レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2022年11月01日
- 登録日時
- 2023/12/06 15:33
- 更新日時
- 2023/12/27 16:50
- 管理番号
- 市川20221101-04
- 質問
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解決
石原慎太郎著『やや暴力的に』の中の短編「隔絶」に、太平洋沖を2日間漂流し生還した男性の心情が描写されている。また、同じ著者の『老いてこそ生き甲斐』には、その「隔絶」についても触れられている。実際にあった事件をモデルに「隔絶」を執筆したように推測できるが、そのモデルとなった事件の内容がわかる文献を教えてほしい。
- 回答
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『やや暴力的に』(石原慎太郎/著 文藝春秋 2014)p.111-123に掲載の「隔絶」に、主人公が「たった一人でこの世の中から隔絶された」2回の経験として、1回目「小笠原の母島」、2回目「伊豆諸島の鵜渡根島(うどねじま)」のことが書かれている。また『老いてこそ生き甲斐』(石原慎太郎/著 幻冬舎 2020)p.10-11に「伊豆諸島の中の鵜渡根島で潜っていて船からはぐれ、(中略)奇跡的に助かった男の話を、『隔絶』という題名で発表した(後略)」と記載されている。
石原慎太郎と曽野綾子の対談集『死という最後の未来』(石原慎太郎・曽野綾子/著 幻冬舎 2020)p.19の石原氏の話の中に、「そこで『隔絶』という短編を必死で書き上げたんです。伊豆諸島沖の鵜渡根島の近くでダイビングしていた男が、銚子沖まで3日3晩、漂流したという実際にあった話を思い出した。(中略)救助されるまで彼が何を感じていたのか。それを想像して書こうと思ったんです。」という記述がある。
朝日新聞記事データベースで検索したところ、昭和58(1983)年7月18日の朝日新聞朝刊23面に、「伊豆七島・新島沖で十五日昼前、スキューバダイビング中に行方不明になった東京都内の三十二歳の男性が、二昼夜も漂流したあげく、十七日夕、五十五時間余ぶりに約二百三十キロも離れた千葉県銚子市の犬吠埼沖で漁船に救助された。」との記載があった(新島沖は鵜渡根島から約五百メートル北西の沖合、との説明あり)。また、読売新聞及び毎日新聞の同日の朝刊にも同様の記事があった。漂流日数が1日異なるが、「伊豆諸島沖の鵜渡根島」の部分が実際にあった事件をモデルにしていると思われる。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 日本文学 (910 10版)
- 参考資料
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 人物
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000343032