レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2022/07/21
- 登録日時
- 2022/08/02 00:30
- 更新日時
- 2022/08/18 17:51
- 管理番号
- 12431765
- 質問
-
未解決
東京都指定旧跡「松原庵星布墓」に東京都教育委員会が設置した解説版が掲示されている。その文中に「星布は和歌は万葉調を好んでよみ」云々との記載があると仄聞した。
星布がよんだ万葉調の和歌を所載する資料はあるか。
- 回答
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榎本星布の和歌は、貴館調査済みのもの以外、見当たりませんでした。
<主な調査済資料およびウェブサイト (【 】内は当館請求記号、※は国立国会図書館デジタルコレクションの国立国会図書館/図書館・個人送信限定資料、☆はインターネット公開資料です。)>
・松崎潤子「中興女流俳人 榎本星布「星布尼句集」より」(『江戸期おんな考』(3) 1992.9 pp.86-98【Z6-3520】)※
→pp.93-94に、万葉集の歌を踏まえたとされる星布の句が元の歌と共に3点記載されています。
・矢島渚男「榎本星布の秀句」(『俳句』27(8) 1978.8 pp.143-147【Z13-189】)
→p.144に、星布が万葉集を愛読していたとみられる旨の記述があります。
・市古夏生, 菅聡子 編『日本女性文学大事典』日本図書センター 2006.1【KG2-H39】
→p.355に、「星布の句は和漢にわたる古典的教養をもとに作られているものが多い。(略)万葉の古歌を典拠とし(略)」と記述されています。
・八王子市 編『八王子』八王子市 大正15【556-116】国立国会図書館デジタルコレクション(インターネット公開)
→pp.193-195「一〇、史蹟名勝」>「松原庵星布の墓」:p.194に、星布について「和歌は萬葉を好み」との記述があります。
・高勢 祥子「『榎本星布論』」(『白門国文』(16) 1999 pp.16-27【Z13-B659】)※
→p.23に、星布の「芹つミに(略)」の句が万葉集の歌を踏まえている旨の記述があります。
・門玲子 著『江戸女流文学の発見 : 光ある身こそくるしき思ひなれ』新版 藤原書店 2006.3【KG211-H22】
→p.323に、星布の「芹つみに(略)」の句が万葉集の歌を踏まえている旨の記述があります。
・佐々木和子 著『多摩の文学散歩』けやき出版 1993.6【KG748-E201】
→p.190に、星布が万葉集に通じていた旨の記述があります。
・川島つゆ 著『女流俳人』明治書院 1957【911.302-Ka946z】※
・女子学習院 編『女流著作解題』女子学習院 昭14【764-86イ】☆
・西谷勢之介 著『天明俳人論』交蘭社 昭和4【596-152】※
・『俳人真蹟全集』第9卷、第11卷 平凡社 昭5至14【153-83】※
→第9巻 天明時代 下、第11巻 化政時代
・八王子市企画部広報課 編『ふるさと八王子』八王子市 1980.1【GC69-106】※
・高木蒼梧 著『俳諧人名辞典』明治書院 1960【911.3035-Ta193h】※
・伊地知鉄男 等編『俳諧大辞典』明治書院 1957 3版 【911.3033-H1322-I】※
・森銑三 編『人物逸話辞典』上巻 東京堂 1963【281.03-M782z】※
・高群逸枝 著『大日本女性人名辞書 増補』厚生閣 1939【281.03-Ta348d-(h)】☆
・古賀牧人 著『石に刻まれた江戸・武蔵』けやき出版 2012.8【GC65-L2】
・柿衞文庫 編『近世の女性俳人 : 柿衞文庫特別展』柿衞文庫 2001.10【KG251-L21】
・角川学芸出版 編『女性俳句の出発』(鑑賞女性俳句の世界 ; 第1巻)角川学芸出版 2008.1 【KG721-J3】
・別所真紀子 著『芭蕉にひらかれた俳諧の女性史 : 六十六人の小町たち』オリジン出版センター 1989.11【KG262-E40】
・小磯純子 著『俳諧と紀行文学 : 研究と資料』勉誠出版 2008.3【KG293-J2】
・日本人名情報研究会 編著『日本女性人名総索引』上(あーち) 日本図書センター 2002.9 【GB12-G48】
・柴桂子 監修, 桂文庫 編・著『江戸期おんな表現者事典』現代書館 2015.2【GB12-L22】
・日外アソシエーツ株式会社 編集『日本人物文献索引』文学2005-2019 日外アソシエーツ 2021.4【GB1-M17】
・石黒吉次郎 監修, 日外アソシエーツ株式会社 編『日本文学研究文献要覧』古典文学 2000-2004 日外アソシエーツ 2006.7【KG1-H54】
・松崎潤子「中興女流俳人榎本星布―『星布尼句集』以後の星布」(『江戸期おんな考』(7) 1996 pp.48-65【Z6-3520】)※
・松崎潤子「化政期の女流俳人―晩年の星布と花讃女」(『江戸期おんな考』(4) 1993.9 pp.44-56【Z6-3520】)※
・江中真弓「古典逍遙 榎本星布」(『寒雷』(586) 1992.5 p.46【Z13-280】)※
・中里達郞「榎本星布尼のこと」(『江戸文化』3(7) 1929.7 pp.36-41【雑19-45】)※
・荻野淸「晚年の星布尼に就て」(『筑波』(2月號)(48)1932.2 pp.4-7【雑12-22】)※
・池上浩山人「諸九尼と星布女」(『俳句』1(5) 1952.10 pp.72-79【Z13-189】)
・秋山素子「近世女流句集拝見 榎本星布」(『鹿火屋』(855) 1995.7 pp.32-35【Z13-264】)
・左方郁子「文人の女性 「19」俳人松原庵星布尼」(『歴史と旅』10(10)(124) 1983.8 pp.84-85【Z8-990】)
・矢羽勝幸「閨秀俳人 榎本星布」(『長野』(320) 2022.1 pp.50-56【Z8-518】)
・斎藤紫石「星布尼と埼玉俳人」(『埼玉史談』1963 9(4) pp.1-12【Z8-298】)
・福生市郷土資料室(https://www.museum.fussa.tokyo.jp/) > 俳諧資料(https://www.museum.fussa.tokyo.jp/collection/haiku)
・次世代デジタルライブラリー(https://lab.ndl.go.jp/dl/fulltext)
・JapanKnowledge Lib(当館契約データベース)
(ウェブサイトへの最終アクセスは2022年7月13日)
- 回答プロセス
- 事前調査事項
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・自館OPACや各種データベースで「榎本星布」「松原星布」「松原庵星布」「星布」等のキーワードで検索。調査過程で別号が「芝紅」「糸明窓」であること、姓が「榎本」であることもわかったため、キーワードに加えて調査。
・『多摩文化 第5号』(1960年 多摩文化研究会)p.26に、太田蜀山人と星布の合作という和歌が掲載されていたが、「万葉調の和歌」であるかまではわからなかった。
・星布が和歌の万葉を好み、『万葉集』の歌を踏まえた句を詠んでいたといった記述はいくつか見出せたが、松原庵星布の和歌が記載された資料は見当たらなかった。「星布は和歌は万葉調を好んでよみ」の一文は、「~好んで詠み」ではなく「~好んで読み」という意味ではないかとも考えられる。
〔調査資料一覧〕
・『八王子を中心とせる郷土偉人傳』(1985年 清水庫之祐)p.1~「松原庵星布」について記載あり。p.4に、「尼は常に物語、日記等の和文を耽読し、和歌は萬葉を好み、又漢詩等にも至つて學殖頗る深かつた。」(pp.4-5)とあったが、自分で和歌を詠んだというような記述はなかった。
・『女性俳句の世界』(1989年 岩波書店)p.45~「榎本星布」の記載あり。p.47に星布作の「芹つみに国栖の処女等出でんかな」の句があり、「右の句は、『万葉集』巻十の春相聞「国栖らが春菜摘むらむ司馬の野のしばしば君を思ふこのころ」を踏まえる。」との記述があるが、星布の作った和歌は見当たらなかった。
・『多摩の文学碑』(1981年 武蔵野郷土史刊行会)p.205~大義寺の「榎本星布墓」の記載あり。p.207に「俳句の他に万葉調の歌を詠み、漢詩に通じ、絵も能くしたという多摩第一の女流文学者…」との一文があるが、和歌は載っていない。
・『多摩文学散歩』(1996年 有峰書店新社)p.291~大義寺の「榎本星布墓」の記載あり。P.292に、「『星布尼句集』を読むと、万葉・源氏はいうまでもなく、土佐日記・宇治拾遺も読み、芭蕉に強い畏敬の念を抱いていたことがわかる。」との一文はあるが、和歌は見当たらない。
・『榎本星布全句集』(2011年 勉誠出版株式会社)、『榎本星布尼句集』(1998年 古典文庫)、『榎本星布尼句集』(郷土資料館資料シリーズ 第46号)(2006年 八王子市教育委員会)、『榎本星布撰句集』(2010年 かたくら書店)、『松原庵の宗匠-星布と友昇の俳諧-』(2009年 福生市教育委員会)、『近世八王子文芸の息吹-学問と芸術の世界』(2018年 八王子市教育委員会)、『多摩のあゆみ』(たましん地域文化財団)の第三十七号、第七十一~七十四号、『やさしい八王子市の歴史』(1978年 武蔵野郷土史刊行会)、『俳人榎本星布 研究と資料』(2012年 ブイツーソリューション)等も確認済。
〔調査に用いたデータベース一覧〕
・国立国会図書館オンライン(国立国会図書館)https://ndlonline.ndl.go.jp/
・リサーチ・ナビ(国立国会図書館)https://rnavi.ndl.go.jp/rnavi/
・CiNii Research(国立情報学研究所)https://cir.nii.ac.jp/all
・Google Books(Google)https://books.google.co.jp/
・雑誌記事索引集成データベース ざっさくプラス(皓星社)
・MAGAZINEPLUS(日外アソシエーツ)
・ジャパンナレッジ Lib(ネットアドバンス)
・WhoPlus(日外アソシエーツ)
- NDC
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- 詩歌 (911 10版)
- 参考資料
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 人文(レファレンス)
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000319485