レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2022/05/31
- 登録日時
- 2022/07/13 00:30
- 更新日時
- 2022/07/14 00:30
- 管理番号
- 6001056411
- 質問
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解決
沖縄のヒージャーガーとは何か。また、写真が見たい。
- 回答
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樋川井(ヒージャーガー)は湧水池のことで、沖縄の伝統的な用水施設のひとつです。ヒージャー(樋川)とも呼ばれています。
以下の資料に写真が掲載されています。
・『沖縄の石造文化』(福島駿介/著 沖縄出版 1987)
「3 石造建造物の歴史的経緯」の「石造建造物の発生と伝播」に「井泉」の項目(p.147-149)が掲載されており、次の記述があります。
「沖縄では湧水池を樋川(ヒージャー)とか樋川井(ヒージャーガー)、井戸を井(カー)と呼んでいる。(中略)井泉の種類には、湧水池を取水に便利なように石灰岩の石積みによって囲ったいわゆる樋川井(ヒージャーガー)(写真―18)、地面を湧水面まで掘り下げて石段によって底まで降りて水を汲み上げる降り井(ウリカー)(中略)、専門の井戸掘りによるいわゆる井戸(カー)の三つが代表的なものである(中略)。樋川井は湧水から木製あるいは石造の架け樋で取水するためこの名がある。(中略)石造井泉としては樋川井が代表的であり、その最も古く格式高いものとして首里城端泉門下の龍樋(写真―21)が有名である。(後略)」(p.147-148)
「写真―18 仲村渠樋川井」(p.147)と「写真―21 龍樋」(p.148)が掲載されています。
・『水と生きる建築土木遺産』(後藤治/編著 彰国社 2016.6)
「沖縄県」に「沖縄の石造用水施設」(p.142-146)が掲載されており、次の記述があります。
「形を表す「ヒージャーガー」」
「石灰岩や珊瑚石でつくられた石垣や用水施設は、沖縄の伝統的な土木遺産を代表するもののひとつである。地元では用水施設のことを、「ヒージャー」「ガー」「ヒージャーガー」等の名で呼ぶが、これに漢字をあてると、「ヒー」は樋、「ジャー」は川、「ガー」は井(泉)となる。この語が用水施設の形状を表している。大半の施設は、まったく人工的につくられたものではなく、伏流水が流れ、かつその水が溜まる天然の岩盤上のような良好地を選び、石垣等の構造物を付加する形でつくられている。(中略)水溜りに流れ込む部分には、水吐き口となる穴を開けた石垣積まれ、穴には樋の役割を担う石(樋口)を置くことが多い。この水の流れる水路が「ジャー」で、樋口が「ヒー」ということになる。」(p.143)
また、「仲村渠樋川(南城市)」(p.142-143)「喜友名泉(宜野湾市)」「森の川(宜野湾市)」「潮平ガー(糸満市)」(p.144)「垣花(かきのはな)ヒージャー(南城市)」「我如古ヒージャーガー(宜野湾市)」(p.146)の写真が掲載されています。
・『沖縄の土木遺産:先人の知恵と技術に学ぶ』(「沖縄の土木遺産」編集委員会/編 沖縄建設弘済会 2005.5)
「7 技術」の「沖縄の石積」に「井戸」の項目(p.153-154)があり、次の記述があります。
「古式タイプの囲い込み井戸については、岩盤、土、石積みで囲い込みされており、樋川(ヒージャー)、穴川(アナガー)、クラガー、ウリガー等と呼ばれている。(後略)」
また、那覇市指定文化財の「寒水川樋川(スンガーヒージャー)」の写真が掲載されています。
・『沖縄県の信仰に関する建造物:近世社寺建築緊急調査報告書(沖縄県文化財調査報告書 第104集)』(沖縄県教育庁文化課/編集 ロマン書房本店 1992)
「Ⅱ 沖縄県の近世社寺建築および信仰に関する建造物の背景」の「4.建造物の形式と各部の名称」に「井泉の各種形式」(p.15)があり、「樋川井[ヒージャーガー](森の川・宜野湾市)」の写真が掲載されています。
「Ⅲ 沖縄県の社寺建築および信仰に関する建造物の概要」の「3.近世社寺建築および信仰に関する建造物の個別解説」に複数の井泉の項目があり、それぞれの写真が掲載されています。そのうち次の項目に「樋川 石造」と記載があります。
「056 森の川 宜野湾市字真志喜」(p.70)に「樋口正面壁」と「石垣」の写真が掲載されています。
「057 我如古ヒージャー井 宜野湾市字我如古」(p.71)に「全景」と「樋口正面壁」(2点)の写真が掲載されています。
「085 仲村渠ヒージャー 玉城村字仲村渠」(p.95)に「外観」(2点)と「全景」の写真が掲載さてています。
・『沖縄の水の文化誌:井戸再発見(くばのはゆブックス)』(長嶺操/著 ボーダーインク 1992.11)
「Ⅱ 沖縄の井戸探訪」に次の「ヒージャー」および「ヒージャーガー」の項目があり、それぞれの写真が掲載されています。
「27 本部町字渡久地 下ヌ樋川(シチャヌヒージャー)」(p.49)
「32 宜野座村字漢那 ヒージャーガー」(p.54)
「54 沖縄市字美里 ヒージャーガー」(p.75)
「57 宜野湾市字我如古 我如古樋川(ガネコヒージャー)」(p.76-77)
「58 宜野湾市字真志喜 森の川(ムイヌカー)」(p.78)
「59 宜野湾市字大山 ヒージャーガー」(p.79)
「68 浦添市字安波茶 安波茶樋川(アハチャヒージャー)」(p.89)
「71 那覇市首里金城町 金城大樋川(カナグスクウフヒージャー)」(p.91)
「75 那覇市首里寒川町 寒水川樋川(スンガーヒージャー)」(p.95)
「79 那覇市首里儀保町 宝口樋川(タカラグチヒージャー)」(p.99)
「83 那覇市天久 崎樋川(サチヒージャー)」(p.102)
「84 那覇市樋川 王樋川(オウヒージャー)」(p.103)
「90 南風原町字大名 大名樋川(オオナヒージャー)」(p.109)
「101 玉城村字前川 前川樋川(メーガーヒージャー)」(p.123)
「103 玉城村字垣花 垣花樋川(カキノハナヒージャー)」(p.126-127)
「109 大里村字真境名 真境名樋川(マジキナヒージャー)」(p.133-134)
「111 東風平町字当銘 ヒージャーガー」(p.136)
「119 糸満市字兼城 兼城ヒージャー(カネグスクヒージャー)」(p.146)
「120 糸満市字照屋 照屋樋川(テルヤヒージャー)」(p.147)
・『名水に会いたい:108の湧水を訪ねて』(南正時/著 グラフ社 2006.3)
「四国・九州・沖縄の水」に次の項目があり、それぞれ写真が掲載されています。
「琉球の歴史を支える湧水 寒水川樋川 沖縄県那覇市」(p.230-231)に「見事な石組み井戸」と記された写真が掲載されています。(p.231)
「最南端の名水百選 垣花樋川 沖縄県玉城村」(p.232-233)に「垣花樋川の「男川」」と記された写真が掲載されています。(p.233)
・『日本の都市環境デザイン 3 造景双書 中国・四国・九州・沖縄編』(都市環境デザイン会議/編著 建築資料研究社 2003.6)
「沖縄」の「都市環境デザイン・リスト&マップ」(p.119-121)に「21 仲村梁桶川井(なかんだかりヒージャーガー)」の写真が掲載さており(p.121)、「集落の共同水汲み場。石造の架け桶がある。」と 記されています。(p.119)
[事例作成日:2022年5月31日]
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 建設工学.土木工学 (510 10版)
- 参考資料
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- 沖縄の石造文化 福島/駿介∥著 沖縄出版 1987 (147-149)
- 水と生きる建築土木遺産 後藤/治‖編著 彰国社 2016.6 (142-146)
- 沖縄の土木遺産 「沖縄の土木遺産」編集委員会∥編 沖縄建設弘済会 2005.5 (153-154)
- 沖縄県の信仰に関する建造物 沖縄県教育庁文化課∥編集 ロマン書房本店 1992 (15,70-71,95)
- 沖縄の水の文化誌 長嶺/操∥著 ボーダーインク 1992.11 (49,54,75-79,89,91,95,99,102-103,109,123,126-127,133-134,136,146-147)
- 名水に会いたい 南/正時∥著 グラフ社 2006.3 (230-233)
- 日本の都市環境デザイン 3 都市環境デザイン会議∥編著 建築資料研究社 2003.6 (119,121)
- キーワード
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- 沖縄(オキナワ)
- 井戸(いど)
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 地名・地域
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000318705