レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2023年05月23日
- 登録日時
- 2024/04/17 15:43
- 更新日時
- 2024/04/21 15:25
- 管理番号
- 9000042346
- 質問
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解決
漢詩「雨声涼入硯 花気潤侵簾」の出典・作者を知りたい。書道の展覧会に出品したい。
- 回答
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お問い合わせの漢詩は、申笏山の「夏日連雨殊有秋意」という漢詩の一節で、該当箇所の2句は、『墨場必携』(『新註墨場必携 上巻』(市河米庵/輯 名跡刊行会 2010年)等)に掲載がある。
- 回答プロセス
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1.国立国会図書館デジタルコレクションで、「雨声涼入硯」を検索するといくつか資料がヒットした。各資料を確認すると、『墨場必携 新註25版』(米菴河/輯 [他] 洛東書院 1938年)など『墨場必携』に該当の詩の部分(2句)と、作者や訳文の掲載があった。
※国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/ja/pid/1033232/1/174 ※一般公開
2.所蔵資料で『墨場必携』を確認。
※『新註墨場必携 上巻』(市河米庵/輯 名跡刊行会 2010年)p.309「雨声涼入硯。花気潤侵簾。(うせいりょうけんにいり かきうるおいれんをおかす) 申笏山/雨声ばかり聞いても心地よく、涼気は硯に吹き入った。そうして花の香りはしめって簾にとおるのであった。」
3.「申笏山」について、インターネットの検索エンジン、Googlebooksを調査すると、漢籍『笏山詩集』(申甫/撰 1792年)がヒット。
4.インターネットの検索エンジンで『笏山詩集』を検索すると、次のデジタルアーカイブで、該当の詩の全文が掲載されている箇所のデジタル画像が確認でき、「夏日連雨殊有秋意」という詩(五言律詩か?)の一部であることがわかった(両方とも原本はハーバード大学所蔵本)。
https://ctext.org/library.pl?if=gb&file=124903&page=87
・「中国哲学書電子化計画」https://ctext.org/zh
https://curiosity.lib.harvard.edu/chinese-rare-books/catalog/49-990080303090203941 (seq. 44)
・「CURIOSity Digital Collections」(Harvard Library) https://curiosity.lib.harvard.edu/
※各webサイトへの最終アクセスは、2023.5.24
- 事前調査事項
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・テレビドラマの背景でこの漢詩の掛け軸を見た。
・『条幅制作のための漢詩名句墨場辞典』(宮負丁香/編著 東京堂出版 2014年)は調査済み。
・インターネットの「yahoo知恵袋」では、同様の質問があったが作者はわからなかった。
- NDC
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- 詩歌.韻文.詩文 (921 10版)
- 書.書道 (728 10版)
- 参考資料
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市河米庵 輯. 新註墨場必携 上巻 新版. 名跡刊行会, 2010.
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000010696388 , ISBN 978-4-88582-166-0 (p.309,請求記号728.4/シン/1,資料番号0105488555)
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市河米庵 輯. 新註墨場必携 上巻 新版. 名跡刊行会, 2010.
- キーワード
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- 雨聲涼入硯
- 漢詩
- 申笏山
- 申甫
- 清
- 照会先
- 寄与者
- 備考
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〈補足事項:申笏山について調査〉
・『韻偶大成 2巻 姓氏録」(上村才六/編 声教社 1927年)23丁オに「申甫」の項あり、「清 字及甫 号笏山/笏山詩集」とある。(国立国会図書館デジタルコレクション(送信サービス)で閲覧可能 https://dl.ndl.go.jp/ja/pid/1904957/1/25 )
※次の資料には掲載なし。
・『中国詩詞翻訳索引 第2巻 宋代〜清代』(相島宏/編 金沢文圃閣 2015年)〈資料番号0106485931〉
・『漢詩大系 22 清詩選』(集英社 1980年)〈資料番号0100887231〉
・『中国古典文学大系 19 宋・元・明・清詩集』(平凡社 1973年)〈資料番号0101515419〉
・『清詩總集敍録』(松村昻/著 汲古書院 2010年)〈資料番号0105937510〉
- 調査種別
- 事実調査 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000349153