レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 登録日時
- 2024/03/20 00:31
- 更新日時
- 2024/03/20 00:31
- 管理番号
- R1014379
- 質問
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解決
水野南北が観相家になったきっかけについて知りたい。
- 回答
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以下の資料に記載があります(■は図書、●は雑誌を表します。)。
■『大阪人物辞典』(三善貞司/編 清文堂出版 2000.11)
p.1106-1108に「水野南北」の項があります。
水野南北は20歳頃に刃傷沙汰を起こし天満に入牢、半年後に釈放されたときに天満橋で大道易者に呼びとめられ、「剣難の相があるので、1年以内に災いが起こる」と告げられました。驚いた南北は禅寺に行き、和尚に修行したいと申し出ると「1年間米を食べずに豆だけを食べるなら許す」と言われて怒り、再び博打や喧嘩に明け暮れたものの、主食は和尚の言葉通り豆にしました。1年後、再会した易者に「死相は消えた。どのような善行を積んだのか?」と聞かれ、このことをきっかけに南北は占いに興味を持つようになったという話が伝わっています。誰に師事して易学を学んだのかは明らかになっていませんが、相法をする上で人間の観察をするため、風呂屋、火葬場で働き、天明8(1788)年に『南北相法』を出版しました。
■『複眼の神道家たち:梅辻騨守・佐藤信淵・大国隆正・水野南北・平田篤胤・本田親徳・宮地水位・柳田国男・川面凡児・高島嘉右衛門』(菅田正昭/著 八幡書店 1987.6)
p.82-84「剣難の相はなぜ消えたか?」の項に「南北は牢内で、自分のような罪人と娑婆の真面目な街人との間では、人相に大きな差があることに気付く。そして、相学に興味をもつようになったのだ」とあります。易者に剣難の相を指摘された南北は禅寺に行きますが、「住職はかれの悪人相をみて断る決意をし、その方便として「僧侶の修業は厳しくてつらい。しかし、これから一年、麦と大豆だけの食事をすることができたら、一年後には弟子にしよう」といって」追い返され、浜沖仕として働きながら主食を豆にしました。一年後に再会した易者に剣難の相が消えたといわれ、「「食事を節約したことが大きな陰徳になった」と教えたという。若き南北はこの教えに刺激されて僧侶になることをやめ、自分も観相家になろうと決心するのである」とあります。
■『水野南北:浪速の人傑』(紀藤元之介/編 水野南北先生憬仰会 [1957])
p.11-14「水野南北先生と陰徳」に、上述した内容と似た内容が記載されています。
以下の資料には、観相家になったきっかけについての記載はありませんでした。
■『浪速人傑談 巻之下』(政田義彦/編)
「水野南北」の項に「若年の間は頗放蕩無頼にして、他の誹謗を受られしが、中年の後轍をあらため、改心して人相而己を研究して、終身是を以て所作とせり」とあります。『続燕石十種 第1』(国書刊行会/編輯 国書刊行会 1908.12)p.382-383に翻刻が掲載されています。
■『大阪人物誌 正編』(石田誠太郎/著 臨川書店 1974)
p.776「水野南北」の項に「壮時無頼敢産を治めず中年に及びて大に暁る所あり自ら相学を研究して遂に一家をなし徒を集めて相法を教授す」とあります。
■『西区史 第3巻』(西区史刊行委員会/[編] 清文堂出版 1979)
p.489「水野南北」の項に「其の家は鍛冶職を業とした。此の時の頃は無頼敢て産を治めなかったが、中年に及んで大いに悟る所あり、自ら相学を研究して遂に一家をなし、徒を集めて相法を教授した」とあります。
■『浪速の相聖水野南北とその思想 大阪春秋叢書』(牧野正恭/著 大阪春秋社 1988)
p.20-21に『浪速人傑談』下巻の翻刻が掲載され、「若年の間は頗る放蕩無頼にして他の誹謗を受けられしが、中年の後、轍を改め、改心して人相而已を研究し、修身是を以て所作とせり」とあります。
p.23-25「二、悪党鍵屋熊太」に南北(幼名は「熊太郎」)が生まれてから相法を志すまでの経緯がまとめられています。
●『大阪春秋 16(1-3)<49-51>』(新風書房 1987)
第50号p.104-111「浪速の相聖 水野南北とその思想」(牧野正恭/著)の「鍵屋熊太の改心」に冒頭で記載した内容が記されています。
[事例作成日:2024年2月2日]
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 伝記 (280)
- 参考資料
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- B10987763 大阪人物辞典 三善/貞司∥編 清文堂出版 2000.11 281.63 4-7924-0499-1 (p.1106-1108)
- B10220122 複眼の神道家たち 菅田/正昭∥著 八幡書店 1987.6 172 4-89350-307-3 (p.82-84)
- B10629504 水野南北 紀藤/元之介∥編 水野南北先生憬仰会 [1957] 289.1 (p.11-14)
- B10561963 続燕石十種 第1 国書刊行会∥編輯 国書刊行会 1908.12 914.5
- B10466833 大阪人物誌 正編 石田/誠太郎∥著 臨川書店 1974 281.63 (p.776)
- B10466570 西区史 第3巻 西区史刊行委員会∥[編] 清文堂出版 1979 216.3 (p.489)
- B10103067 浪速の相聖水野南北とその思想 牧野/正恭∥著 大阪春秋社 1988 289.1
- B14473987 大阪春秋 1987 16(1-3)<49-51> 新風書房 大阪春秋社 1987.01.01
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000347703