レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2021/10/04
- 登録日時
- 2022/02/02 00:30
- 更新日時
- 2022/02/02 00:30
- 管理番号
- 6000025140
- 質問
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未解決
「木の葉」や「木の実」のように、「き」でも「こ」でも読める言葉があるが、どのような場合に「き」と読むのか、「こ」と読むのかを知りたい。
- 回答
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1.インターネット(教育出版HP)の情報を紹介
「の」に助詞意識が感じられる用例においては、「きのみ」と読み、一語意識が強く働く場合に「このみ」と読むようなことが記載。
2.「こ【木】」を辞典①②で確認
①『日本国語大辞典 第5巻 けんえ-さこい』 (小学館 2001.5)
→多く複合して用いられる。「このえ」「このしたがくり」「このね」「このは」「このま」「このみ」「こがくれ」「こだかし」「こづたい」「こぬれ」など。
き(木)の交替形で、イ列乙類の音がオ列に転ずる例の一つ。
②『角川古語大辞典 第2巻 き-さ』 (中村 幸彦/編 角川書店 1984.3)
→「き(木)」の交代形。樹木・立ち木の意の場合に用いるのが普通。木立(こだち)・木陰(こかげ)など複合名詞の前項に用いるほか、木葉(このは)・木間(このま)のように、助詞「の」を介して名詞の上に付く。
3.音韻・仮名遣いに関する参考資料③~⑤を紹介
③『古代国語の音韻に就いて』 (橋本 進吉/著 岩波書店 1980.6)
→p116-120:万葉仮名類別表
p151-152:語が複合するとき上の語の語尾音の最後の母音が他の母音に転ずる、転韻について説明あり。
④『古代日本語母音論 上代特殊仮名遣の再解釈』 (松本 克己/著 ひつじ書房 1995.1)
→古代日本語母音組織考、上代語「5母音説」、日本語における動詞活用の起源など記載。
⑤『国語音韻論 増補』 (金田一 京助/著 刀江書院 1935.5)
→p392-393:十二の特殊假名遣の表あり。
- 回答プロセス
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①ネット検索 (「き」を「こ」と読むときに母音交替されているようなこと判明。)
②国語辞典や古語辞典で「木(こ)」を引く。
③『日本国語大辞典』に、「イ列乙類の音がオ列に転ずる例」とあったので、この言葉をネットで検索。「イ列乙類の音がオ列に転ずる例」が「上代特殊仮名遣い」におけるものと判明。
④ジャパンナレッジで「上代特殊仮名遣い」を検索。
(本居宣長に始まり、橋本進吉が独自の研究で再発見したものと判明。)
⑤橋本進吉氏の著書他、古代日本語の音韻関係の資料を調査。
- 事前調査事項
- NDC
- 参考資料
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- 日本国語大辞典第5巻小学館国語辞典編集部/編集小学館
- 角川古語大辞典第2巻中村 幸彦/編角川書店
- 古代国語の音韻に就いて橋本 進吉/著岩波書店 (p116-120,p151-152)
- 古代日本語母音論松本 克己/著ひつじ書房
- 国語音韻論 増補金田一 京助/著刀江書院 (p392-393)
- キーワード
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- 言葉(コトバ)
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 札幌市中央図書館
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 言葉
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000311607