レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2023年01月08日
- 登録日時
- 2023/02/10 15:33
- 更新日時
- 2023/08/29 14:05
- 管理番号
- 埼久-2022-084
- 質問
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解決
具象彫刻から抽象彫刻へ移行した彫刻家と、その作家が抽象彫刻を作るようになった理由や経緯について知りたい。
- 回答
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以下の資料を紹介した。
1 図書
『日本彫刻の近代 From its beginnings through the 1960s』(東京国立近代美術館[ほか]企画・監修 淡交社 2007)
p240-251「作家解説」
p245「建畠覚造」の項にフランスから帰国後に「人体彫刻から抽象彫刻へ移行」とあり。
p246「土谷武」の項に「フランス留学を機に抽象彫刻へ移行」、「戸張弧雁」の項に「次第に抽象性に富む作風を示した」とあり。
『抽象彫刻の形成期1945-1960』(練馬区立美術館編 練馬区立美術館 1988)
横山勝彦著「戦後抽象彫刻の基調(ノート)」(ページ番号なし)に、「いわゆる現実の自然に対してもはや現実感を感じなくなった時、つまり自然主義的現実主義に安住できなくなった時、作家は、自身が現実感をもつことのできる表現方法と素材を発見しようと試みる。このような感性が、少なくとも抽象的表現へ展開してゆく作家の意識の深層には横たわっているのではないだろうか。」(左段一番下の行~)等と解説あり。
『現代彫刻』(中原佑介著 美術出版社 1982)
「五 自然と彫刻」の章のp113-120にジャン・アルプ、ヘンリー・ムーア、バーバラ・ヘップワースらが抽象彫刻を作るに至った思想について記述あり。
『20世紀の総合芸術家イサム・ノグチ 彫刻から身体・庭へ』(イサム・ノグチ作 新見隆監修 平凡社 2017)
p41-43 宗像晋作著「北京ドローイング 身体から抽象へ」に、イサム・ノグチが彫刻家として抽象を目指していく過程について記述あり。
『ヘンリー・ムア 生命のかたち,テーマ展示』(ヘンリー・ムア〔作〕 ブリヂストン美術館 2010)
p25 ムアの作品について「原始彫刻から受けたインスピレーションや、シュルレアリスムから触発された生命体の形態の変容や、(中略)骨や石や木などの「自然のオブジェクト」との融合を経て、人体は有機的で抽象的な形態へと変化し(後略)」とあり。
『彫刻家建畠覚造』(川口市立アートギャラリー・アトリア編 川口市立アートギャラリー・アトリア 2011)
p2-4 藤井匡「建畠覚造 姿勢としての二律背反」
「だが、作者にとって、そもそも抽象彫刻とは到達すべき目標ではなかった。」として、建畠覚造の言葉「われわれは、日本の彫刻が、一度は抽象という造型の厳しい壁を突破する必要があると考え、不満足なデータの中で、抽象造型を手さぐり、その厳しさを掘り出して、その上に純粋な人間の声を築き上げたいという意欲に燃えていたわけである」とあり。出典:『美術ジャーナル 1963年1月号』
『ルチオ・フォンタナとイタリア20世紀美術』(谷藤史彦著 中央公論美術出版 2016)
p171-191「ⅠⅠ フォンタナの抽象彫刻と一九三〇年代の抽象主義」の項、p191にルチオ・フォンタナとファウスト・メロッティが彫刻で抽象を目指した理由やアプローチについて記述あり。
2 インターネット情報
《国立国会図書館デジタルコレクション》『ロダン以後』(蔵田周忠著 中央美術社 1926)(http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1019000 国立国会図書館)82-83コマ 国立国会図書館内/図書館・個人送信限定
p80-81ブランクーシが抽象彫刻を作るに至った思想について「(前略)彼も近代人である。思想のドンづまりまで考へなければならないといふ想念―休息なしに計算の解決をつけなければならないといふ思想に、追ひつめられてゐる。」等の記述あり。
《国立国会図書館デジタルコレクション》『世界美術の歴史』(柳亮著 美術出版社 1959)
(https://dl.ndl.go.jp/pid/2488150/1/122 国立国会図書館)122コマ-124コマ 国立国会図書館/図書館送信参加館内公開
p222-227「今日の彫刻」の項に抽象彫刻の始まりについて、彫刻家の名前を挙げながら記述あり。
《国立国会図書館デジタルコレクション》『美術教育講座 第2巻 (絵画・彫塑篇)』(井島勉 等編 金子書房 1955)
(https://dl.ndl.go.jp/pid/9541626/1/77 国立国会図書館)77コマ-82コマ 国立国会図書館/図書館送信参加館内公開
p130-140「9 抽象彫刻」の項、p133-134抽象芸術が生まれた理由について記述あり。
《北海道教育大学学術リポジトリ》(https://hokkyodai.repo.nii.ac.jp/ 北海道教育大学)
峯田敏郎著「現代の具象彫刻 : その精神と構造」(『北海道教育大学紀要 第一部 C 教育科学編 17(1)』 p146-160 北海道教育大学 1966.6)(https://hokkyodai.repo.nii.ac.jp/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=1307&item_no=1&page_id=13&block_id=21)
「2 具象彫刻論 (3)具象彫刻の進路」のp158-160に、ブランクーシによる抽象形態を磨き上げる試み「“形の意識”の実験」と、この実験が行われるようになった背景について記述あり。
- 回答プロセス
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1 言葉の定義を確認する。
(1)《Japan Knowledge》(ネットアドバンス)を検索する。
(2)参考図書を調べる。
2 《Google》(http://www.google.co.jp/ Google)を〈彫刻 & 具象 & 抽象〉で検索する。
3 NDC分類〈712〉の棚にあたる。
『彫刻家への手紙 現代彫刻の世界』(酒井忠康/著 未知谷 2003)
p106 抽象彫刻の先駆的な人物の名前あり。
4 3の資料の情報から、自館目録を〈建畠覚造〉〈堀内正和〉〈毛利武士郎〉〈吾妻兼治郎〉〈木村賢太郎〉〈飯田善國〉〈土屋武〉〈保田春彦〉〈湯原和夫〉〈澄川喜一〉〈井上武吉〉〈宮脇愛子〉〈小田襄〉〈抽象彫刻〉で検索する。
5 《国立国会図書館オンライン》(https://ndlonline.ndl.go.jp/ 国立国会図書館)を〈抽象彫刻〉で検索する。
6 《CiNii Research》(https://cir.nii.ac.jp/ 国立情報学研究所)を〈抽象彫刻〉で検索する。
ウェブサイト・データベースの最終アクセス日は2023年1月8日。
- 事前調査事項
- NDC
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- 彫刻 (710 9版)
- 彫刻史.各国の彫刻 (712 9版)
- 参考資料
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- 『日本彫刻の近代 From its beginnings through the 1960s』(東京国立近代美術館[ほか]企画・監修 淡交社 2007) , ISBN 4-473-03430-5
- 『抽象彫刻の形成期1945-1960』(練馬区立美術館編 練馬区立美術館 1988)
- 『現代彫刻』(中原佑介著 美術出版社 1982)
- 『20世紀の総合芸術家イサム・ノグチ 彫刻から身体・庭へ』(イサム・ノグチ〔作〕 新見隆監修 平凡社 2017) , ISBN 4-582-20712-X
- 『彫刻家建畠覚造』(川口市立アートギャラリー・アトリア編 川口市立アートギャラリー・アトリア 2011)
- 『ルチオ・フォンタナとイタリア20世紀美術』(谷藤史彦著 中央公論美術出版 2016) , ISBN 4-8055-0767-5
- キーワード
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- 彫刻-歴史
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 彫刻
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000328798