レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2023年10月03日
- 登録日時
- 2024/02/23 10:43
- 更新日時
- 2024/03/11 11:14
- 管理番号
- 中央-1-0021698
- 質問
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解決
同じ本で、同じ出版社でも、カバーのデザインが違っているのはなぜなのか。
- 回答
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主に文庫本についての話となるが、カバーを変えることにより売上増効果を狙う、販売戦略の一環らしい。
このことについて言及のある、回答プロセス○印の資料を参考として紹介した。
- 回答プロセス
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○『文庫はなぜ読まれるのか-文庫の歴史と現在そして近未来-』岩野裕一/著 出版メディアパル 2012年
p85「夏の文庫フェアと実験的な販売方法」
(以下抜粋)
「集英社文庫は2009年夏のキャンペーンに同社の『少年ジャンプ』で人気のマンガ家を起用し、過去の名作を描き下ろしイラストによる新カバーで販売するというキャンペーンを行った。(略)2009年には角川文庫が映画『人間失格』の公開にあわせて、太宰治の全10作品のカバーを期間限定で主演俳優の生田斗真のビジュアルにすることで増売に成功するなど、従来の慣行にとらわれない実験的な販売手法が各社によって行われているのも、文庫市場の大きな特長のひとつだろう。」
○「出版社のお仕事 小説が本になるまで〜いずみ委員 新潮社に潜入する〜」
https://www.univcoop.or.jp/fresh/book/izumi/news/news_detail_180.html(2024.3.1最終確認)
文庫の担当者コメント(以下抜粋)
“新潮文庫では、夏と冬にそれぞれ「新潮文庫の100冊」と「紅白本合戦」という二大フェアが展開されている。特に夏に開催される「新潮文庫の100冊」では、若い人におすすめの本がピックアップされている。読者にとって、このフェアが小説とのファーストコンタクトになる可能性も踏まえて慎重に選書が行われているので、どの本を読もうか迷っている人は是非参考にしてほしい。
今夏の「新潮文庫の100冊」フェアでは限定プレミアムカバーの小説が8点刊行されたが、「これは利益度外視で、新潮社のプライドをかけて作っています」とのことなので、欲しい方はお急ぎください。“
×023.04『ブックビジネス2.0 ウェブ時代の新しい本の生態系』岡本真/編著 仲俣暁生/編著 金正勲/執筆 津田大介/執筆 長尾真/執筆 野口祐子/執筆 橋本大也/執筆 渡辺智暁/執筆 実業之日本社 2010年
×023『出版営業ハンドブック 基礎編 改訂2版』岡部一郎/著 出版メディアパル 2017年
×023『出版営業ハンドブック 実践編 改訂2版』岡部一郎/著 出版メディアパル 2017年
×023.1『図解出版業界ハンドブック』櫻井秀勲/編著 東洋経済新報社 2008年
○019.9『おすすめ文庫王国 2018』本の雑誌編集部/編 本の雑誌社 2017年
p104-111「売上げダウンをカバーするのはカバーだ!」
丸善お茶の水店と三省堂書店神保町本店の書店員対談で、カバーを変えたことにより本の売上げが上がったことが述べられている。たとえば、「『失敗の本質』もこれまで古くさいカバーだったんですけど、分かりやすいビジネス書みたいなのに変えてから売上げがどーんと上がった」など。
○023.1『ベストセラー全史 現代篇』澤村修治/著 筑摩書房 2019年
p357「現代性という点では、集英社が夏の文庫フェアで、太宰治『人間失格』の表紙に漫画「DEATH NOTE」の著者を起用しそのイラストを使った取り組みもある。これによって文庫『人間失格』は例年にない売れ行きを示した。」
×019.9『おすすめ文庫王国 2019』本の雑誌編集部/編 本の雑誌社 2018年
×019.9『おすすめ文庫王国 2020』本の雑誌編集部/編 本の雑誌社 2019年
×019.9『おすすめ文庫王国 2021』本の雑誌編集部/編 本の雑誌社 2020年
×019.9『おすすめ文庫王国 2022』本の雑誌編集部/編 本の雑誌社 2021年
×019.9『おすすめ文庫王国 2023』本の雑誌編集部/編 本の雑誌社 2022年
×023.1『ベストセラーの風景』塩沢 実信/著 展望社 2009年
×023.1『出版界おもしろ豆事典』塩澤実信/著 北辰堂出版 2010年
×023.1『進む、書籍PR! たくさんの人に読んでほしい本があります』奥村知花/著 PHP研究所 2018年
×023.1『平成の出版が歩んだ道』能勢仁/共著 八木壯一/共著 出版メディアパル 2020年
×023.1『拝啓、本が売れません』額賀澪/著 ベストセラーズ 2018年
p141-164“「恋するブックカバーのつくり手」と、楽しい仕事”
デザイン違いの話は出てこない。
○「作家の羽休み――「第11回:文庫新カバーのお知らせ」」
https://books.bunshun.jp/articles/-/5652?page=2(2024.3.1最終確認)
作家・阿部智里さんのコラム。新カバー・旧カバーについての思いや、流通の事情にも触れていて参考になる。(新カバーと旧カバーが同時に流通しているタイミングがあることなど)
○「新装版という戦略 カバーを変えただけで購入につながるのか?」
https://chuokoron.jp/series/121766.html(2024.3.1最終確認)
それまでのファンとは違う読者層を獲得するための戦略として、カバーを変えた「新装版」があり、そのための工夫などについて詳しく記述している。
×023.1『平成出版データブック-『出版年鑑』から読む30年史-』能勢仁/著 ミネルヴァ書房 2019年
×024.1『「本」をめぐる新たな見取図』本の学校/編 出版メディアパル 2016年
×023.1『出版界おもしろ豆辞典』塩澤実信/著 北辰堂出版 2010年
×023.1『本は世につれ』植田康夫/著 水曜社 2009年
×024『本の未来をつくる仕事/仕事の未来をつくる本』内沼晋太郎/著 朝日新聞出版 2009年
×023.1『出版 2009年度版』植田康夫/監修 産学社 2007年
×024.1『出版状況クロニクル6』小田光雄/著 論創社 2021年
×024.1『出版業界の危機と社会構造』小田光雄/著 論創社 2007年
×022.57『装幀余話』菊地信義/著 作品社 2023年
×022.57『現代日本のブックデザイン史1996-2020』長田年伸/編 誠文堂新光社 2021年
×022.57『書影の森』臼田捷治/編著 みずのわ出版 2015年
×020.4『本の逆襲』内沼晋太郎/著 朝日出版社 2013年
×021.4『ミルコの出版グルグル講義』山口ミルコ/著 河出書房新社 2018年
×021.3『出版で夢をつかむ方法』吉江勝/著 中経出版 2010年
●「書籍商」で件名検索
×024.1『まちの本屋』田口幹人/著 ポプラ社 2015年
○024.06『本屋という「物語」を終わらせるわけにはいかない』松本大介/著 筑摩書房 2018年
p66「期待をかけた「ホラー文庫フェア」と「嘘八百フェア」」の中に「大和書房さんの協力を取り付けて、おどろおどろしい表紙の共通のカバーを作成してもらい」との記載あり。
●出版販売で件名検索
×024.1『本の力』高井昌史/著 PHP研究所 2014年
×024.1『リブロが本屋であったころ』中村文孝/著 論創社 2011年
○023.1『白書出版産業 2010』日本出版学会/編 文化通信社 2010年
p62 ■文庫版の出版状況「例えばカバーを変えて、新たな読者へと訴えかけようという試みは盛んだ。」として、いくつかの例が載っている。
- 事前調査事項
- NDC
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- 読書.読書法 (019 10版)
- 出版 (023 10版)
- 図書の販売 (024 10版)
- 参考資料
- キーワード
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- 書籍カバー
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000346534