レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2022/08/02
- 登録日時
- 2022/09/02 00:30
- 更新日時
- 2022/09/22 13:41
- 管理番号
- 12508188
- 質問
-
解決
1923年に刊行されたNikolai Konradの『伊勢物語』ロシア語訳の所蔵機関を知りたい。
- 回答
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以下に所蔵の可能性がある国内外の機関をご紹介します。
当該資料の形態については、平安文学翻訳史(伊藤鉄也)(https://genjiito.org/heian_ltrt/heian_history/)で「konrad」で検索すると、「表紙・関連情報」にて外形の情報を確認できますので、参考としてあわせてお知らせします。
【 】内は国立国会図書館請求記号です。
(1)国内
早稲田大学図書館(https://www.waseda.jp/library/)
* Исэ-моногатари : лирическая повесть древней Японии / перевод и предисловие, Н. Конрад.:https://waseda.primo.exlibrisgroup.com/permalink/81SOKEI_WUNI/7jeksk/alma991013358519704032
* 上記の書誌情報からは出版年が不明ですが、後述のイスラエル国立図書館の所蔵目録に、1923年刊の168ページ(出版者にモスクワの記載あり)の資料が確認され、それらの書誌情報は本資料と一致しています。
天理大学附属天理図書館(https://www.tcl.gr.jp/)
* Исэ-моногатари : лирическая повесть древней Японии / перевод Н. Конрад:https://tclopac.tenri-u.ac.jp/opac/opac_link/bibid/1000447548
* 刊行年不明・168ページ。
* CiNii Booksからも確認できます:https://ci.nii.ac.jp/ncid/BA7464172X
東洋大学図書館(https://www.toyo.ac.jp/library/top/)
* Исэ-моногатари : лирическая повесть древней Японии / перевод Н. Конрад:http://triton.lib.toyo.ac.jp/detail?bbid=U100784767
* 同上。
(2)海外
The National Library of Israel(https://www.nli.org.il/en)
* Исэ-Моногатари : лирическая повесть древней Японии / перев. и предисл. Н. Конрад[!]:https://www.nli.org.il/en/books/NNL_ALEPH002221422/NLI
Российская государственная библиотека (The Russian State Library:https://www.rsl.ru/en)
* Cataloguesのページ(https://www.rsl.ru/en/catalogues/)の、The General Digital Catalogueのリンクをクリックすると開く検索画面で、Multi-field Searchを選択し、Authorの欄にКонрад、Titleの欄にИсэ-моногатариを入力して検索すると、1923年刊行の次のタイトルのデータが2件ヒットします。
・Исэ-моногатари Лирическая повесть древней Японии Пер. и предисл. Н. Конрад
・Исэ-моногатари лирическая повесть древней Японии [начала X века] пер. и предисл. Н. Конрад [[Текст] :]
* Full View of RecordのImprintにはПетроград([Петроград])とあります。
(参考)Bibliothèque nationale de France(https://www.bnf.fr/fr)
* [Rasskazy iz Isê. "Ise monogatari."] [Texte imprimé]:http://ark.bnf.fr/ark:/12148/cb394143756
* 著者Konradの「伊勢物語」(1923年と推定)とありますが、Note(s)の記載より、同年に雑誌『東洋』に掲載されたものと推察されます(『「世界文学」はつくられる = how "world literature" was tempered = как закалялась 《всемирная литература》 : 1827-2020』【KE152-M5】p.259註6)。
[その他の調査済資料およびウェブサイト]
伊藤鉄也 編『海外における平安文学』国文学研究資料館調査収集事業部, 2005.2【KG1-H25】
* pp.60-61「49 ISE MONOGATIRI」:1979年刊資料の解題。Nikolai Iosifovich Konradによるロシア語訳・1923年初版本の再版本とのことです。当館所蔵のIsė monogatari【KG52-A2】が該当すると思われます。
* p.62「50 ISE MONOGATIRI:Iaponskaia Povest Nachala X Veka」:2000年刊資料の解題。上記と同じく1923年初版本の再版本。当館所蔵のIsė monogatari【KG52-A3】が該当すると思われます。
木村彰一「ニコライ・コンラドによる『伊勢物語』の露訳」(『ロシア手帖』(1) 1971.6 pp.22-24【Z12-250】)
* p.22:著者手元のニコライ・コンラド『伊勢物語』(※)のロシア語訳について書かれています(ただし、所蔵者は同僚の米川哲夫氏)。172ページの仮綴じ小型本として単行されたものであること、発行の年代が書いていないこと、マクシム・ゴーリキーの企画する「世界の文学」叢書である旨記載があります。また、『東洋と西洋』下巻の記載を根拠に、「一九二一年に出版されたものであること知った」とあります。
(※)タイトルは次のとおり:ИСЭ МОНОГАТАРИ/ЛИРИЧЕСКАЯ ПОВЕСТЬ ДРЕВНЕЙ ЯПОНИИ/ПЕРЕВОД И /ПРЕДИСЛОВИЕ/Н. КОНРАД/ВСЕМИРНАЯ ЛИТЕРАТУРА/ГОСУДАРСТВЕННОЕ ИЗДАТЕЛЬСТВО
* 筆者の当時の勤務先は東京大学だったようです(「木村彰一教授略歴・著作目録」『スラヴ研究』(通号 33) 1986 pp.117-122【Z22-355】より)。
N.I.コンラド 著, 大沢正 等訳『東洋と西洋 下巻 (ヒューマニズムの形成)』理論社, 1969【KE181-1】
* pp.294-304 イ・エス・ブラギンスキー「付録1=アカデミー会員エヌ・イ・コンラドの五十年をこえる学問的活動」:「一九二一年に彼(引用者注:コンラドを指す)は、(中略)『伊勢物語』を翻訳し」とあります(p.296)。
戸塚隆子「ロシアに於ける日本研究--日本文学研究を中心に」(『国際関係研究』19(1) 1998.7 pp.127-148【Z1-483】※国立国会図書館デジタルコレクション(個人・図書館送信対象資料))
* p.130「コンラッドは1921年、『伊勢物語』を翻訳した」との記載があります。また、p.147の注1には、「“ИСЭ МОНОГАТАРИ”M. 1921.」とあります。
加藤 百合「ニコライ・コンラド小伝 (比較研究の先達たち<特輯>)」(『比較文學研究』(通号 59) 1991.6 pp.85-95【Z12-76】)
* p.87:「コンラドは、帰国直後一九二〇年代から三〇年代半は(引用者注:ママ)にかけては、『方丈記』(一九二一)、『伊勢物語』(同上)、(中略)等、日本文学の翻訳紹介を積極的に行った」とあります。
秋草俊一郎 著『「世界文学」はつくられる = how "world literature" was tempered = как закалялась 《всемирная литература》 : 1827-2020』東京大学出版会, 2020.6【KE152-M5】
* pp.145-181「第Ⅱ部―マルクスの亡霊たち」>「第一―革命と世界のカタログ化1918-1925」:ゴーリキーと世界文学出版所について論じられています。世界文学出版所について、1918年にペトログラードで立ち上げられたとあります(pp.146-147)。
* p.172:「世界文学出版所から実際に刊行された日本文学の書目は『伊勢物語』一点のみだった」との記載があります。
* pp.172-174「10 物資・資金不足のなかで」:この章は日本文学以外の刊行物の動向を追ったものですが、1921年に世界文学出版所は1冊も刊行をできなかった旨の記載があります。
* pp.174-177「11 世界文学出版所の終焉」:1921年の秋に、ゴーリキーはイタリアに去っていったこと、1922年に世界文学出版所が国立出版所の一部となったこと等(1924年事実上の解散・1925年活動停止)に言及されています。
* pp.235-264「「世界文学」に翻弄された男 東洋学者ニコライ・コンラド 1922-1970」:1922年にコンラドがペトログラード大学に招聘され、世界文学出版所で日本文学の翻訳を担当したとあります。同大学で『伊勢物語』を講じたこと等より、世界文学出版所からシリーズの1冊として『伊勢物語』が刊行されたと思われる旨が書かれています(p.236)。
* p.259註6:伊勢物語の「全訳の刊行に先がけて、一九二三年には、やはり世界文学出版所刊行の雑誌『東洋』に一部が解説付きで訳出されている」とあります。当該記事の書誌事項に、「C.41-54」とあります。
大阪市立大学文学研究科叢書編集委員会 編『都市の異文化交流 : 大阪と世界を結ぶ (大阪市立大学文学研究科叢書 ; 第2巻)』清文堂出版, 2004.3【EC211-H72】
* pp.165-182 浅岡宣彦「ロシアにおける日本研究」:コンラドが「世界文学」シリーズの一環として、詳細な序文と注解を付した『伊勢物語』の訳本を1923年に刊行したとあります(p.171)。
* p.179(記事末尾(pp.176-181)に日本文学に関する主要な研究書と翻訳のリストが掲載されています):「『伊勢物語』(N.I コンラッド訳)、1921年」
* p.182注23:研究書・翻訳の一覧作成に在露日本大使館ホームページも参照したとあります。
* (参考)Internet Archiveによる過去の在露日本大使館のサイト:https://web.archive.org/web/20050310194812/http://embjapan.ru/culture/translation.html
WorldCat(https://www.worldcat.org/)
Index Translationum(UNESCO)(https://www.unesco.org/xtrans/bsform.aspx)
ウェブサイトの最終アクセスは2022年7月30日です。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
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国立国会図書館サーチ
- NDC
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- 小説.物語 (913 10版)
- 参考資料
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 人文(レファレンス)
- 調査種別
- 書誌的事項調査 所蔵機関調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000320603