レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 20211227
- 登録日時
- 2022/07/05 00:30
- 更新日時
- 2022/10/03 12:18
- 管理番号
- 0401003826
- 質問
-
未解決
『東の村と西の村』という童話の掲載雑誌、掲載時期、著者名などの書誌情報を知りたい 。
- 回答
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調査したが、該当の童話を見つけることはできなかったため、回答プロセスにある調査結果を伝えた。
- 回答プロセス
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利用者から提示された情報は以下の通り。
・子どもの雑誌(「キンダーブック」もしくは「ひかりのくに」)に掲載されていた。
・可能性がある掲載時期は、1984年(昭和59年)か1985年(昭和60年)ごろ。もしくは1955年(昭和30年)ごろ。タケイタケオ氏の童話が掲載されていた時期。
・内容は、「あるとき、東の村と西の村の境界がわからなくなった。そこで、朝、一番どりが鳴いたら両方の村から馬を走らせ、両者が出会った場所を村境とするということになった。東の村は馬にごちそうを食べさせて、早く走れるように、西の村はニワトリにごちそうを食べさせて、早く時を告げるようにした。翌朝、馬もニワトリも食べ過ぎで寝過ごし、両方の村の馬は村境めざして、大慌てで走ったが、結果は昔の境界線と同じだった」というもの。
1、タイトルについて
●事前調査で判明していた「北方と南方の村ざかい」というタイトルで、インターネット検索した結果
「まんが日本昔ばなし~データベース~」
http://nihon.syoukoukai.com/modules/stories/index.php?lid=188&cid=43(2021/12/23最終確認)
1978年(昭和53年)1月7日放送
太陽企画動画 文芸:沖島勲 美術:青木稔 作画:大和大
出典『安芸・備後の民話』第2集(日本の民話23)垣内稔 未来社 1959.11
原題「北方と南方の村ざかい」
出典の資料について、県内の所蔵館(熊本大学付属図書館のみ所蔵。2015年刊の新装版を熊本市立図書館本館が所蔵。)を案内。
●「東の村と西の村」というタイトルで国立国会図書館サーチで検索した結果 4件ヒット
①『日本ひとくち噺』筒井敏雄 東光出版社 1957.12 「東の村と西の村」
(県内なし。北海道立図書館、石川県立図書館のみ)
②『ねむりひめ』(ワイドカラー世界の名作童話15)新川和江ほか 講談社 1968 「東の村と西の村と」
(国立国会図書館デジタルコレクション(館内限定))
③『こどものための日本ひとくち噺』筒井敏雄 東光出版社 1960.6 「東の村と西の村」
(東京都立多摩図書館のみ)
④『小学校へ入る迄の子供に聞かせる話』加藤美侖 1925 「東の村と西の村の喧嘩:草刈場の境争ひ」
(国立国会図書館デジタルコレクション(インターネット公開 永続的識別子 info:ndljp/pid/1017008))
うち、内容を確認できたのは④のみ。あらすじは酷似しているが、結末は西の村の草刈場が狭くなるというもので異なる。
●「東の村 西の村 馬」というキーワードで、GoogleBooksで検索
『新しい学校劇2』低学年第2巻 岡田陽ほか/編 玉川大学出版部 1985 「まきばのさいばん」(粉川光一)
https://www.google.co.jp/books/edition/%E6%96%B0%E3%81%97%E3%81%84%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E5%8A%87_2/PnshodChaLQC?hl=ja&gbpv=0(2021/12/23最終確認)
(県内 おおづ図書館所蔵)
内容を確認すると、東西の村が馬を走らせる点は同じだが、お殿様が裁くという点で異なる。
2、「キンダーブック」と「ひかりのくに」について
・「キンダーブック」について
基本事項は、リサーチ・ナビ(国立国会図書館)を参照。
「キンダーブック:リサーチナビ」https://rnavi.ndl.go.jp/research_guide/entry/post-208.php(2021/12/23最終確認)
候補年の出版状況は以下の4タイトルであるとわかる。
・「キンダーブック : 観察絵本」
1946.8 (1集1編)~1964.3 (18集12編)
・「キンダーブック 1 情操」
1972.4 (9集1編)~1989.3 (25集12編)
・「キンダーブック 2 観察」
1972.4 (27集1編)~1989.3 (43集12編)
・「しぜん : キンダーブック」
1975.4 (4集1編)~
国立国会図書館デジタルコレクションで検索。
1927年~1969年のものはデジタル化されていることが確認できる。
キーワード:キンダーブック 出版年:1955年 12件 ※1950~1959年 126件
ちなみに「東の村西の村」「北方と南方の村ざかい」に関連するキーワードで該当するものはなかった。
いずれも国立国会図書館内限定公開なので内容は確認できないが、目次を確認することはできる。
1955年出版の12件については目次を確認したが、該当しそうなものは確認できなかった。
・「ひかりのくに」について
1946年創刊。
国立国会図書館デジタルコレクションで検索。
1946年~1970年のものはデジタル化されていることが確認できる(欠あり)。
タイトル:ひかりのくに 資料種別:雑誌 出版年:1955年 12件 ※1950~1959年 107件
ちなみに「東の村西の村」「北方と南方の村ざかい」に関連するキーワードで該当するものはなかった。
いずれも国立国会図書館内限定公開なので内容は確認できないが、目次を確認することはできる。
1955年出版の12件については目次を確認したが、該当しそうなものは確認できなかった。
「キンダーブック」も「ひかりのくに」も目次等のデータベースに相当するものがなく、合理的な検索手段がない。
また、1984~1985年に関しては、国立国会図書館のデジタルコレクションにも国立国会図書館サーチでも目次が採録されていないため、タイトルから検索することができない。
[補足]タケイタケオ氏について
『日本児童文学大事典』第1巻 P.441~444より
おそらく武井武雄(1894年6月25日-1983年2月7日)氏のことではないか。
国立国会図書館デジタルコレクションにて、「キンダーブック」「ひかりのくに」と合わせて検索すると1950~1960年代に多数の作品が掲載されていることがわかる。
しかし、1980年代の目次を確認できないので、1955年とは断定できない。
- 事前調査事項
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利用者が他館のレファレンスサービスに問い合わせた結果の回答より。
(熊本大学附属図書館レファレンス事例 https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000312003 参照)
おそらく、広島県に伝わる民話の「北方と南方の村ざかい」ではないか。東は北、西は南と方角が異なるだけで、質問内容にあったあらすじとほぼ一致していた。「北方と南方の村ざかい」は、下記に収録されている。
垣内稔『安芸・備後の民話 第2集』日本の民話23巻、未来社、1959年、223-226頁。
- NDC
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- 伝説.民話[昔話] (388 10版)
- 小説.物語 (913 10版)
- 参考資料
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- 日本児童文学大事典 第1巻 人名 あ~と,大阪国際児童文学館,大日本図書,1993. (P.441~444 武井武雄|0115664930|児研/909/ニ/)
- キーワード
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- キンダーブック
- ひかりのくに
- 東の村と西の村
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 書誌的事項調査
- 内容種別
- その他
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000318147