レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2022/03/03
- 登録日時
- 2022/03/25 00:30
- 更新日時
- 2022/03/25 00:30
- 管理番号
- 6001055132
- 質問
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解決
『西洋旅案内』『西洋旅案内 外編』を刊行したのは福澤諭吉か確認したい。
- 回答
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『西洋旅案内』は福澤諭吉が刊行したようですが、『西洋旅案内 外編』については吉田賢輔が刊行したもののようです。
次の資料を確認しました。
■『西洋旅案内』(福澤諭吉 尚古堂 慶応3)【367-4】
和装資料です。「巻の上」の一丁オ、「巻の下」の一丁オに「福澤諭吉 著」とあります。
■『西洋旅案内外篇』(吉田賢輔纂輯)【367-18】
和装資料です。一丁オに「慶応義塾同社 吉田賢輔 纂輯とあります。」
■『福澤諭吉事典 慶応義塾150年史資料集』(福沢諭吉事典編集委員会/編集 慶応義塾 2010.12)
・「3 著作 西洋旅案内」(p.616-617)に次の記載があります。
まず『西洋旅案内』については、「欧米に旅行する人向けに書かれた旅行の手引書である。(中略)福沢は慶応三年幕府の軍艦受取委員に随行して二度目の渡米をした際、旅行中の不従順な行為がとがめられ、帰国後に謹慎を命じられたが、その謹慎中に執筆されたのがこの書である。」(p.616-617)とあります。
次に外編については、「なお、福澤の友人で慶應義塾において一時教鞭をとった吉田賢輔が、本書の続編として旅行会話集『西洋旅案内』外編(一八六八)を刊行している。」(p.617)とあります。
・「2 人びと 吉田賢輔」(p.602)に次の記載があります。
「福沢が出版した『西洋体案内(一八六七)を補うものとして、各国の旅客船事情や実用会話をまとめた『西洋旅案内』外編(一八六九)を慶應義塾から出版」とあります。(p.602)
■『考証福沢諭吉 上』(富田正文/著 岩波書店 1992.6)
「二七 著作権確立のための闘い 偽版・類版のいろいろ」(p.290-293)に次の記載があります。
「『西洋旅案内』は慶応三年第二回のアメリカ行から帰朝早々に、アメリカ御用中不都合の廉があったから蟄居謹慎を命ずるというお咎めを蒙って、自宅に閉じ籠もっている間に書き上げて刊行したもの」とあります。(p.291)
●由良君美「ある儒者の転身―吉田賢輔の場合―」(『国文学 解釈と教材の研究』21(10)(学燈社 1976.8)p.118-128)
「賢輔は慶応三年から明治二年の頃まで、福沢を助ける顕著な活動を行っている。『西洋事情初篇』『西洋旅案内、正篇外篇』『西洋衣食住』『西洋事情外編』などは、ほとんど賢輔の助力によって成ったものであるが、そのうち『西洋旅案内、外篇』のみを吉田賢輔名儀で出版した。注目されるのは同名の肩書きが『慶應義塾社中』となっていることであり、明らかに義塾の発足当時、賢輔はその教授メンバーだったのである。」(p.123)
〔事例作成日:2022年3月3日〕
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 地理.地誌.紀行 (290 10版)
- 参考資料
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- 福澤諭吉事典 福沢諭吉事典編集委員会∥編集 慶応義塾 2010.12 (602、616-617)
- 考証福沢諭吉 上 富田/正文∥著 岩波書店 1992.6 (291)
- 国文学 学燈社 学燈社 21(10-13)<298-301>
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 書誌事項調査
- 内容種別
- 大阪,出版情報
- 質問者区分
- 業務
- 登録番号
- 1000314033