レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 登録日時
- 2022/02/25 17:11
- 更新日時
- 2022/03/20 17:50
- 管理番号
- 2022-事例06
- 質問
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解決
サルは色をどこまで認識しているか。
- 回答
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生物が色を見分けられるのは、目の網膜にある色の違いを感じる錐体細胞という視細胞の働きによるもので、ヒトの場合は光の3原色である青、緑、赤の波長にそれぞれ反応する3種の錐体細胞があるため3色型色覚となる。哺乳類のほとんどは2種の錐体細胞しか持たないため、赤と緑の区別ができない「赤緑色盲」と呼ばれる2色型色覚である。錐体細胞の数の違いは染色体が関係していて、青を感じる錐体の遺伝子は7番染色体に、緑を感じる錐体と赤を感じる錐体の遺伝子はX染色体にある。
アイアイやキツネザルなどの原猿類の多くは2色型色覚だが、エリマキキツネザルのメスとシファカのメスは2本のX染色体をもっているのでこの2種のメスの一部は3色型色覚になる。
中南米に生息するリスザルやホエザルやヨザルなど小柄なサルが含まれる広鼻類の色覚に関しては2009年時点で12種類の調査結果が判明している。それによると夜行性のヨザルは1種類の錐体視物質しか持たなかったが、ホエザルは3色型色覚であり、また他の種の場合はX染色体を1本しか持たないオスは2色型となり、X染色体を2本持つメスは2本のX染色体上の視物質遺伝子が同じときは2色型に、違うときは3色型になると報告されている。
ニホンザルやヒト、アジア・アフリカに生息するチンパンジー、ゴリラ、オランウータンなどの大型の類人猿が含まれる狭鼻類も2009年時点でオナガザル類18種、類人猿4種について調査されているが、すべてヒトと同じ3色型色覚だった。
- 回答プロセス
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480動物学の棚から『ヒトの見ている世界 蝶の見ている世界』を見つけ、巻末の参考文献に記載されている資料を探したほか、489哺乳類の棚からサルについて書かれた資料にもあたった。
- 事前調査事項
- NDC
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- 一般動物学 (481)
- 哺乳類 (489)
- 参考資料
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- 『サル学なんでも小事典』 京都大学霊長類研究所/編 講談社 1992年
- 『新しい霊長類学』 京都大学霊長類研究所/編著 講談社 2009年
- 『人とサルの違いがわかる本』 杉山 幸丸/編著 オーム社 2010年
- 『ヒトの見ている世界 蝶の見ている世界』 野島 智司/著 青春出版社 2012年
- キーワード
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- サル
- 霊長類
- 色彩
- 色覚
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 所蔵調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000312613