レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2008/6/22
- 登録日時
- 2009/07/08 15:00
- 更新日時
- 2009/07/23 14:32
- 管理番号
- 相橋-H20-028
- 質問
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未解決
唐詩“董大に別る”の詩の冒頭が“千里の黄雲”と“十里の黄雲”と2通り記載があるが、どちらが正しいのか。
- 回答
-
・高適「別董大」が収められている書物6種(『全唐詩』『唐詩選』『高常侍集』『唐詩品彙』『唐詩別裁集』)のうち、“千里”と記載のあるものは2種(『高常侍集』『唐詩別裁集』)。
・自館所蔵資料での調査では“十里”で記載されている資料が多い。
・どの資料にもどちらが誤りという記載は発見できず。
- 回答プロセス
-
○唐詩に関する資料を見た。
→『校注唐詩解釈辞典』 <自館請求記号:R921>
詩題索引(読み下し五十音順)よりP176“董大に別る 其の一”では“十里”と記載。
また校語の項に“十 『高常侍集』(国学基本叢書本)、『別裁(=唐詩別裁集)』では、「千」に作る。”とあり、
テキストに挙げられている6冊のうち2冊は“千里”の記述だったとされる。
*テキスト・・『全唐詩』、『唐詩選』、『高常侍集』(国学基本叢書本)、『高常侍集』(四部叢刊本)、『唐詩品彙』、『唐詩別裁集』
→『唐詩選(朝日選書1008 中国古典選)』 <自館請求記号:921.43>
P199“十里”とあり。ただし、“通行本はこれを千里に作るが、宋の洪邁の「万首唐人絶句」に従って改めた。”との記述あり。
そこで『万首唐人絶句』とは何かの基準となる本なのかと思い、『中国学芸大事典』<自館請求記号:R920>を見たところ、
P665に唐人の絶句一万首を集録している本だが、時代の前後が一定しない。日本でも文政6(1823)年に官版されている
との記述はあった。
○その他の資料の記述が次のとおり。
→『新釈漢文大系19 唐詩選』 <自館請求記号:928> P728“十里”
『中国名詩選(中)』 <自館請求記号:921> P326“十里”
『唐詩選(下)(漢詩選7)』 <自館請求記号:921> P304“十里”
『新鈔唐詩選(小沢クラシックス 世界の詩 中国名詩鑑賞8)』 <自館請求記号:921.43> P185“十里”
『唐詩選 下(ワイド版岩波文庫198)』 <自館請求記号:921.43> P134“千里”
『新書漢文大系6 唐詩選』 <自館請求記号:082> P204“十里”
『唐詩選国字解3(東洋文庫407)』 <自館請求記号:080> P191“十里”
- 事前調査事項
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『漢詩名句辞典』<自館請求記号:R921> P364“十里”と『唐詩鑑賞辞典』<自館請求記号:R921> P289“千里”の2通りの記述を見たため。
- NDC
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- 詩歌.韻文.詩文 (921 9版)
- 参考資料
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- 『校注唐詩解釈辞典』松浦友久/編、大修館書店、2000
- 『唐詩選(朝日選書1008 中国古典選)』高木正一/著、朝日新聞社、1996
- 『中国学芸大事典』近藤春雄/著、大修館書店、1979
- 『新釈漢文大系19 唐詩選』目加田誠/著、明治書院、1999
- 『中国名詩選(中) 特装版』松枝茂夫/編、岩波書店、1997
- 『漢詩選7 唐詩選(下) 』斉藤しょう/編、集英社、1996
- 『新鈔唐詩選(小沢クラシックス 世界の詩 中国名詩鑑賞8)』斉藤しょう/著、小沢書店、1996
- 『唐詩選 下(ワイド版岩波文庫198)』前野直彬/注釈、岩波書店、2001
- 『新書漢文大系6 唐詩選』目加田誠/著、渡部英喜/編、明治書院、1996
- 『唐詩選国字解3(東洋文庫407)』服部南郭/著、平凡社、1996
- 『漢詩名句辞典』鎌田正・米山寅太郎/著、大修館書店、1999
- 『唐詩鑑賞辞典』前野直彬/編、東京堂出版、1995
- キーワード
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- 高適
- 董大に別る
- 唐詩
- 別董大
- 中国古典文学
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 言葉
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000056310