レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2023年10月18日
- 登録日時
- 2023/10/18 12:26
- 更新日時
- 2023/11/01 23:05
- 管理番号
- 県立長野-23-109
- 質問
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解決
長野県の天然記念物 ミヤマモンキチョウ(学名 Colias palaeno)の飼育研究に関する文献を探している。
- 回答
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1 飼育に関わる記述を確認できた資料
ミヤマモンキチョウを飼育していたことがわかる文献は次のとおり。
・『高山蝶 生態写真』田淵行男著 朋文堂 1959【N486/8】【国立国会図書館デジタルコレクション/図書館・個人送信限定】[最終確認日 2023年10月18日]
巻末付録「高山蝶補遺」のうちp.319-321「飼育について」の一部にミヤマモンキチョウの飼育について書かれている部分があり、「低地に移すとその成長の早くなることは驚くばかりで、またたく間に蛹となり、あっという間に羽化するといった印象を受ける。」とある。
また、「これは平地の高温のせいで、現場のテンポとは雲泥の差異がある」と、気温を要因として挙げている。
2 飼育に関わる記述がある可能性がある資料
北原曜「ミヤマモンキチョウ幼虫の最終齢数」『Butterfly Science』26号2023 p.75-77
当館契約データベース「J-DreamⅢ」で確認できる抄録の翻訳に「著者はチョウを飼育する機会があった」とある。
ただし、『Butterfly Science』は当館に所蔵がなく、本文の確認はできていない。
国立国会図書館に所蔵があるため、遠隔複写サービスを案内した。
国立国会図書館「遠隔複写サービス」[最終確認日 2023年10月18日]
このほか、「古い文献」の調査方法も知りたいとのことだったため、国立国会図書館「国立国会図書館デジタルコレクション」を紹介した[最終確認日 2023年10月18日]。
- 回答プロセス
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1 ミヤマモンキチョウについて記載のありそうな文献を確認する。
・『高山蝶 生態写真』(回答記載)[最終確認日 2023年10月18日]
・『日本の高山蝶』渡辺康之著 保育社 1985【486/157】
・『小さな自然の四季 安曇野讃歌』斉藤嘉明写真 共立出版 1980【N748/26】
上記文献の参考文献として挙げられていた文献。
p.46-48にかけてミヤマモンキチョウの成虫及び幼虫の写真が掲載されているが、飼育下の写真ではない。
・『信州の蝶』浜 栄一監修 信濃毎日新聞社 1996【N486/53】
p.16-17 「年1回出現。羽化期は気候に左右され大きく変動する」とあり。
・『長野県昆虫図鑑 上』信州昆虫学会 解説 信濃毎日新聞社 1979【N486/26/1】p.36
・『長野県産チョウ類動態図鑑』信州昆虫学会監修 文一総合出版 1999【N486/58】p.168
・『信州浅間山麓と東信の蝶』鳩山 邦夫著 信州昆虫資料館 2014【N486/93】
p.47「年1回の発生で、成虫は7月頃を中心に出現する」とあり。
・『日本アルプスの蝶』田淵行男著 学習研究社 1979【N486/28】p.72‐119
・『信濃の蝶 2』信州昆虫学会編 信学会 1973【N486/18/2】p.140-142
・『山に登った虫たち 山岳昆虫の多様性と保全(山岳科学ブックレット)』中村 寛志編 信州大学山岳科学総合研究所 2012【N486/91】
・『見つけよう信州の昆虫たち 身近な自然の昆虫図鑑』信州昆虫学会監修 信濃毎日新聞社 2009【N486/83】
写真と種名のみの掲載で、生態に関する記述はない。
・『蝶の生活』新村太朗著 北隆館 1951【486/8】
「蝶の生活史一覧」の表中にミヤマモンキチョウの記載があるのみ。
p.88の記述から、表を作成するうえで白水隆「蝶の生活史」が役に立ったとあるが、この文献がどこに掲載されているのかまでは確認できず。
・『日本産蝶類分布表』白水隆編 北隆館 1958【486/47】
日本産蝶類の国内分布を文献からまとめた資料。p.36-39「文献目録に採録した主要な学術雑誌,地方同好会誌(或いはそれに準ずる印刷物)の一覧」に発行時までに刊行された蝶類に関係する雑誌が挙げられており、長野県関係はp.38に掲載されていた。
掲載の同好会誌等で当館に所蔵が確認できたのは『信濃博物学雑誌』のみ。
このほか次のとおり雑誌が記載されていたが、長野県内図書館での所蔵は確認できなかった。
諏訪蝶類同好会々誌(諏訪蝶類同好会)
信濃蝶類同好会々誌[“諏訪蝶類同好会”改名](信濃蝶類同好会)
北信蝶報(北信蝶類研究会)
長野蝶類同好会々報(長野蝶類同好会)
信州昆虫学会々報(信州昆虫学会)
信州昆虫学会松本支部報(信州昆虫学会松本支部)
くろみどり(伊那蝶話会)
Anthocaris(松本昆虫談話会)
New Insect(北信昆虫同好会)
HASH 蝶類同好会々誌(HASH,[諏訪])
南中生物クラブ報(Biological Club)(長野市南部中学校理科教室内生物クラブ)
2 郷土雑誌の記事を探す
1で分かった雑誌のほか、種関係機関の紀要の目録を参照した。
また、当館所蔵検索の「詳細検索」で資料種別を雑誌、全項目「蝶」「昆虫」「生物」のキーワードでそれぞれ検索して得られたタイトルの目次を参照した。
・『信濃博物学雑誌』1-39号 信濃博物学会
・『信濃路』1-71号 信濃生物会
・『長野高校生物班班誌OB会誌 うばたまむし』6-11,12,14,15号 長野高校生物班
・『市立大町山岳博物館 研究紀要』1-8号 市立大町山岳博物館[最終確認日 2023年10月18日]
・『環境保全研究所研究報告』1-18号 長野県環境保全研究所[最終確認日 2023年10月18日]
3 自然科学の学術論文のため、当館契約データベース「JDreamⅢ 科学技術文献情報データベースサービス」で文献を探す
「JDreamⅢ 科学技術文献情報データベースサービス」は当館契約の有料データベースで、国内外の科学技術全分野を網羅している科学技術総合データベース。
キーワードから文献の書誌情報(標題・著者名・雑誌名・巻号頁等)や抄録(要約)を探すことができる。検索の範囲に外国語の論文も含まれるが、収録されている情報は翻訳(機械翻訳含む)されているため、日本語で検索して内容を確認することができる。
このデータベースで「ミヤマモンキチョウ」と検索したところ、回答の北原曜「ミヤマモンキチョウ幼虫の最終齢数」の書誌情報が見つかった。
当館に所蔵がない雑誌のため、「国立国会図書館オンライン」で検索したところ、所蔵が確認できた[最終確認日 2023年10月18日]。
4 ミヤマモンキチョウの生息地域の郡史等を参照する
・『北安曇誌 第1巻』北安曇誌編纂委員会編・刊 1971【N231/13/1】
・『南安曇郡誌 1』1923【N232/33/1】
・『南安曇郡誌 第1巻 自然編』南安曇郡誌改訂編纂会編・刊 1956【N232/6/1】
・『北佐久郡志 第1巻』北佐久郡志編纂会編 北佐久郡志編纂会 1955【N222/12/1】
・『須坂市誌 第1巻』須坂市誌編さん室編集 須坂市 2011【N214/119/1】
・『上田小県誌 第4巻 自然編』上田小県誌刊行会編 小県上田教育会 1963【N221/12/4】
このほか、レファレンス協同データベース登録事例「長野県内の高山帯に生息するミヤマモンキチョウとモンキチョウの交雑についての文献はあるか。両種の交配と思われる個体の写真を見た。」(登録番号 1000298066)の調査プロセスを参考にした[最終確認日 2023年10月18日]。
- 事前調査事項
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『高山蝶 山とチョウと私』渡辺康之著 築地書館 1986p.103を参照したとのことだったが、当館に所蔵がなく確認できなかった。
- NDC
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- 昆虫類 (486)
- 参考資料
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田淵行男 著 , 田淵, 行男, 1905-1989. 高山蝶 : 生態写真. 朋文堂, 1959.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000000998597-00
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田淵行男 著 , 田淵, 行男, 1905-1989. 高山蝶 : 生態写真. 朋文堂, 1959.
- キーワード
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- ミヤマモンキチョウ(Colias palaeno)
- 高山蝶
- 天然記念物
- 照会先
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- 田淵行男記念館 [最終確認日 2023年10月19日]
〒399-8201 長野県安曇野市豊科南穂高5078-2
電話 0263-72-9964
ファクシミリ 0263-88-2010
- 田淵行男記念館 [最終確認日 2023年10月19日]
- 寄与者
- 備考
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『日本の高山蝶』渡辺康之(回答プロセスに記載)によると、日本で確認されているミヤマモンキチョウ生息域は北アルプスと乗鞍岳、浅間山系のみ。
天然記念物への指定は長野県では1975年2月24日(八十二文化財団「信州の文化財検索 ミヤマモンキチョウ」)、群馬県では1977年4月1日(群馬県「県指定文化財」)となっている[いずれも最終確認日は2023年10月18日]。
- 調査種別
- 文献紹介 所蔵機関調査
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000339925