)
- 大阪人 大阪市都市工学情報センター 39(1-6) (p.23)
- 下水道協会誌 日本下水道協会 日本下水道協会 19<216-217>
- 下水道協会誌 日本下水道協会 日本下水道協会 35(422-426) 425号:別製本
- セメントコンクリート セメント協会 セメント協会 467-472
- 葦火 大阪市文化財協会 編 大阪市文化財協会 24-30<139-180>(2009.4-2016.2) 各巻6号:総目次
- https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/10226082/2 (『国土交通白書. 平成25年度』(国立国会図書館デジタルコレクション 2023/3/2現在))
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 書誌事項調査
- 内容種別
- 大阪
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000330937