レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2023年05月27日
- 登録日時
- 2023/08/03 10:12
- 更新日時
- 2023/08/03 10:17
- 管理番号
- 千県中千葉-2023-02
- 質問
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解決
蘭方医の樋口保貞について書かれている資料を知りたい。樋口保貞は寛政2年に長崎から佐倉藩へ招かれた人物。
- 回答
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蘭方医の樋口保貞について調査したところ、以下の資料が見つかりました。
【資料1】『佐倉市史 巻2』
(国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/9640976)
p1155(594コマ)に「佐倉藩の蘭医学の起源は、寛政二年正月、肥前国長崎の医師樋口保貞を家老若林杢左ヱ門の推挙によって召抱えてにある。保貞は吉尾耕牛の弟子で蘭方に通じていた。」とあります。
p1156(595コマ)に註があり、「(1)樋口氏系譜(樋口家由緒書・保受録による)」に、樋口氏の佐倉藩に禄仕した以後の累系譜が挙げられています。「初代保貞(改司馬)」については、「延享元年生、月日不詳。…文化元年二月廿二日、京橋弓町において死去」等と書かれています。
【資料2】『昔日佐倉拾遺録 上巻(人物・地域編)』
p40に「樋口保貞」があり、「肥前国長崎の人、吉雄耕牛の弟子。寛政2年正順に33人扶持で召出。【永昌寺→円通寺】」とあります。
「出典・身近な掲載図書」の欄には【資料1】のほか、『保受録』「家老以下新番格迄」十四-①-p93 が挙げられています。
『保受録』は、千葉県文書館がマイクロフィルムで所蔵しており、閲覧することができます。詳しくは千葉県文書館 県史・古文書課(TEL:043-227-7552)にお問い合わせください。
【資料3】『順天堂史 上巻』
p501-502に「保貞は寛政二年(一七九〇)正月、藩主正順の招きで長崎から来り…禄仕したが、これは家老若林杢左衛門の推挙によるもの」とあります。
【資料4】『佐倉古名鑑 佐倉市史料叢書』
樋口保貞の欄はありませんが、p97に息子の「樋口甫晋」があり、家紋が掲載されています。系図に「保貞」とあります。
【資料5】『只野真葛集 叢書江戸文庫 30』
p5-192「むかしばなし」のうちp46-48に、樋口司馬(樋口保貞の別名)が吉雄幸作(吉雄耕牛の別名)の紹介で工藤平助(仙台藩藩医。著者の父)に入門した際のエピソードが書かれています。
- 回答プロセス
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(1)当館作成の千葉県関係データベース菜の花ライブラリー(https://www.library.pref.chiba.lg.jp/nanohana/index.html)、千葉県立図書館ホームページ「図書・雑誌・視聴覚資料検索」を全項目「樋口保貞」「樋口家」「樋口氏」で検索したが、ヒットなし。
(2)国立国会図書館デジタルコレクションを「樋口保貞」で検索し、【資料1】がヒット。
『蘭医佐藤泰然 その生涯とその一族門流』(村上一郎著 房総郷土研究会 1941)(https://dl.ndl.go.jp/pid/1906267)p57(42コマ)に記述があるが、分量が少ないため紹介せず。
(3)当館作成のパスファインダー(調べ方案内)「千葉県の「人物」を調べる」(https://www.library.pref.chiba.lg.jp/reference/pathfinder/index.html#chiba)を確認。
・別添リスト3(分野別人物事典等一覧)の「医学」の欄を確認し、【資料3】を発見。
『資料の広場 No.8 シリーズ千葉県の人 1 医学』(千葉県立中央図書館「資料の広場」8号編集委員会編集 千葉県立中央図書館 1977)には樋口保貞はなし。
・別添リスト1(地域別人物事典等一覧)の「佐倉市」の欄を確認し、【資料2】を発見。「出典・身近な掲載図書」の欄に【資料1】と『保受録』「家老以下新番格迄」十四-①-p93が挙げられていることを確認。
『明治に生きた佐倉藩ゆかりの人々』(内田儀久著 聚海書林(製作) 1997)p38,69に記述があるが、分量が少ないため紹介せず。
(4)【資料2】の隣にあった『昔日佐倉拾遺録 下巻(「佐倉市史」を読み込むための栞 資料編)』(内田理彦編集 内田理彦 2016)を確認。p69-70「堀田家文書における『保受録』等藩士記録について」に、保受録の「マイクロフィルムは千葉県中央図書館等で閲覧可能」とある。
・千葉県立図書館ホームページ「図書・雑誌・視聴覚資料検索」を全項目「保受録」で検索したが、マイクロフィルムは見当たらず。『保受録 徒以下末々迄 佐倉市史料叢書』(佐倉市総務部行政管理課佐倉市史編さん担当編集 佐倉市 2003)の索引を確認したが、樋口保貞はなし。
・千葉県立図書館ホームページ「図書・雑誌・視聴覚資料検索」を書名「堀田家文書」で検索。『下総佐倉藩堀田家文書解説目録 マイクロフィルム版』(大谷貞夫編集 雄松堂フィルム出版 1989)p24-25に保受録(家老以下新番格迄)あり。標題紙の前に鉛筆書きで「マイクロフィルムは「千葉県文書館4階閲覧室」で利用可。2007.3.27確認」とのメモあり。序文より、堀田家文書の所蔵者が「佐倉厚生園」であることを確認。
・千葉県文書館の収蔵状況を確認するため、「収蔵古文書一覧等」千葉県(https://www.pref.chiba.lg.jp/bunshokan/contents/shuuzoushiryou/komonjo-2.html)のうち「他機関収蔵分マイクロフィルム等」のPDFを閲覧。佐倉厚生園所蔵の「堀田家文書」があることを確認。
(5)千葉県資料室開架のうち佐倉市の歴史の棚を探索し、【資料4】を発見。
(6)【資料1】に「初代保貞(改司馬)」とあったため、千葉県立図書館ホームページ「図書・雑誌・視聴覚資料検索」、菜の花ライブラリーを「樋口司馬」で検索したが、ヒットなし。
(7)国立国会図書館デジタルコレクションを「樋口司馬」で検索。『江戸期おんな考 (7)』(東京桂の会編 桂文庫 1996)p115より、『むかしばなし』(只野真葛著)に樋口司馬に関するエピソードが書かれていることがわかる。【資料5】を確認。
(8)『日本洋学人名事典』(武内博編著 柏書房 1994)を確認。樋口甫晋の項目はあるが、樋口保貞・樋口司馬はなし。吉雄耕牛の項目(p389-390)、工藤平助の項目(p140-141)を確認し、別名や肩書き等を確認。
(インターネット最終アクセス:2023年7月23日)
- 事前調査事項
- NDC
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- 医学 (490 9版)
- 個人伝記 (289)
- 参考資料
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- 【資料1】『佐倉市史 巻2』(佐倉市史編さん委員会編集 佐倉市 1973)(9200285181)(国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/9640976)
- 【資料2】『昔日佐倉拾遺録 上巻(人物・地域編)』(内田理彦 2016)(0201050236)
- 【資料3】『順天堂史 上巻』(順天堂編集 順天堂 1980)(9200299267)
- 【資料4】『佐倉古名鑑 佐倉市史料叢書』(佐倉市史編さん委員会 2019)(0201098660)
- 【資料5】『只野真葛集 叢書江戸文庫 30』(只野真葛[著] 国書刊行会 1994)(9100695445)
- キーワード
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- 佐倉藩(サクラハン)
- 樋口司馬(ヒグチシバ)
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000336868