レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2012/8/9
- 登録日時
- 2022/02/23 00:30
- 更新日時
- 2022/02/23 09:29
- 管理番号
- 北方 21-0066
- 質問
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解決
北海道の七夕行事、ろうそくもらいについて知りたい。
- 回答
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「ろうそくもらい」に関する質問事項について、以下の資料に関連する記述あり。
・『文芸にいかっぷ』20号(2002.12)p112-118「郷土史話 七夕まつりとローソクもらい」(乾芳宏)
ろうそくもらいについてまず、「函館周辺は七月七日、他の地域では八月七日に行われるようです。(中略)いつごろ、どのようにして行われるようになったかは定かではありませんが、盆と関係あるといわれています。」
その後、新冠町字東町と字本町、函館市東川町、余市町、松前町、江差町、古平町、小樽市、札幌市、天塩町、小平町、旭川市、風連町、遠別町、佐呂間町、門別町のはやし唄の歌詞、道内のろうそくもらいの分布図が出ています。また唄の歌詞によって函館方式、西海岸方式、日高・道東方式と大まかに分類。文章や分布図は『北の生活文庫 6 北海道の年中行事』(小田嶋政子著、北海道新聞社刊、1996)をベースにした内容となっているようで、他に参考にした文献一覧が文末にあり。
・『北海道わらべ唄』(藤島範孝著、北海道新聞社刊、1976.12) p157-161「七夕まつり」
北海道におけるろうそくもらいのルーツについて記述あり。
「北海道では開拓の当初から持ち込まれたものであったろうが、生活に追われた人びとが多かったとみえて〈七夕祭〉はそれほど盛んでなかった。旧暦七月七日ということから〈月遅れ〉と称して八月の七日に行うところが多い。殆ど子供の行事であった。」
(竹に短冊~で始まる歌を紹介した後)「上川や富良野の開拓の頃うたったという明治の〈七夕うた〉である。(中略)川端に生えているナガハのヤナギで間に合わせ、短冊をつけて願いごとを書いたものである。〈七夕祭〉が終わった翌日、柳の木を川へ流しに行った。この風習は盆の行事から来たものであったのだろう。〈七夕ながし〉ともいった記憶がある。昭和に入ると〈七夕うた〉は更に短くなり、〈ろうそく〉が欲しいうたに変わってしまっている。」
・『日本のわらべ歌全集 1 北海道のわらべ歌』(松本達雄・更科源蔵著、柳原書店刊、1985.5) p101-102「10 歳時歌 今年ゃ豊年〈七夕〉」
北海道におけるろうそくもらいのルーツについて記述あり。
(小樽のろうそくもらいの歌詞を紹介した後)「七月七日、七夕の夜子供たちが、この歌を歌いながら町内の家々をまわった。この行事は、豊作の予祝で、かつては家々で祝儀やお菓子などを用意して子供たちに与え、子供たちはその家の福徳と、その年の豊作を祝ったものである。七夕の夜にこの行事を行うところは、主として関東から北陸、東北に多く、関西以西では“亥の子”の行事として行われている。(中略)北海道には、もともとこの種の行事があったわけではなく、移住してきた人々によってもたらされたものである。この歌についてのみ言えば、関東あるいは東北からの移住者が伝えたものと考えられ、戦前は全道一円でうたわれていた。戦後は、七夕の夜「今年ゃ豊年」をはぶいて、「ろうそく出せ出せよ…」とのみうたっているが、これはおそらく、豊年予祝の考え方が消えていったせいであろう。ちなみに浅野健二博士の示教によれば、青森地方のネブタ祭りでも、ネブタを持って回る門づけ唄に「ローソク呉ねば、鼻かちゃぐ」とうたわれるという。」
・『BUN BUN』No.100(朝日新聞北海道支社刊 2001.7) p7「なんだコレ 七夕がどうして8月7日なの?」
矢島睿氏(北海学園大学講師、元・北海道開拓記念館学芸員)による解説があり。
「日本の暦が新暦に切り換わったのは明治6年。この時、公の行事はすべて、全国的に、旧暦での日付がそのまま新暦に当てはめられることとなった。が、公のものではない、庶民に伝わる各種の行事をどうするかは、それぞれの地域にゆだねられた」
「その際の選択肢としては、次の三つが考えられた。一つは、時期がひと月早まっても、旧暦と同じ日付を使おうという考え方。7月7日の七夕は、この考えによるものです。二つ目は、日付は年によって流動しても、旧暦での時期をそのまま厳密に新暦に置き換えていこうとする考え方。三つ目は、時期をおおむね旧暦に合わせつつ、日付を固定しようという考え方。7月7日の『7日』という“日にち”を使い、“月”を後ろにずらした8月7日の七夕は、この三つ目の考え方によるもの」
「函館や根室の七夕は7月7日です。函館と根室は7月のお盆、つまり旧盆が根強く残る地域であることも関係しているのでしょう。(中略)函館の場合、地域一番の催しである八幡宮のお祭りが8月だったため、七夕とお盆はそれに重ならないよう7月にしたという話もあります」
・『北海道大百科事典』下(北海道新聞社刊 1981.8) p52「七夕 たなばた」
七夕の記述のうち、ろうそくもらいについて以下の記述あり。
「旧暦では7月7日、新暦になってから北海道ではひと月おくれのこの日におこなわれる。(中略)夕方になると子供たちは工夫をこらした瓜提灯や行燈などをぶら下げ「ローソク出せ出せよ、出さぬとかっちゃくぞ」とはやしながら戸ごとに回った。」
・『わらべうた研究ノート』(本城屋勝著、無明舎出版刊、1982.6) p188-189「もらい歌」
「七夕流しや眠り流しと順序が逆になったきらいがあるが、次は、それらの行列の際に、あるいはその前に、行列に必要なローソクなどをもらいに各家々をまわるときの歌。」として、佐渡、秋田、青森、岩手、札幌、山形、富山の歌を掲載。
・『日本伝承童謡集成』 第5巻 歳事唄・雑謡篇 改訂新版(北原白秋編、三省堂刊、1986.3) p43「<注>七月七日夜、星を送るときうたう。」
北海道2種(どの地域か書いていない)、樺太、岩手、山形、秋田、宮城の歌を掲載。
※CiNii(学術論文データベース)で検索を行ったところ、「ローソク出せ出せよ-民俗のひとり歩き」(蛸島直、「日本民俗学」166号、p49-68、1986.7)という論文がヒットしましたが、当館に現物がないため内容が確認できず。
- 回答プロセス
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(参考資料)
1 北海道の年中行事 小田嶋 政子∥著 北海道 1996 386/HO p168-171
- 事前調査事項
- NDC
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- 年中行事.祭礼 (386 7版)
- 参考資料
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- 1 文芸にいかっぷ 通巻20号 新冠文芸協会 1983 Z301 p112-118
- 2 北海道わらべ唄 藤島範孝∥著 北海道新聞社 1976 388.9/F/イ p157-161
- 3 日本わらべ歌全集 1 北海道のわらべ歌 柳原書店 1985.5 388.9/MA p101-102
- 4 BUN BUN ブンブン Sapporoタウン情報紙 通巻82号?通巻105号 朝日新聞北海道支社「ブンブン」編集室 1993年 Z107 NO.100 p7
- 5 北海道大百科事典 下 た-わ 北海道新聞社∥編集 北海道新聞社 1981 031/HO/2 p52
- 6 わらべうた研究ノ-ト 本城屋勝∥著 無明舎出版 1982.6 388.91/W p188-189
- 7 日本伝承童謡集成 第5巻 歳事唄・雑謡篇 北原白秋∥編 三省堂 1975 911.58/KI/5 p43
- キーワード
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- 北海道
- ろうそくもらい
- 七夕
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事項調査
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000312362