レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2012年03月30日
- 登録日時
- 2012/07/02 13:13
- 更新日時
- 2016/07/13 12:02
- 管理番号
- 埼熊-2012-062
- 質問
-
解決
渡辺華山の「訪■録」(■=瓦に镸)の「チョウ」(■)という文字は『新撰字鏡』では何と読んでいるのか。
(『類聚名義抄』p173では「ミカ」と読んでいる。)
- 回答
-
『新撰字鏡』(天治本)では、「弥加」(みか)と万葉仮名で訓読みが記されている。
確認の結果と過程を以下のとおり報告した。
1「新撰字鏡」の調査
『新撰字鏡 天治本』(京都大学文学部国語学国文学研究室編 臨川書店 1979)
p291「■」に見える文字(最終行の下から6字目)(巻第五、瓦部の中)に「弥加」とあり。
p387目次にある「小学篇」の項があるが、巻第7に該当する字なし。
p812群書類従本 瓦部に「■」、「瓺」なし。
『新撰字鏡國語索引 天治本享和本』(京都大学文学部国語学国文学研究室編 臨川書店 1975)
p208「「弥加(みか)」に「■ 」があり、291五15オ(『新撰字鏡 天治本』291p 天治本5巻15丁表)を参照していて、
上記の『新撰字鏡 天治本』p291にある字が、「■ 」であることがわかる。
2「新撰字鏡」について調査
『日本古典文学大辞典 3』(日本古典文学大辞典編集委員会編 岩波書店 1984)
p483-484〈新撰字鏡〉の項あり。(漢数字はアラビア数字に改めて引用)
「12巻。辞書。昌住著。寛平4年(892)夏、一応3巻の草稿をまとめたが、昌泰年中(898-901)に、『玉篇』『切韻』を得て洩れた文字を補い、更に小学篇の字や本草の文字をも加えて12巻とした。昌泰の末か、おそくも延喜(901-923)の初め頃には成立したと考えられる。(内容)漢字約2万1千字を、主として偏旁によって160部門に分けて配列し、各字の音と意義とを注するほか、時には万葉仮名による和訓を加えるなどして、(後略)」
『新校群書類従解題集』(名著普及会研究開発部編 名著普及会 1983)
p730-731〈新撰字鏡〉の項あり。「稿本所収の本書は、固より抄本であって全部ではない」とある
- 回答プロセス
-
記述のなかった資料は以下のとおり。
『群書類従 28 雑部』(塙保己一編纂 訂正3版 続群書類従完成会 1986)
p285-322「新撰字鏡」収録。p301「瓦部」中に「■」なし。
- 事前調査事項
- NDC
-
- 辞典 (813 9版)
- 貴重書.郷土資料.その他の特別コレクション (090 9版)
- 参考資料
-
- 『新撰字鏡 天治本』(京都大学文学部国語学国文学研究室編 臨川書店 1979)
- 『新撰字鏡國語索引 天治本享和本』(京都大学文学部国語学国文学研究室編 臨川書店 1975)
- 『日本古典文学大辞典 3』(日本古典文学大辞典編集委員会編 岩波書店 1984)
- 『新校群書類従解題集』(名著普及会研究開発部編 名著普及会 1983)
- キーワード
-
- 漢字-辞書
- 新撰字鏡
- 訪■録(ホウチョウロク)
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 言葉 郷土
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000108069