レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 20230518
- 登録日時
- 2023/07/07 00:30
- 更新日時
- 2023/12/02 11:52
- 管理番号
- 0401005563
- 質問
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解決
ジェームス・クックの船に、オマイとトゥパイアという二人の人物が乗船していたという。この二人は同一人物か。
- 回答
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トゥパイアは第1回航海で乗船しインドネシアのバタヴィアにて死去し、オマイは第2回航海から乗船しているので、別人だと考えられる。
- 回答プロセス
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質問者によると以前に何かの記事で、どちらもタヒチ出身でキャプテン・クックの船に乗船していた人物で、二人ともタヒチから船に乗り、後にタヒチに送り届けられたという記述を見たように思うとのことだった。
【1】自館資料調査
人名典拠検索では該当なし。「トゥパイア」「オマイ」ともに綴りが不明なため、カタカナ表記で調査を行う。
自館所蔵の人名事典[資料1~5]を調査したが、ともに掲載なし。
「クック・ジェームズ(Cook,James<18世紀>)」の項目に掲載されていた辞典や自館所蔵の百科事典[資料6~20]、「キャプテンクック」で自館検索し該当した[資料21]について、それぞれ「オマイ」「トゥパイア」に関する記載がないか調査した。[資料20・21]に「オマイ」について記載あり。
[資料20]
「(James)クックの第2回航海のとき、通訳を務める。クックの僚船アドヴェンチャー号に乗ってイギリスに渡り[1775]、…[中略]…クックの第3回航海の時にソシエテ諸島に戻った[77]」(p514)
しかし、[資料20]に「トゥパイア」についての項目はなし。「クック」の項目も含めて確認したが「トゥパイア」についての記載は確認できなかった。
[資料21]の索引を見ると「オマイ」の項目はあるが、「トゥパイア」の項目なし。
【2】googlebooksで調査
キーワード「オマイ トゥパイア」で検索。[資料22]が該当。下記のように記載あり。
[資料22]
「【第1次探検航海】…金星観測のあと、島民のトゥバイアを乗せニュージーランドをほぼ1周、そののちオーストラリア東岸ボタニー湾に初めて上陸(1770年4月29日)した。…[中略]…ジャヴァ島のバタヴィア(ジャカルタ)では、タヒティ人の神職であり、航海の練達者であったトゥバイアのほか、乗組員を次々と失った。
【第2次探検航海】…離島するにあたって、オマイという島民の青年を同乗させた。」(p152)
[資料22]に参考資料として挙げられている資料を自館検索。[資料23]が該当。
【3】国立国会図書館デジタルコレクションで調査
[資料23]の全文検索を行うため、キーワード「太平洋航海記」で検索。下記①②が該当。
①『太平洋航海記 第一・第二航海篇』キャプテンクック著 (永続的識別子:info:ndljp/pid/1044504)
②『太平洋航海記 第三航海篇』キャプテンクック著 (永続的識別子:info:ndljp/pid/1044506)
キーワード「トゥパイア」で①②について全文検索を行ったが該当なし。
推測した表記違いから「トゥバイア」「トウバイア」「トウパイア」でも検索したが該当はなかった。
[資料22]に金星観測のあとトゥバイアが船に乗ったといった記載があったので、キーワードを「金星」に変更し再度全文検索。該当箇所を確認したところ、「トゥビア」という人名の記載があった。
再度キーワード「トゥビア」で全文検索を行ったところ、①の「第一回発見航海」の章に乗船時(p67-68/45-46コマ目)および死亡時(p183/103コマ目)の記載あり。
「オマイ」については①の「第二回発見航海」の章に、「オマイといふ名の若者を、自分の船に乗せてゆくことに同意した。(p264/144コマ目)」とあり、以降オマイに関する記載があった。
「トゥビア」が「トゥパイア」と同一人物であれば、[資料22]と一致するので、「トゥパイア」を「トゥビア」と表記している資料が他にないか調査する。
国立国会デジタルコレクションでキーワード「クック トゥビア」で全文検索したところ、『太平洋史』リーゼンバーグ/著(永続的識別子:info:ndljp/pid/1042889)が該当。
トゥビア(Tupia)というタヒチ人の乗船をクックが許したことと、トゥビアはその後バタヴィアで死んだことについて記載あり(p275/154コマ目)
[資料21]でも「トゥパイア」が別表記されていた可能性から、再度調査する。
[資料21]の「金星観測」以降の記述箇所について確認したところ、「ツパイア」という人物についての記載あり。p158に乗船時のこと、P215に死亡時のことについて書かれていた。
「トゥバイア」「トゥビア」「ツパイア」は、神官・僧侶・高位聖職者と肩書は異なっているが、乗船の時期や死亡した場所などが一致している。
(ポリネシア人と書かれている資料とタヒチ人と書かれている資料があったが、ポリネシア人は後にタヒチに移住した民族とのこと)
これらの資料の記述から、「トゥパイア」は第1回航海の際バタヴィアにて死亡し、「オマイ」は第2回航海の際に乗船しているので、時系列から考えて別人物だと考えられる。
- 事前調査事項
- NDC
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- 伝記 (280 10版)
- 参考資料
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- 西洋人物レファレンス事典 2-1,日外アソシエーツ株式会社/編,日外アソシエーツ,1984.2 (資料1/0111500146|R/283/セ/2-1)
- 西洋人物レファレンス事典 2-2,日外アソシエーツ株式会社/編,日外アソシエーツ,1984.2 (資料2/0111500179|R/283/セ/2-2)
- 西洋人物レファレンス事典 思想・哲学・歴史篇,日外アソシエーツ株式会社/編集,日外アソシエーツ,2012.12 (資料3/0141369884|R/283/ニ/)
- 外国人物レファレンス事典 6,日外アソシエーツ編集部/編,日外アソシエーツ,1999.3 (資料4/0117156760|R/280.3/ニ/(6))
- 外国人物レファレンス事典 7,日外アソシエーツ編集部/編,日外アソシエーツ,1999.3 (資料5/0117156778|R/280.3/ニ/(7))
- 外国人名事典,平凡社/編,平凡社,1954年 (資料6/0112783774|/280.3ヘ/シュ/027197)
- 岩波西洋人名辞典,岩波書店編集部/編,岩波書店,1981.12 (資料7/0112790001|R/280.3/イ/)
- コンサイス外国人名事典,三省堂編修所/編,三省堂,1999.4 (資料8/0117157743|R/280.3/サ/)
- 大日本百科事典 6 きりす?けん,相賀 徹夫/編,小学館,1968年 (資料9/0110262516|R/031タ/シュ/025168)
- 科学技術人名事典,I*アシモフ/著,共立出版,1971年 (資料10/0111116091|R/403.5/カ/)
- 科学・技術人名事典,都築 洋次郎/編著,日本図書センター,2012.6 (資料11/0119613339|R/403.3/ツ/)
- 新版世界人名辞典 東洋編,河部 利夫/編,東京堂出版,1973年 (資料12/0111388500|R/280.3/カ/)
- 世界伝記大事典 世界編 3 カ―クリ,桑原 武夫/編,ほるぷ出版,1980年 (資料13/0111385282|R/280.3/セ/)
- 新カトリック大事典 2,上智学院新カトリック大事典編纂委員会/編,研究社,1998.1 (資料14/0116893728|R/198.2/ジ/(2))
- 広辞苑,新村 出/編,岩波書店,2018.1 (資料15/0140772518|R/813.1/シ/)
- オセアニアを知る事典,小林 泉/監修,平凡社,2010.5 (資料16/0119958007|R/270/コ/)
- ブリタニカ国際大百科事典 6 クウ-コウカ,フランク・B*ギブニー/編,TBSブリタニカ,1994. (資料17/0116030388|R/031/ブ/)
- 世界大百科事典 8,平凡社,2005 (資料18/0118697663|R/031/セ/8)
- 日本大百科全書 7 きょぇ-くん,小学館,1986年 (資料19/0111987830|R/031/ニ/7)
- 岩波世界人名大辞典 第1分冊,岩波書店辞典編集部/編,岩波書店,2013.12 (資料20/0140471012|R/280.3/イ/1)
- キャプテン・クック,フランク・マクリン/著,東洋書林,2013.3 (資料21/0141363150|/289.3/ク/)
- 太平洋諸島百科事典,太平洋学会/編,原書房,1989年 (資料22/0113614739|R/297/タ/)
- 世界探検紀行全集 5 河出書房 1955 (資料23/0112782636|298/セ/5)
- キーワード
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- クック ジェームス
- キャプテンクック
- クック船長
- タヒチ
- バタヴィア
- トゥパイア
- トゥビア
- ツパイア
- オマイ
- 太平洋航海記
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 人物
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000335587