①資料に記載されている「山梨」を特定するために、『徳山村史』(徳山村史編集委員会,1973年)以外の徳山村に関する資料を確認したが、確かな情報を得ることが出来なかった。
②「ヤマナシ」をキーワードとして新聞記事検索をしたところ、以下の記事が該当した。
・「ナシじゃなくてリンゴです 県天然記念物の名称変更 可児の巨木『オオウラジロノキ』に」(中日新聞, 2006年6月10日
朝刊 p17)
可児市に所在する県指定天然記念物の「ヤマナシ」が「オオウラジロノキ」に名称変更されたことを報じる記事。県教育委員会のコメントとして、指定当時(1968年)は「ヤマナシ」と「オオウラジロノキ」の分類がはっきりしていなかったが、その後分類法が変わって両者を区別するようになった旨の記述あり。
・「森の案内人が行く オオウラジロノキ」(岐阜新聞,2014年10月28日付朝刊 p10)
「オオウラジロノキ」が「ヤマナシ」と呼ばれること、樹皮から黄色の染料を作ることができ、西陣織で黄金光沢を出すために利用されたとの記述あり。
③②で得た情報をもとに、以下の資料で「オオウラジロノキ」「ヤマナシ」について確認した。
『APG原色樹木大図鑑』(邑田仁 北隆館,2016年)
548.オオウラジロノキ(p344)の【分布】の項には「本州、四国、九州(九重山)」、【用途】の項には「材は器具、家具、柄などに用いる。樹皮は染料、織物の銀箔偽物にする」との記述あり。オオウラジロノキの別名として(オオズミ、ヤマリンゴ)と記載されているが、「ヤマナシ」の名はなかった。
556.ヤマナシ(p349)の【分布】の項には「本州、四国、九州、朝鮮半島、中国。日本のものは古い時代に渡来したものであるという説もある」との記述あり。【用途】には「材は器具材。果実は堅く、酸味が強くざらざらするが食べられる」とあるが、樹皮については触れていなかった。
『新分類牧野日本植物図鑑』(牧野富太郎 北隆館,2007年)
1985.オオウラジロノキの項(p608)には、別名として(オオズミ、ヤマリンゴ)とあり、かつてはオオズミという和名をあてていたがまぎらわしいので和名を変更したとあるが、別名として「ヤマナシ」と呼ばれていたことは記載されていなかった。
『岐阜県の植物方言辞典』(金子弘之,2010年)
「ヤマナシ」(Pyrus pyrifolia Nakai)の項(p193)に、徳山村の方言では「ヤマナシ」と呼ばれていたとの記述あり。 「オオウラジロノキ」(Malus tschonoskii Schneid)の項(p37)には、揖斐郡の方言では「ヒメナシ」と呼ばれていたとの記述あり。
④「ヤマナシ」「オオウラジロノキ」「樹皮」「箔」のキーワードを組み合わせて資料検索したが、該当する資料はなかった。
WebOPAC(郷土新聞記事検索、郷土雑誌記事検索を含む)
https://www.library.pref.gifu.lg.jp/winj/opac/search-detail.do?lang=ja岐阜県関係資料の目次
https://www.library.pref.gifu.lg.jp/gifu-map/gifu-related-materials/toc/⑤以下のデータベースで④と同様の検索をしたが、上述の記事以外に該当はなかった。
岐阜新聞電子縮刷版検索(記事データベース)
中日新聞東京新聞記事データベース
朝日新聞記事データベース
ルーラル電子図書館(農業情報が検索できるデータベース)
⑥その他、徳山村に関する図書、金箔・銀箔細工に図書、染色や西陣織に関する以下の資料を調べたが、該当する記述はなかった。
『美濃徳山村民俗誌』(刀江書院,1951年)
「二 家業と衣食住」に「この外、山の仕事としては、カンバ(櫻)、キワダ、ヤマナシの樹皮を剥ぐ仕事等もあった」とあるが、用途については記載なし。(p52)
『徳山村 その自然と歴史と文化』(山村の自然と歴史と文化を語る集い ブックショップ「マイタウン」,1984年)
『徳山村 その自然と歴史と文化』(山村の自然と歴史と文化を語る集い ブックショップ「マイタウン」,1985年)
『徳山 民俗資料緊急調査報告書』(岐阜県教育委員会刊,1973年)
『截金』(松久真や 淡交社,2003年)
『趣味の金銀箔色紙・料紙づくり』(飯島秀雄 マール社,1989年)
『ウールの植物染色』(寺村祐子 文化出版局,1984年)
『日本の伝統染織事典』(中江克己 東京堂出版,2013年)
『染織事典』(中江克己 泰流社,1993年)
『標準原色図鑑全集 13』(保育社,1978年)
『日本染織総華 8』(浦野理一 文化出版局,1974年)
『日本染織文献総覧』(後藤捷一 染織と生活社,1980年)
『和漢三才図会 15』(寺島良安 平凡社,1990年)
『色 染と色彩』(前田雨城 法政大学出版局,1980年)
『天然染料の科学』(青木正明 日刊工業新聞社,2019年)
『自然の色を染める』(吉岡幸雄 紫紅社,2016年)
『近代庶民生活誌 5』(南博三 一書房刊,1986年)
『人づくり風土記 26』(加藤秀俊 農山漁村文化協会,1988年)
『西陣織屋のおぼえ書き』(高尾弘 世界文化社,2015年)
『西陣織屋ことば辞典』(中西信弥 ウインかもがわ,1999年)