レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2023/03/15
- 登録日時
- 2023/04/02 00:30
- 更新日時
- 2023/04/19 20:08
- 管理番号
- 14324378
- 質問
-
解決
『君も雛罌粟われも雛罌粟 上巻』 渡辺 淳一/著 文藝春秋 (奥付より 1996年1月15日 第1刷) ISBN 4-16-3160108
この本の p.106 7行目 下から6個目の漢字 【こざとへん(左側)+ 少(右上) + 貝(右下)】と書かれた漢字がある(*隙という字に似ている)。
この漢字は、どの辞典を調べても見当たらない。
この文章は「明星」6号の「一筆啓上」欄に鉄幹が記した
「廿三日の夜に至り突然発熱して神経衰弱症に陥り、時々胃痛を加へて其●々には昏睡の気味有之、終にお医者の御厄介に成り候」
のようだ。
●の部分の字に関して、以下の点を知りたい。
①出版社の誤植であるのか
②「明星」6号の記載はどうなっているのか
③「こざとへん + 少 + 貝 」という漢字はあるのか
- 回答
-
お尋ねの3点について、以下のとおり調査いたしました。
①出版社の誤植であるのか
当館で所蔵する資料のご指定の掲載箇所を確認しましたところ、p.106の7行目、下から6個目の漢字は
【こざとへん(左側)+ 少(右上) + 貝(右下)】でした。
誤植かどうかはわかりかねました。
ご参考までに、『君も雛罌粟われも雛罌粟』の本文を、貴館ご確認の単行本以外で確認した結果をお知らせします。
資料名末尾の【 】内の英数字は国立国会図書館請求記号です。
(1)文庫版
渡辺淳一 著『君も雛罌粟われも雛罌粟 : 与謝野鉄幹・晶子夫妻の生涯 上 (文春文庫)』文藝春秋, 1999.1【KH692-G387】
p.116:ご照会部分の漢字は「●々」(●は、こざとへん(左側)+ 少(右上) + 日(右中)+小(右下))です。
(2)連載当時の雑誌
渡辺淳一「君も雛罌粟われも雛罌粟(7)」(『文芸春秋 69(11)』1991.10 pp.428-437【Z23-10】)
p.436:ご照会部分の漢字は「際々」です。
なお、当館契約データベースであるジャパンナレッジLib収録の『日本国語大辞典』では、「隙隙」と「際際」の意味は以下のものなどがあります。
・すき‐ずき 【隙隙・透透】:〔名〕あいまあいま。ひまひま。
・きわ‐ぎわ[きはぎは] 【際際】:【二】〔副〕(「と」を伴って用いる)はっきりと。きっぱりと。きわやかに。
②「明星」6号の記載はどうなっているのか
ご照会の資料の目次を確認しましたところ、お探しの項目名が見つかりました。
掲載箇所は以下のとおりです。
項目名 一筆啓上(社告)
著者 与謝野鉄幹
掲載巻 (6) 1900.9
ページ pp.67-68
与謝野寛 編『明星 第1次 複製版』 [臨川書店], 1979【Z13-2365】
お探しの漢字の記載箇所はp.67で、【こざとへん(左側)+ 少(右上) + 日(右中)+小(右下)】となっています。
当館契約データベース「ジャパンナレッジLib」に収録されている『大漢和辞典』には「隙の俗字」(11巻956頁)、『字通』には「隙の異体字」である旨記載されていました。
③「こざとへん + 少 + 貝 」という漢字はあるのか
次の資料を確認しましたが「こざとへん + 少 + 貝 」という漢字は見当たりませんでした。
●『大漢和辞典』(ジャパンナレッジLib(当館契約データベース)にて確認)
第11巻 954頁「隙」(41792)の項目に俗字として「こざとへん + 少 + 日 + 小」の文字が記載されています。
同956頁に 「こざとへん + 少 + 日 + 小」(41813)が「隙」の俗字として立項されています。
●諸橋轍次 著『大漢和辞典 第11巻 修訂第2版 鎌田正,米山寅太郎修訂』大修館書店, 1990.2【KF4-E18】
巻頭「検字(部首引)「阜 部」(こざとへん)pp.19-21に、ご照会の文字は見当たりませんでした。
●日本難字異体字大字典編集委員会 編, 井上辰雄 監修『日本難字異体字大字典 文学編』遊子館, 2012.1【KF45-J118】
p.346「隙」の項目:俗字として「こざとへん + 少 + 日 + 小」の文字が記載されています。
この他次のような資料を調査しましたが、「こざとへん + 少 + 貝 」という漢字は見当たりませんでした。
上田万年 [ほか]編著『講談社新大字典』講談社, 1993.3【KF4-E44】
藤堂明保, 加納喜光 編『学研新漢和大字典 机上版』学習研究社, 2005.5【KF4-H14】
鎌田正, 米山寅太郎 著『大漢語林』大修館書店, 1992.6【KF4-E34】
尾崎雄二郎 [ほか]編『角川大字源』角川書店, 1992.2【KF4-E32】
罗竹风主编, 汉语大词典编辑委员会, 汉语大词典编纂处编纂『漢語大詞典 第2版 第11卷 下册』汉语大词典出版社, 2001.9【KK12-C274】
漢語大字典編輯委員會編纂『漢語大字典 : 九卷本 第2版』四川辭書出版社, 2010.4【KK12-C347】
文淵閣四庫全書オンライン版>中華古漢語字典(当館契約データベース)
東文研総合検索 異体字リスト https://www.tobunken.go.jp/archives/%E7%95%B0%E4%BD%93%E5%AD%97%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%88/
漢字辞典オンライン https://kanji.jitenon.jp/
CHISE IDS 漢字検索 http://www.chise.org/ids-find
漢字古今字資料庫 異体字表 https://xiaoxue.iis.sinica.edu.tw/variants?kaiOrder=3730
開放康煕字典 http://kangxi.adcs.org.tw/kangxizidian/#%E9%9A%99
ウェブサイトの最終アクセスは2023年3月14日です。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
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漢字辞典
- NDC
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- 神社.神職 (175 10版)
- 参考資料
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 人文(レファレンス)
- 調査種別
- 文献紹介 文献紹介 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000331675