レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2024/02/27
- 登録日時
- 2024/03/02 00:30
- 更新日時
- 2024/04/18 14:01
- 管理番号
- 16909098
- 質問
-
未解決
「右ほとけ、左衆生と合わす手の内ぞゆかしき南無の一声」という古歌の出自、解説を知りたい。特に、この歌のなかの"ゆかしき"の意味を知りたい。
- 回答
-
以下のとおり調査しましたが、お探しの古歌と全く同一の歌の出自・解説について、記載のある資料は見当たりませんでした。
調査の過程では、ご質問の古歌と一部の語句が異なる類似の歌が、資料中に散見されました(以下の資料1等)。
参考までに、「右ほとけ左はわれと合わす手の」で始まる短歌の出自について記載があった資料(資料1)をご紹介します。
【 】内は国立国会図書館請求記号です。書誌事項末尾に◎を付した資料は国立国会図書館デジタルコレクション(国立国会図書館内/図書館・個人送信対象)資料、☆を付した資料は同インターネット公開資料です。
仏教関係の資料の中でお探しの歌が掲載されている資料を調査しました。回答末尾に記載したデータベースをキーワード「右仏左」、「右ほとけ左」や「南無の一声」で検索したところ、資料1が見つかりました。
資料1
『六大新報』(593) 六大新報社, 1915.2【Z9-127】◎
https://dl.ndl.go.jp/pid/7941524/1/6
p.11『十三佛詠歌』(6コマ)
「此の十三佛詠歌は明治初頭に於ける(中略)福禪寺山本寂明僧正の作歌なり(中略)鳳閣寺古澤養硯師が未だ所化時代に書き與へられたるものなりとて本誌に寄贈せられたるものなり」とあります。その内の一つに、「勢至菩薩 教示合掌 右ほとけ左はわれと合す手の うちそゆかしき南無の一とこへ」という短歌があります。
この情報を元に、山本寂明が書いた資料、関連する資料をお調べしましたが、お求めの歌に関する記述はありませんでした。
この他、短歌の事典にお尋ねの歌が記載されていないか確認しましたが、記載はありませんでした。なお、「ゆかし」という言葉について、記載がある資料がありましたので、参考までにご紹介します。
資料2
久保田淳, 馬場あき子 編『歌ことば歌枕大辞典』角川書店, 1999.5【KG2-G32】
pp.925-926「ゆかし」
意味の説明と短歌の例示がありますが、お求めの歌は掲載されていません。
資料3
佐佐木幸綱 [ほか]編『日本歌語事典』大修館書店, 1994.7【KG2-E50】
p.975「ゆかし【床し・懐し】」
意味の説明があり、『源氏物語』と『後拾遺和歌集』の歌が例示されています。
【調査に使用した主な資料】
・斎藤昭俊, 成瀬良徳 編著『日本仏教人名辞典』新人物往来社, 1986.5【HM4-6】◎
https://dl.ndl.go.jp/pid/12265575/1/217
p.427「山本寂明」(217コマ)
・長谷宝秀 編『真言宗安心全書 巻下』六大新報社, 大正2-3【324-365】◎
https://dl.ndl.go.jp/pid/943454/1/436
pp.859-863(436-438コマ)「弘法大師和讃一巻」(山本寂明僧正)
・佐佐木幸綱, 復本一郎 編『三省堂名歌名句辞典 新装版』三省堂, 2015.8【KG712-L47】
・『和歌文学大辞典』編集委員会 編『和歌文学大辞典』古典ライブラリー (出版), 2014.12【KG2-M21】
・久保田淳, 長島弘明 編『名歌名句大事典 : 歳時 人 自然 予約版』明治書院, 2012.5【KG712-J92】
・磯田光一 [ほか]編『新潮日本文学辞典』新潮社, 1988.1【KG2-E3】
・小学館辞典編集部 編『日本秀歌秀句の辞典』小学館, 1995.3【KG2-E55】
・細川本瑞 編『歌と宗教』本王院, 昭和12【特234-687】◎
https://dl.ndl.go.jp/pid/1106775
・高神覚昇 著『仏教聖典般若心経講義』第一書房, 昭和10 21刷【183.2-Ta29ウ】☆
https://dl.ndl.go.jp/pid/1040411
・和田性海 著『仏教修養講話』六大新報社, 大正4【325-358】☆
https://dl.ndl.go.jp/pid/944024
【調査に使用した主なデータベース、インターネット情報等】
・国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/ja/
・国立国会図書館サーチ https://ndlsearch.ndl.go.jp/
・CiNii Research https://cir.nii.ac.jp/
・Googleブックス https://books.google.co.jp/
・ジャパンナレッジLib(当館契約データベース)
・皓星社 雑誌記事索引集成データベース(ざっさくプラス)(当館契約データベース)
・朝日新聞クロスサーチ(当館契約データベース)
・毎索(毎日新聞)(当館契約データベース)
・ヨミダス歴史館(読売新聞)(当館契約データベース)
・HathiTrust Digital Library https://www.hathitrust.org/
インターネット情報等の最終確認日:2024年2月22日
- 回答プロセス
- 事前調査事項
-
以下の資料を調査したが、該当の歌は見つからなかった。また、「合掌」の項も調べたが手がかりは得られなかった。
『国歌大観』
『仏教文学講座 第4巻 和歌・連歌・俳諧』伊藤 博之/[ほか]編集 勉誠社 1995.9
『法の水茎 和歌とおはなしでひもとく仏教』高橋 秀城/著 武蔵野書院 2021.3
『仏教名言辞典』奈良 康明/編著 東京書籍 1989.10
『仏教学辞典』多屋 頼俊/[ほか]編集 法蔵館 1995.4
『仏教大辞典』織田 得能/著 名著普及会 1981
『仏教いわく・因縁・故事来歴辞典』大久保 慈泉/著 国書刊行会 1992.4
『仏教用語事典』須藤 隆仙/著 新人物往来社 1993.4
『総合仏教大辞典』総合仏教大辞典編集委員会/編集 法蔵館 1987.11
『日本仏教語辞典』岩本 裕/著 平凡社 1988.5
『仏教大事典 Buddhica』小学館 1988.7
『仏教文化事典』菅沼 晃/編集 佼成出版社 1989.10
『広説仏教語大辞典』中村 元/著 東京書籍 2001.6
『古典にみる仏教語解説辞典』倉部 豊逸/編著 国書刊行会 1994.9
『仏教ことわざ事典』須藤 隆仙/著 新人物往来社 1995.12
『例文仏教語大辞典』石田 瑞麿/著 小学館 1997.3
『岩波仏教辞典』中村 元/編集 岩波書店 2002.10
『唯識仏教辞典』横山 紘一/著 春秋社 2010.10
『仏教名言名句大全書 賢哲がえらぶ珠玉の名句と解説』梅原 猛/監修 四季社 2005.8
『新・仏教辞典』石田 瑞麿/[ほか]編集・執筆 誠信書房 1982
合掌の項に歌の内容と一致している思われる記載があるが、確証は得られていない。
また、インターネットで調査したところ、各宗派の寺院が歌の解説をしているが、「~という歌もあるように・・・」「古人が~と言ったように」といった引用の文言しか見つけられておらず、出自の確認ができなかった。
「ゆかしき」という言葉の意味を国語辞書や古語辞典などで調べると
「・知りたい ・なつかしい ・心がひかれる ・気品・情緒がある」等と説明されている。
ゆかし・い【床しい・懐しい】 (動詞「行く」から。床・懐は当て字)
「ゆかしき」についても出自や信頼の置ける解説が見つかっていないため、用法を調べることができていない。
- NDC
-
- 法話.説教集 (184)
- 詩歌 (911)
- 参考資料
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 人文(レファレンス)
- 調査種別
- 文献紹介 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000346842