レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2022/08/31
- 登録日時
- 2022/10/01 00:30
- 更新日時
- 2022/10/01 00:30
- 管理番号
- 6001057651
- 質問
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解決
鳩が描かれた絵馬があるそうだがどんなことを祈願するのか。
また、どこで奉納されるのか。
- 回答
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鳩の絵馬は手足のマメや腫物、子どもの疳の虫の治癒祈願などに用いられ、各地の八幡神社で奉納されます。以下の資料に記述があります。
・『絵馬(ものと人間の文化史12)』(岩井宏実/著 法政大学出版局 1974)
「第二章 小絵馬と民間信仰」の「第四節 神仏に縁故の深い眷族などを描いた絵馬」(p.143-158)に次の記述があります。
「鳩を八幡様の神使とすることは普遍的で、各地の八幡様に鳩の絵馬が奉納される。鳩は豆を拾って食べるところから、手足に肉刺ができたとき、鳩に食べてもらって早く治るようにといって、絵馬をあげる風が各地にある。また子供の癇虫のときも、この絵馬をあげて祈願するという。ことに京都八瀬の三宅八幡は、子供の癇とくに疳の病と腫物に霊験があるといい、御礼詣りに鳩の絵馬を奉納する。(中略)なお、鳩はいたって夫婦仲のよいもの、人間よりも一夫一婦は厳格だといわれるところから、向い鳩・婦随鳩など、夫婦鳩の絵馬が各地の八幡様にあげられた。(後略)」(p.149-150)
・『絵馬に願いを』(岩井宏實/著 二玄社 2007.9)
「病気平癒」の「鳩 肉刺・癇の虫平癒」(p.80)に次の記述があります。
「鳩は八幡様の神使とされていて、各地の八幡様に鳩の絵馬が奉納される。鳩は豆を拾って食べるところから、手足に肉刺ができたとき、鳩に食べてもらって早く治るようにと、鳩の図の絵馬を奉納する風が各地にある。また、子供の癇の虫のときにも、この絵馬をあげて祈願するという。なお、鳩はいたって夫婦仲がよいということから、「向い鳩」「夫婦鳩」などの絵馬を奉納して、夫婦仲のよくなることを祈願する。(後略)」
・『願いいろいろ絵馬いろいろ:板に込めた切なる思い(城陽市歴史民俗資料館展示図録49)』(城陽市歴史民俗資料館 2014.1)
「子供の成長」(p.8)に「鳩図絵馬(疳の虫等)天理大学附属天理参考館蔵」が掲載されています。
・『日本書誌学大系 46‐3 山中共古全集3』(山中笑/著 青裳堂書店 1987)
「本邦における動物崇拝」(p.135-150)に「鳩」の項目があり次の記述があります。(p.146)
「八幡神社の神使とし、白鳩旗の上に飛べば勝軍の吉兆なりと源氏武士の喜びしことは今に存し居るなり。八幡宮の社地多く鳩住みたる故に、神の好み玉ふ鳥とし使者なりしと土製の鳩を納め鳩の絵馬を納めて祈願なす者あり。(後略)」
・「随筆」『婦人公論』62(1)<728>(中央公論新社 1977)p.73-81
駒田信二「小絵馬」(p.74-75)に次の記述があります。
「八幡様の使は鳩といわれることから、鳩の絵馬は多く各地の八幡神社に奉納されたが、この絵馬はまた、手足のマメや腫物の治癒祈願にも用いられる。」(p.75)
[事例作成日:2022年8月31日]
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 民間信仰.迷信[俗信] (387 10版)
- 参考資料
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- 絵馬 岩井/宏実∥著 法政大学出版局 1974 (149-150)
- 絵馬に願いを 岩井/宏實∥著 二玄社 2007.9 (80)
- 願いいろいろ絵馬いろいろ 城陽市歴史民俗資料館 2014.1 (8)
- 日本書誌学大系 46‐3 青裳堂書店 1987 (146)
- 婦人公論 中央公論新社 62(1-2)<728-729> (62(1)<728>:75)
- キーワード
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- 絵馬(エマ)
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- その他
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000321952