レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 20220924
- 登録日時
- 2023/11/02 00:30
- 更新日時
- 2023/11/02 18:38
- 管理番号
- 中央-2023-11
- 質問
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解決
かつてルーマニア社会主義共和国に存在した、チャウシェスク政権下の秘密警察(セクリターテ)について書かれた資料はあるか。
- 回答
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都立図書館蔵書検索と末尾に記載のデータベース類を、キーワード<チャウシェスク(チャウセスク)><セクリターテ><Securitate><秘密警察><国家保安庁><国家保安部><ルーマニア><Romania><社会主義>、また情報1より<へルタ・ミュラー>、件名<ルーマニア-政治・行政-歴史>、個人件名<チャウシェスク,ニコラエ/Ceausescu,Nicolae.>等を掛け合わせて検索し、ヒットした資料を調査した。
なお、ルーマニア語の表記は、一部アルファベットに置き換えて記載した。
また、回答中の秘密警察(セクリターテ)の表記は、資料からの引用を除き「秘密警察」で統一した。
情報1
『東北ドイツ文学研究』57号 東北ドイツ文学会 2016.10(都立図書館所蔵なし)
p.105-117「ルーマニアにおける国家保安部(セクリタテア)記録文書公開 ―ヘルタ・ミュラーが見る「過去の克服」の現実―」(藤田恭子)
http://hdl.handle.net/10097/00127145
東北大学機関リポジトリで公開されている。
秘密警察の活動概要と記録文書公開の経緯について記載がある。
資料1
p.204-221「インタビュー 2009ノーベル文学賞 ヘルタ・ミュラー」(浅井晶子訳)
ルーマニア出身の作家で、自身も秘密警察による監視を受けていたヘルタ・ミュラーが、チャウシェスク政権下の恐怖政治における自身の体験を初めて語った2009年7月23日付「ツァイト」紙文化面のインタビュー記事を訳出・転載した記事。
資料2
チャウシェスクの元側近により書かれた資料である。
p.157-171「第八章 盗聴器のオンパレード」等の章があり、秘密警察についていくつか記載がある。
p.247-256「第十三章 苦悶するチャウシェスク」のp.248には、1950年以降のルーマニアのセクリターテ部隊について説明がある。
巻末の索引に「セクリターテ(国家治安庁)」(p.vi)という項目があり、本文の掲載箇所がわかる。
資料3
p.251-256「38 チャウシェスク体制の崩壊要因―ママリーガ社会を爆発させたもの―」(六鹿茂夫、以下同じ)、p.257-262「39 1989年12月政変―革命か、クーデターか?―」、p.281-285「42 二つの顔を持つルーマニア人―密告制度と秘密警察―」、p.286-292「43 情報の統制と自由化―マスメディアをめぐる権力と社会の攻防―」等に秘密警察について記載がある。
資料4
p.181-193「第II部 第6章 第1節 ルーマニア―チャウシェスクとルーマニア革命」
秘密警察に国軍を上回る地位が与えられていたこと等の記述がある。(p.186)
資料5
p.159-208「II ルーマニア革命――チャウシェスクの転落 2 口火を切った「六人の書簡」――西側への苦心のメッセージ」のうち、「チャウシェスクの親衛隊・秘密警察」(p.194-196)、「米大使館内の「モグラ」」(p.196-200)、「脅迫と精神的圧力」(p.200-204)、「本当の米国のスパイ」(p.204-208)の項目などに、秘密警察について記載がある。
資料6
p.68-72「往復書簡 一九七二年八月四日-一九八六年一月一四日 42 一九七八年二月一三日」
宗教学者のミルチャ・エリアーデとその弟子ヨアン・ペトル・クリアーヌが1972年から1986年にわたってルーマニア語で交わした往復書簡をまとめた資料の全訳である。
1978年2月13日のエリアーデからクリアーヌに向けた書簡に「ザハリア・スタンクは政治諜報機関(Siguranta)の工作員でした」(p.70)という記載があり、p.72「訳注〔4〕」に「シグランツァ(Siguranta)」について簡単な解説が記載されている。
「社会主義共和国が成立した一九四八年以降、その機能は多くの人員とともに保安警察「セクリターテ(Securitate)」に吸収された」(p.72)とある。
資料7
チャウシェスク政権下のルーマニアに駐在していた日本人による記録である。
p.15-21「あなたは監視されている」等に、著者の体験をもとにした、秘密警察の活動について記述がある。
資料8
1979年2月から10年以上にわたって、伊藤忠商事のブカレスト事務所駐在等を通じてルーマニアに関わってきた著者による記録である。
p.1-42「I チャウセスクのルーマニア」に、秘密警察について記載がある。
また、p.112-119「III 不安な門出 秘密警察の影」に、ルーマニア革命後の秘密警察についても記載がある。
資料9
p.64-66「Part I Communism Chapter 5 Institutions of 'Legitimate Violence' The Securitate」という節がある。
その他、p.326-340「Index」の「securitate」(p.338)の項目から、本文中の言及箇所を調べられる。
資料10
p.90-95「ぼくとチャウシェスクと秘密警察の不思議な交際 上(ルーマニア・流血の革命)」(みやこうせい)
15年以上にわたりルーマニアを訪れ、1989年12月1日から14日まで滞在した著者によるエッセイである。
秘密警察について、例えば、p.91「秘密警察の組織は細かく分かれている。カピタン、ジェネラル、ロコテナント、ブリガーダなど、さまざまの階級に分かれ、国軍、特に今度、残虐行為で一気に悪名を馳せた治安軍と緊密な連絡をとっている。」等の記載がある。
資料11
p.30-34「ぼくとチャウシェスクと秘密警察の不思議な交際 下 ヒトラーをきどった「現代のドラキュラ伯」」(みやこうせい)
資料10の続きで、著者が秘密警察に呼び出された際のことが記載されている。
資料12
p.154-157「ルーマニア 処刑におびえる 秘密警察幹部に獄中会見」(本田雅和)
著者が革命後のルーマニアで秘密警察について調査した記事で、チャウシェスク政権下の秘密警察についても記述がある。
「いわゆるセクリスト(秘密警察員)の中でも、情報提供者は百八十万人前後いたと見られているが、治安部隊として特殊な軍事訓練を受けていたものは一万五千人強(中略)と推定されている。」(p.157)という記載がある。
【調査に使用したデータベース類】(最終検索日:2023年9月8日)
「国立国会図書館オンライン」(国立国会図書館)https://ndlonline.ndl.go.jp/
「国立国会図書館デジタルコレクション」(国立国会図書館)https://dl.ndl.go.jp/
「CiNii Research」(国立情報学研究所)https://cir.nii.ac.jp/
「次世代デジタルライブラリー」(国立国会図書館)https://lab.ndl.go.jp/dl/
「J-STAGE 科学技術情報発信・流通総合システム」(科学技術振興機構)https://www.jstage.jst.go.jp/browse/-char/ja
「Googleブックス」(Google)https://books.google.co.jp/
「雑誌記事索引集成データベース ざっさくプラス」(皓星社)*当館で契約しているデータベース(以下同じ)
「Web OYA-bunko 公立図書館版」(大宅壮一文庫)
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 政治史.事情 (312 10版)
- バルカン諸国 (239 10版)
- 参考資料
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- 【資料1】雑誌:すばる (昴) 32巻 2号 (2010年2月) / 集英社 (p.204-221)
- 【資料2】赤い王朝 チャウシェスク独裁政権の内幕 / イオン・M・パチェパ/著, 住谷 春也/訳 / 恒文社 / 1993.8 <3123/3168/93> (p.157-171, p.247-256, p.vi)
- 【資料3】ルーマニアを知るための60章(エリア・スタディーズ 66) / 六鹿 茂夫/編著 / 明石書店 / 2007.10 <302.3/5174/2007> , ISBN 978-4-7503-2634-4 (p.251-256, p.257-262, p.281-285, p.286-292)
- 【資料4】独裁が揺らぐとき 個人支配体制の比較政治(MINERVA人文・社会科学叢書 236) / 大澤 傑/著 / ミネルヴァ書房 / 2020.3 <313.8/5016/2020> , ISBN 978-4-623-08664-1 (p.181-193)
- 【資料5】ルーマニア・二つの革命 「不毛な世代」のわが体験 / シルビュ・ブルカン/著, 大塚 寿一/訳 / サイマル出版会 / 1993.2 <3123/3159/93> (p.159-208)
- 【資料6】エリアーデ=クリアーヌ往復書簡 1972-1986 / ミルチャ・エリアーデ/著, ヨアン・ペトル・クリアーヌ/著, ダン・ペトレスク/編, 佐々木 啓 /訳, 奥山 史亮 /訳 / 慶應義塾大学出版会 / 2015.8 <289.3/エ31/604> , ISBN 978-4-7664-2247-4 (p.68-72)
- 【資料7】バラーダ / 高島 清/著 / 郁朋社 / 1999.10 <293.9/5001/1999> (p.15-21)
- 【資料8】ルーマニア革命 ブカレスト駐在日本人の記録 / 松丸 了/著 / 東洋経済新報社 / 1990.9 <2395/3001/90> (p.1-42, p.112-119)
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【資料9】Romania since the Second World War : a political, social and economic history / Florin Abraham. / Bloomsbury Academic, an imprint of Bloomsbury Publishing Plc, / 2017.
, ISBN 9781472532183 (p.64-66, p.338) - 【資料10】雑誌:朝日ジャーナル 32巻 2号 通巻1625号(1990.1.19) / 朝日新聞社 (p.90-95)
- 【資料11】雑誌:朝日ジャーナル 32巻 3号 通巻1626号(1990.1.26) / 朝日新聞社 (p.30-34)
- 【資料12】雑誌:週刊朝日 95巻 3号 通巻3786号(1990.1.26) / 朝日新聞出版 (p.154-157)
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 言葉
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000340443