レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2023年07月14日
- 登録日時
- 2023/07/14 11:26
- 更新日時
- 2023/07/20 13:27
- 管理番号
- B2023口頭0701
- 質問
-
解決
日本建築における「隠し蟻」とはどんなものなのか知りたい。
- 回答
-
資料1によると、建築などにおいて「蟻」とは、継手(木材相互の組合わせ方法で、2つの部材の寸法を増すための接合)・仕口(木材相互の組合わせ方法で2つ以上の部材の角度を持たせた接合)に用いられる、先端が鳩の尾のように広がった台形形状の部分の総称です。
また、「隠し蟻」についても記載があり、「留めの収まりに用いる仕口で、木口に2~4の蟻型の枘を差し組み合わせたもの」であり、「『隅留め蟻』ともいう」とあり、また、「長押に用いられる雛留めとほぼ同じ納まりであるが三方留めとなる」とあります。
資料2では、矩組み接ぎ(90度に木材を組み合わせる)の一種として「隠し蟻形組み接ぎ」の説明と図解が掲載されています。隠し蟻形組み接ぎとは、「留め合わせ代を残した蟻形を合わせ欠きした(中略)組み接ぎ」と説明があります。
資料3でも、仕口の種類としての「組手」として「隠し蟻」について「蟻を材の中に差し込んで横に移動させて組む事によって抜けなくなる。蟻を差し込む穴は、指し込む材(蟻が刻まれている材)の小口によって隠されて、仕口が隠れて見えなくなっているのでこの名前がある」と説明があります。また、「矩継ぎ」の一種として、「隠し蟻型組継ぎ」の説明と図解が掲載されています。「留め合わせ部分を残した蟻型を合わせ欠きにした(中略)組み継ぎ」と説明があります。
資料4では、「隠し蟻組み接ぎ」が、他の蟻組み接ぎとどのように異なり、どのような場合に用いられるか、「隠し蟻組み接ぎ」の手順についての解説と図解などが掲載されています。
「隠し蟻組み接ぎは(中略)、組み立てた部分の周囲で木目が見た目上途切れない」、「隠し蟻組み接ぎでは、(中略)蟻型が見えないようにピンとテイルが重なり合う」、「(前略)ピンかテイルのどちらかに段欠きがあり、接合部が見えない配置になっている接ぎ方である」などの説明があります。
以上から、「隠し蟻」とは、例えば、隠し蟻形組み接ぎのような、接いだ木材のどちらの側からも蟻型の枘が見えないような継手・仕口の技法を指していることが分かりました。
なお、国立国会図書館作成「リサーチ・ナビ」の目次データベース( https://rnavi.ndl.go.jp/jp/mokuji/index.html )を「隠し蟻」でキーワード検索すると、資料1~資料4がヒットし、これらの資料内に、「隠し蟻」や「隠し蟻組み接ぎ」などの項目があることが分かります。
【 】内は当館の請求記号です。
インターネットの最終アクセス日は2023年5月23日です。
資料1 高橋昌巳, 小林一元, 宮越喜彦 編著. 伝統木造建築事典. 井上書院, 2018 【NA2-L53】
資料2 鳥海義之助 著. 図解木工の継手と仕口. オーム社, 2016 【PS31-L19】
資料3 横濱金平, 池谷正美 著. 規矩尺術 さしがねの技法. まち・すまいづくり, 2006 【NA124-J4】
資料4 富樫新三 著 ; オーム社開発局 企画編集. 木造建築の継手と仕口. オーム社, 2013 【NA84-L7】
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
-
- 建築計画.施工 (525 10版)
- 参考資料
- キーワード
-
- 木造建築
- 日本建築
- 木工
- リサーチ・ナビ
- 目次データベース
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 科学技術
- 調査種別
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000335948