レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2023.7.12
- 登録日時
- 2023/08/27 12:26
- 更新日時
- 2023/09/26 14:13
- 管理番号
- 2023-8.3
- 質問
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『美しい日本人』(下記資料①)を読んでいたら、澤地久枝が大岡昇平の北海道旅行に同行した際、大岡昇平から「面白いよ」と推理小説を3冊紹介されたくだりがあった。その推理小説のタイトルを知りたい。
- 回答
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⑤より、質問の3冊の内、2冊は下記タイトルと推測される。他1冊は判明せず。
・ウィリアム・アイリッシュ/著 『暁の死線』
・ダシール・ハメット/著 『ガラスの鍵』 (原タイトル:The glass key)
質問の①以外に北海道旅行(③⑤によると1957年)に同行した内容は下記の資料②③⑤に見られる。
★「尼崎市立中央図書館様より以下の情報源の紹介がありました。2023年9月23日」
以下の国立国会図書館デジタルコレクション 国立国会図書館内/図書館・個人送信限定資料に、ご回答済みの2件以外で、該当事例に関連すると思われる書名が見受けられましたのでお知らせいたします。
新刊展望 26(9)(439) 日本出版販売 1982-09
対談 大岡昇平文学の世界 / 大岡昇平 ; 澤地久枝/p10~17
https://dl.ndl.go.jp/pid/3439030/1/8 (8コマ目p.15冒頭部分)
澤地久枝さんの発言の中に「『赤毛のレドメイン』も面白いよとおっしゃったんです」
という記述があります。
『赤毛のレドメイン一家』(世界探偵名作全集 1)
フイルポッツ/著 井上良夫/訳 柳香書院 1935
https://ndlonline.ndl.go.jp/#!/detail/R300000001-I000000791890-00
戦前より現在まで多数の翻訳が刊行されているようです。
- 回答プロセス
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質問の箇所↓
①『美しい日本人』 (文春新書)
文藝春秋/編 文藝春秋 2023.5 281.04 ISBN:4-16-661407-3
第5章 「文化を豊かにした人々」で、大岡昇平について澤地久枝氏が記している。
p.117 「編集者として大岡さんの北海道への講演旅行のお供をしたとき、私は推理小説の『撙』を読んでいた。二十代の終わり頃で、手軽な本という知恵はなく、讀みかけていた本をもって行った。移動の列車の中でそれに気づいた大岡さんは、三冊の推理小説を教えてくれ「面白いよ」と言われた。」
推理小説のタイトルの記載なし。
★当館資料より
②『大岡昇平の仕事』
中野 孝次/編 岩波書店 1997.3 分類:910.268 ISBN:4-00-022355-0
p.31~ 「『俘虜記』を出発点として 澤地久枝」
①の箇所と同じ内容、北海道旅行に同行した話題に触れられているが(p.33)、推理小説を紹介された件は述べられていない。映画について会話したことに触れられている。
③『わが人生の案内人 文春新書』
沢地 久枝/著 文芸春秋 2002.7 分類:281.04 ISBN:4-16-660256-X
p.120~「「兵士」としての涙―――大岡昇平」
「一九五七年の夏、大岡さんのお供をして北海道の講演会へ行った。海外の推理小説、映画『舞踏会の手帖』のなかでルイ・ジューベのくちずさむ詩と、話題はどこまでもひろがって(以下略)」(p.121)
①の該当箇所と同じ内容の回想と思われる。“勧められた推理小説”の具体的なタイトルについては不明。
④『わが文学生活』
大岡 昇平/著 中央公論社 1975 分類:910.268
文体に関して「スタンダールより師匠はいない」(p.231)などあるが、①の該当箇所に関わる内容には行き当たらず。
⑤『一九四五年の少女 私の「昭和」』 (文春文庫)
沢地 久枝/著 文芸春秋 1992.11 分類:914.6 ISBN:4-16-723916-7
①の該当箇所の北海道旅行と同じ場面で、
「私の熱中ぶりを見てとって「グラス・キイ」「暁の死線」その他を推薦された。私はこの旅での先生の一挙手一投足を忘れられず、(以下略)」(p.166)とある。
この2冊(「暁の死線」、「グラス・キイ」)について調査。↓
・「暁の死線」について…
まず、自館OPACで検索。
→『暁の死線』 (創元推理文庫) ウィリアム・アイリッシュ/著 稲葉 明雄/訳 東京創元社 1981 933.7 ISBN:4-488-12002-4
国立国会図書館サーチで検索すると年代の古いものは早川書房から1954年に砧一郎 訳が出版されているので、1957年の①の該当箇所の時点で出版されていたことになる。
・「グラス・キイ」について…
自館OPAC、国立国会図書館サーチではヒットせず。
インターネット検索をすると「ガラスの鍵」という推理小説の存在が出たので自館OPACで確認。書誌に原タイトル有。
→『ガラスの鍵』 (創元推理文庫)
ダシール・ハメット/著 大久保 康雄/訳 東京創元社 1979 933.7 ISBN:4-488-13003-8
原タイトル:The glass key
原タイトルにより、「グラス・キイ」は『ガラスの鍵』であり得る。また、「暁の死線」と同様、国立国会図書館サーチで検索すると年代の古いものは早川書房から1954年に砧一郎 訳が出版されているので、1957年の①の該当箇所の時点で出版されていたことになる。
また、“The glass key”をインターネットで検索すると映画になっているらしい情報が出てきた。
ウイキペディア:The Glass Key (1942 film)
The Glass Key is a 1942 American crime drama based on the 1931 novel of the same name by Dashiell Hammett.
これによると原著の“The glass key”は1931年の小説。
各資料に大岡昇平と映画との関わりについてたびたび言及があり、映画の原作本を持参していたのはあり得ると思われる。
なお、『ガラスの鍵』に関して当館は出版年、出版社、翻訳者がそれぞれ異なる資料を3冊所蔵している。
●調査したが質問と直接関連する記述に乏しいと思われる資料
・『世代を超えて語り継ぎたい戦争文学』
澤地 久枝/著 佐高 信/著 岩波書店 2009.6 分類:910.264 ISBN:4-00-023684-3
p.117~「大岡昇平の章」
①に関わる話題に行き当たらず。
・『わが美的洗脳 芸術エッセー』
大岡 昇平/[著] 番町書房 1976
・『文学における虚と実』
大岡 昇平/[著] 講談社 1976 分類:910.263
・『昭和とわたし 澤地久枝のこころ旅』 文春新書
澤地 久枝/著 文藝春秋 2019.9 1 分類:910.268 ISBN:4-16-661231-4
大岡昇平に言及はあるものの、該当内容はなし。
・『大岡昇平と歴史』 柴口 順一/著 翰林書房 2002
・『大岡昇平研究』 花崎 育代/著 双文社出版 2003
・『大岡信全軌跡』 年譜 大岡信ことば館 2013
他
以上
- 事前調査事項
- NDC
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- 日本文学 (91)
- 伝記 (28)
- 参考資料
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文藝春秋 編 , 文芸春秋. 美しい日本人. 文藝春秋, 2023. (文春新書 ; 1407)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I032791230-00 , ISBN 9784166614073 -
中野孝次 編 , 中野, 孝次, 1925-2004. 大岡昇平の仕事. 岩波書店, 1997.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002584803-00 , ISBN 4000223550 -
澤地久枝 著 , 沢地, 久枝, 1930-. わが人生の案内人. 文藝春秋, 2002. (文春新書)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000003659007-00 , ISBN 416660256X -
沢地久枝 著 , 沢地, 久枝, 1930-. 一九四五年の少女 : 私の「昭和」. 文芸春秋, 1992. (文春文庫)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002220899-00 , ISBN 4167239167
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文藝春秋 編 , 文芸春秋. 美しい日本人. 文藝春秋, 2023. (文春新書 ; 1407)
- キーワード
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- 澤地久枝
- 大岡昇平
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000337627