レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2023年12月1日
- 登録日時
- 2023/11/22 10:18
- 更新日時
- 2023/12/14 22:30
- 管理番号
- 県立長野-23-127
- 質問
-
未解決
明治7年に勧業寮が旧長野県に配布したブドウ苗3本の品種がわかる資料はあるか。この中に「カトーバ」が含まれていることを確認したい。
- 回答
-
品種やその後の栽培に関わる記録は確認できなかった。
関連資料として下記を紹介した。
<苗を配布した勧業寮の記録について>
『明治前期勧農事蹟輯録 上』農林省農務局編 大日本農会 1939【国立国会図書館デジタルコレクション/インターネット公開】[最終確認日 2023.12.05]
p.683-684「菓樹御分賦之義伺」は明治7年10月7日付で府県長あてに配布対象となる作物や配布方法などを通知している文書。ここに「西洋穀菜幷菓樹目録」が付されているが、「葡萄 元名ぐれーぷ 数種アリト雖モ其大綱は生食スルト酒造ニ用ユルモノ二種ニ分ツ今玆ニ培養スルモノハ「あめりか」種ニシテ生食ニ用フル品種ナリ漿肉多ク球大ニシテ甚ダ美事ナルモノナリ」とあるのみでアメリカ原産で生食用のブドウである事が確認できるのみ。
またp.643-644「長野県」の項目中p.644「洋種菓樹受取目録」は明治7年11月18日付で長野県が勧業寮出張所に宛てた文書で、葡萄苗を3本もらい受けている旨の記述が確認できるが、品種までは書かれていない。
<苗をもらい受けた旧長野県側の記録について>
長野県内の出版資料で配布苗の行先や品種について記述のある出版資料は確認できなかった。
『長野県行政文書目録 行政簿冊 1』長野県立歴史館編・刊 1994【N317/183/1】
p.12-13 「旧長野県 庶務課関係」、p.13「租税課関係」p.13「出納課関係」に明治7年当時の旧長野県の行政資料の目録が掲載されている。
このうち、「官省往復綴(明治4年-7年)」【県立歴史館 請求記号 明治7/2A/8】に国の機関とのやり取りがつづられている可能性がある。
- 回答プロセス
-
1 利用者調査済資料『長野県果樹発達史』を確認する[最終確認日 2023.12.05]。
p.39-40に明治政府が導入した果樹は内藤試験場で栽培され、明治7年秋に各府県に配布されたことがわかる。
2 1の出典資料を参照する
次の資料が参考資料として挙げられていたため、確認した。
『長野県政史 第1巻』長野県編・刊 1971【N317/74/1】【国立国会図書館デジタルコレクション/図書館・個人送信限定】[最終確認日 2023.12.05]
『明治前期勧農事蹟輯録』(回答記載)
3 旧長野県時代の行政文書を所蔵している長野県立歴史館の目録を探す
4 配布のもとになった国の試験機関である「内藤試験場」に関する資料を探す
農務局育種場で栽培している品種をまとめた『舶来果樹目録』農務局育種場編 有隣堂 1882【国立国会図書館/インターネット公開】のp.19に、「カタウバ」が確認できるが、明治7年の時点で国の機関で栽培されていたかは不明。
<その他調査資料>
『長野県史 近代史料編 第5巻(2)産業』長野県編 長野県史刊行会 1989【N209/11-1/5-2】
『長野県史 通史編 第7巻』長野県編 長野県史刊行会 1988【N209/11-4/7】
『長野県政史 第1巻』長野県編・刊 1971【N317/74/1】【国立国会図書館デジタルコレクション/図書館・個人送信限定】
『長野県上水内郡誌 現代篇』上水内郡誌編集会編 上水内郡誌編集会 1979【国立国会図書館デジタルコレクション/図書館・個人送信限定】
『実験葡萄栽培法』内田郁太著 養賢堂 1924【国立国会図書館デジタルコレクション/インターネット公開】
p.13-p.17「本邦に於ける来歴」のうちp.17に「現時欧米国各種の点々として各地に散在せる古木あり、而して是等は何れも勧業寮当時の遺物な
る事明かにして、」とあるが、それ以上のことは書かれていない。
『葡萄栽培の実際 (農芸叢書 ; 第24)』田野寛一著 養賢堂 1941【国立国会図書館デジタルコレクション/図書館・個人送信限定】
『実験葡萄栽培新説』土屋長男著 養賢堂 1956【国立国会図書館デジタルコレクション/図書館・個人送信限定】
『葡萄提要』川上善兵衛著 実業之日本社 1908【国立国会図書館デジタルコレクション/インターネット公開】
『勧農局沿革録』農務局 1881【国立国会図書館/インターネット公開】
『農業事物起源集成』大野史朗著 青史社 1978【610.33/オシ】
『日本農業発達史 3』日本農業発達史調査会編 中央公論社 1978【612.1/10/3】【国立国会図書館/インターネット公開】
p.197-205(107-111コマ目)「明治前期における外国作物の輸入 果樹」で葡萄の輸入品種と配布先についてまとめられており、p.198-199(108コマ目)に明治初期における果樹苗の輸入経路が列記されている。ただし、葡萄の品種まで特定できる記述はない。
『果樹園芸学 上巻』菊池秋雄著 養賢堂 1948【国立国会図書館/インターネット公開】
『日本農業発達史 3』(前掲)に参考資料として掲載のある資料です。
p.306-312(167-170コマ目)「明治以後の変遷と現状」の項目を参照しましたが、明治初期に輸入された品種を特定できる記述は確認できない。
『千葉県果樹のあゆみ』千葉県果樹園芸組合連合会 1979【国立国会図書館/インターネット公開】
p.18-19(21コマ目)「草創期の果樹生産」の項目に千葉県内で果樹の試作希望者を募る明治8年11月20日付で「千葉県令」が紹介されている。
ただし、「梨」「葡萄」などの種類の記載までで、品種の記載は確認できない。
『翔べ 日本ワイン 現状と展望』大塚謙一・山本博編 料理王国社 2004
『日本のワイン』山本博著 早川書房 2003
※<その他調査資料>のリンク先の最終確認日はいずれも2023.12.05。
- 事前調査事項
- NDC
-
- 果樹園芸 (625)
- 参考資料
-
-
農林省農務局 編 , 農林省農務局. 明治前期勧農事蹟輯録 上,下巻. 大日本農会, 1939.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000000734832-00 -
長野県立歴史館/編 , 長野県立歴史館 , 長野県立歴史館. 長野県行政文書目録 行政簿冊 1. 長野県立歴史館, 1994-11.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I059240343-00
-
農林省農務局 編 , 農林省農務局. 明治前期勧農事蹟輯録 上,下巻. 大日本農会, 1939.
- キーワード
-
- 葡萄--栽培--長野県--歴史
- 照会先
-
- 長野県立歴史館[最終確認日 2023年11月24日]
〒387-0007
長野県千曲市大字屋代260-6(科野の里歴史公園内)
電話番号 (代表) 026-274-2000
FAX 026-274-3996
所蔵資料の閲覧方法について - 長野県農業試験場 企画経営部(試験場図書室)[最終確認日 2023年11月24日]
〒382-0072
長野県須坂市大字小河原492
電話番号(代表)026-246-2415
FAX 026-246-2412
明治7年に長野県が受領した品種を特定できる資料は保管していないとのこと。
また、上記<調査済資料>のうち『明治前期勧農事蹟輯録 上』、『農業事物起源集成』、『日本農業発達史』をご紹介いただいた。 - 長野県果樹試験場[最終確認日 2023年11月24日]
〒382-0072
長野県須坂市大字小河原492
電話番号 (代表) 026-246-2415
FAX 026-251-2357
- 長野県立歴史館[最終確認日 2023年11月24日]
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000341354