レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2021/07/30
- 登録日時
- 2021/09/03 00:30
- 更新日時
- 2021/09/03 00:30
- 管理番号
- 6001050036
- 質問
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解決
ウェルテル効果とはどのような現象なのか知りたい。
- 回答
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ウェルテル効果とは、自殺報道の後に模倣自殺が増加する現象のことです。
以下の資料に記述がありました。
<図書>
・『社会心理学事典』(日本社会心理学会/編 丸善 東京 2009.6)
p.237に「自殺報道の後、自殺が続出する現象が報告されているが、この現象は類似他者の行動の模倣だと考えられている。この模倣の効果は、ウェルテル効果とよばれている。」という記述があります。
・『自殺学入門:幸せな生と死とは何か』(末木新/著 金剛出版 2020.5)
p.160-162にウェルテル効果について記述があります。ウェルテル効果とは「メディアを介した情報の流行後に自殺が増加するという現象」(p.160)のことであり、ゲーテの『若きウェルテルの悩み』が群発自殺を引き起こしたことに由来するという説明があります。また、ウェルテル効果の特徴として、特に影響を受けるのは自殺者と類似の属性を持つ人々であるということ、架空の人物や一般人と比べて実在の有名人物の自殺がより強い影響を持つこと、自殺の方法が情報の受け手に影響を与えることの三つが挙げられています。
また、p.167-168に、いくつかのウェルテル効果のメカニズムの仮説のうち、最も可能性が高い社会学習理論について説明があります。
・『教養としてのゲーテ入門:「ウェルテルの悩み」から「ファウスト」まで(新潮選書)』(仲正昌樹/著 新潮社 2017.1)
p.19に「『ウェルテル』は、片思いの相手に夢中になった若者の感情の高まり、不安定さを書簡体の特性を生かして巧みに表現することによって、ドイツ語圏だけでなく、英国、フランス、イタリアなどヨーロッパ中で大きな反響を呼び、各国の文学に影響を与えることになった。この小説の刊行の直後、主人公ウェルテルをまねた仕方で自殺する若者が続出した。それに因んで、現代の社会心理学やメディア論では、有名人の自殺報道の後に、それをまねた自殺者が続くことを「ウェルテル効果 Werther-Effekt」という。」という記述があります。
・『自殺予防学(新潮選書)』(河西千秋/著 新潮社 2009.6)
p.70に「群発自殺は、十八世紀のヨーロッパではじめて社会的な問題となった。ゲーテの小説『若きウェルテルの悩み』が模倣自殺の群発をもたらしたのである。主人公のウェルテルは失恋の後に拳銃自殺で最期を遂げるが、出版後まもなく、この方法を真似した若者の自殺が相次ぎ、地域によっては、この小説の販売が禁止されるに至った。後世、このような模倣自殺の群発は「ウェルテル効果」と呼ばれるようになった。」という記述があります。
[事例作成日:2021年7月30日]
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 社会病理 (368 10版)
- 参考資料
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- 社会心理学事典 日本社会心理学会∥編 丸善 2009.6 (237)
- 自殺学入門 末木/新‖著 金剛出版 2020.5 (160-162,167-168)
- 教養としてのゲーテ入門 仲正/昌樹‖著 新潮社 2017.1 (19)
- 自殺予防学 河西/千秋∥著 新潮社 2009.6 (70)
- キーワード
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- ウェルテル効果(ウェルテルコウカ)
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- その他
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000304160