レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2023年05月18日
- 登録日時
- 2023/08/02 12:33
- 更新日時
- 2023/09/21 16:16
- 管理番号
- 関大総図 23N-01J
- 質問
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解決
以前次のような評論文を読んだが、文献名を忘れてしまったので、調べてほしい。
文献(評論文)のテーマ
・鉄道(車窓)から見える景色とはどのようなものか
文献に書かれていたはずの内容
・鉄道(車窓)から見える視点はパノラマ的なものである
・鉄道による移動とはどのようなものか
・鉄道は絶えず移動しているから、乗客は、移動している地域の暮らしと同居していることにはならない
→その意味で、鉄道で移動している乗客は、どこにも属していない。
・車窓から見える視点はパノラマ的なものであるから、そこにある暮らしがどんなものなのかわからない
- 回答
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お調べしたところ、ヴォルフガング・シヴェルブシュ著、加藤二郎訳『鉄道旅行の歴史 : 19世紀における空間と時間の工業化』の「4 パノラマ風の旅行」に、類似した表現が見つかりましたので、お知らせします。
> 鉄道(車窓)から見える視点はパノラマ的なものである
「鉄道が早い動きで作って見せる舞台面は、強調するまでもなく、パノラマである。」(p.78)
「車室の窓から見たパノラマ的眺望」(p.78)
> 鉄道による移動とはどのようなものか
例えば以下のように表現されています。
「空間と時間を抹殺する力として登場した鉄道は、繰り返し発射体として描かれている。」(p.71)
「発射体に乗る旅行者は、旅行者たることを止め、そしてこの世紀の共通表現に見られるように、旅行者は小荷物となる。」(p.71)
※「共通表現」にルビが振られていますが、文字がかすれて判読できませんでした
> 鉄道は絶えず移動しているから、乗客は、移動している地域の暮らしと同居していることにはならない
「パノラマ的にものを見る目は、知覚される対象ともはや同一空間に属していない。」(p.80)
> 鉄道で移動している乗客は、どこにも属していない。
「鉄道発明以前には、旅人にとって地理的関係は、風景の変化で次第に作られてきた。旅人は場所から場所へとたどっていった。だが今のわれわれは、朝列車に乗りこんで、それから十二時間列車の中にいる、つまりいわばどこにもいない状態のままで過して、夕方パリで下車することができるのだ。」(pp.70-71)
> 車窓から見える視点はパノラマ的なものであるから、そこにある暮らしがどんなものなのかわからない
「あなたが通過する土地について、あなたが精々体験できるのは、その土地の地学的構造と、通り一ぺんの上っ面にすぎない」(p.72)
回答は以上です。
- 回答プロセス
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①Google Booksで「鉄道 “パノラマ的”」を検索
②青弓社編集部『特集「写真家」とは誰か』がヒット。
シヴェルブシュ『鉄道旅行の歴史』より、「パノラマ的にものを見る目は、知覚される対象ともはや同一空間に属していない」という言葉が引用されているのを見つける(p.38)。
- 事前調査事項
- NDC
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- 鉄道運輸 (686)
- 参考資料
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- ヴォルフガング・シヴェルブシュ著 ; 加藤二郎訳. 鉄道旅行の歴史 : 19世紀における空間と時間の工業化 新装版. 法政大学出版局, 2011. , ISBN 9784588276477 (当館請求記号 K*686.2*シ, 当館資料番号 103044655)
- キーワード
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- 鉄道
- 時間・空間
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 学部生
- 登録番号
- 1000336856