1について
(1)『授業を楽しくする数学用語の由来』片野 善一郎/著、明治図書、1988年
p.84「方程式、一元一次方程式、連立方程式」に以下の記述があった。
「中国の『九章算術』巻第八「方程」が起源である。」
この情報を基に、「九章算術」で検索したところ、以下の資料が見つかった。
(2)『古代中国数学「九章算術」を楽しむ本』孫 栄健/編・著、言視舎、2016年
p.141「方程」に以下の記述があった。
「方程とは計算盤上に方(ほう)(四角)に程(わりあて)るとの意味である。今日の方程式という言葉の語源がこれである。」
また、「九章算術」の本文は以下の資料に掲載されている。
(3)『世界の名著 続1(中国の科学)』中央公論社、1975年
2について
手がかりを探すため、辞書で「方程式」を調べたところ下記の資料が見つかった。
(1)『日本国語大辞典』第二版(小学館)に語誌として以下の記述があった。
「漢籍では、「九章算術」に「方程」が見えるが、「英華字典」(1866~69)でEquation の訳語として「方程式」が用いられ、
日本では、挙例の「附音挿図英和字彙」が最初にそれを取り入れたと考えられる。」
(挙例の「附音挿図英和字彙」とは、1873年のもののこと。)
(2)『附音挿図英和字彙』子安峻 柴田昌吉/共編、日就社、1873年 に、「Equation 方程式(算家の語)」とある。
こちらの資料は国立国会図書館デジタルコレクションでも閲覧できる。
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2938261 (174コマ目)
(3)『英華字典』は、国立国会図書館デジタルコレクションでは、1883年に出版されたものがインターネット公開されている。
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/994614 235コマ目に「Equation」の訳が掲載されており、「equation in algebra, 方程式」とある。
なお、1866~1869年のものは、岐阜大学が所蔵している。
http://opac.lib.gifu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BA11946584用語として正式に取り入れられた理由や事情については該当する資料を見つけることができなかった。