レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 登録日時
- 2019/08/03 17:08
- 更新日時
- 2020/12/20 13:25
- 管理番号
- 郷土12
- 質問
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未解決
太巻(うずまき)という名字の発祥地が香川県の綾川町陶ということだが、その由来がわかる資料はあるか。また、太巻家では新辺焼(しんべやき)という焼物(主に瓦)を生産していたとのことだが、それについてわかる資料はあるか。陶は古代より窯業が盛んであったというが、渡来人によりそれが伝えられたことがわかる資料はあるか。
- 回答
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町誌等、自館所蔵資料中に記載なし。
他館所蔵資料にわずかに記載あり。
『日本の苗字おもしろ百科事典』 丹羽基二 著 2003.1 P.77
漢字違いの「宇津巻(うづまき)」姓についての記載あり。由来は水流などが渦をまくことからくるとあり、川の周辺などの地名により、名字も生まれたとされている。その最後に「なお、太巻、宇都巻と書くウツマキさんもおられる。」と記述されている。
陶地区の歴史について書かれている資料も確認したが、回答となるような記述は見つけられなかった。
『綾南町誌』 綾南町誌編纂委員会 編 1998.3
P.116.117 須恵器は従来大阪に渡来した朝鮮技術者によって全国に広められていったが、香川県では直接技術者が渡来した可能性があるとの記載あり。しかし陶の窯址は古いものでも奈良時代に入ってからのものである、としている。
P.142~165 陶窯跡群についての記載あり。
『綾南町史』 綾南町史編纂委員会 編 1978.3
P.25 第2章 上世の綾南 第3節 奈良時代 の項に「綾南町においては、陶部等が大いにその技を振るい盛運に向かった。製瓦も盛んに行われた。陶部が居住していた土地は、①五社の宮グループ、②北の宮グループ、③赤天神グループ等であろう」との記載あり。
綾川町教育委員会所蔵資料『陶村の歴史』 福家 親栄 著 1958
「陶村の歴史を記した陶村史のようなものがなかったのでこの資料を作った」としており、「陶村についての文献は欠乏している」とあるので村史は存在しないようである。
窯業が盛んであったという様子は各箇所から見られるが、新辺焼については記載がなかった。しかし文中には似た名の焼き物について記されている。釉薬を施した瀬戸焼が生産されるようになると、手に入りやすい安価な焼物として新瓶(しんべい)というものが作られるようになったとの記載がある。「陶村にも字上の坊に新瓶という地名が残っている」とあるが、今では「上の坊」も「新瓶」という地名も見当たらず、上の坊神社にその名が見られるのみで確認ができない。新瓶という焼き物についても調べたが、記載のある資料を見つけることはできなかった。
『角川日本地名大辞典37 香川県』 角川日本地名大辞典編纂委員会 編 角川学芸出版 2009.8
p.448 陶についての記載あり。陶器師が多く居住しており、陶器の生産は7世紀から13世紀頃まで続いたとある。陶での窯業は12世紀中ごろより振るわず、13世紀以降租税が田畑への課税に変更されたためであるとしている。村の歴史のみの記述。
『日本考古学辞典』 藤田 亮策 監修 日本考古学協会 編 1978.12 P.275 陶村窯址群の項あり。
『讃岐ものしり事典』 香川県図書館協会 編 香川県図書館協会 1982.4 P.123・124
陶の地名についての記載あり。「陶器を作る部族である陶部屯していた処が陶村である」「火の山の西麓の瓶焼谷に窯跡がある」とある。
- 回答プロセス
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綾川町誌など所蔵資料に記載がないか調べた。
陶村史等はなかったので、陶村の歴史を記した教育委員会所蔵の資料中も調べた。窯業が盛んであったという記載は見られるが、新辺焼・太巻姓についての記述はなかった。
その他、姓名についての資料中も調べ、漢字違いのうずまき姓の記載があるものもあったが、由来等は書かれていなかった。
上記の資料の他に以下の自館資料には記載がなかった。
『難読・希少名字大事典』 森岡 浩 編 2007.5
『香川県大百科事典』 四国新聞社出版委員会 編 四国新聞社 1984
『香川県風土記』 新井政義 編 旺文社 1989.11
『日本の家紋と姓氏』 伊藤みろ 著 せいぶ 2013.3
『知れば知るほど面白い!家紋と名字決定版』 網本光悦 著 2011.3
『同姓異読み人名辞典』 日外アソシエーツ株式会社 編 2009.4
『続讃岐人名辞書』 草薙金四郎 著
他館資料でも調べてみたが、記載はなかった。
『全国名字大辞典』『日本の苗字読み解き事典』『姓氏・地名・家紋総合事典』『全国名字事典』『姓氏苗字事典』『苗字8万読み方事典』『姓氏4000歴史伝説事典』『姓氏家系大事典第一巻』『日本の姓氏大総鑑』『日本姓氏大辞典』(読み方のみ記載あり)『日本姓氏大辞典解説編』『姓氏よみかた事典姓の部』『苗字と地名の由来事典』
新瓶について記載なしの自館資料
『日本民俗事典』 大塚民俗学会 編 弘文堂 1972.2
『日本民俗資料事典』 文化庁文化財保護部 監修 第一法規出版 1969.7
『日本民具辞典』 日本民具学会 編 ぎょうせい 1997.5
『日本やきもの史』 矢部 良明 監修 美術出版社 2018.5 P.64 12世紀の須恵器系の窯として香川県の十瓶山窯があげられている。
『日本史用語大辞典 用語編』 日本史用語大辞典編集委員会 編 柏書房 1978.9
『日本考古学辞典』 藤田 亮策 監修 日本考古学協会 編 1978.12
『民具の事典』 岩井宏實 監修 工藤 員功 編 中林 啓治 画 河出書房新社 2017.1
『全国伝統やきもの窯元事典』 みわ 明 編 平凡社 2005.6
『讃岐びと、時代を動かす』 香川県立ミュージアム 編集・発行 2017.10
『香川県風土記』 坂口良昭・木原薄幸・市原輝士 監修 新井政義 編 旺文社 1989.11
『香川県大百科事典』 四国新聞社出版委員会 編 四国新聞社 1984.4
『よくわかるやきもの大事典』 やきもの愛好会 編 ナツメ社 2008.12
『讃岐ものしり事典』 香川県図書館協会 編・発行 1982.4
『新版日本史モノ事典』 平凡社 編・発行 2017.6
『讃岐の史話民話』 福家 惣衛 著 上田書店 1968.9
『口訳全讃史』 中山 城山 原著 桑田 明 訳 城山会 1991
- 事前調査事項
- NDC
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- 系譜.家史.皇室 (288)
- 四国地方 (218)
- 参考資料
- キーワード
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- 太巻
- 名字
- 苗字
- 姓
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介 所蔵調査
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000259731