レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 20180804
- 登録日時
- 2018/08/15 10:07
- 更新日時
- 2018/08/21 10:44
- 管理番号
- 広県図20180005
- 質問
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未解決
広島に原爆を投下したエノラ・ゲイの乗組員は,放射線の影響を受けなかったのか。
- 回答
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参考資料①のp.441には「エノラ・ゲイの乗員は、みんなその閃光を見、その強烈さに圧倒された。(略)ティベッツは「口の中にその光の味を感じたが、鉛のような味だった」」という記述がある。
この記述については,『毎日新聞』2018(平成30)年8月4日27面「広島原爆投下時「鉛の味」 エノラ・ゲイ機長ら証言 未確認テープ資料館に寄贈」という記事がある。
記事では,「英国人のゴードン・トマス氏らの著作「エノラ・ゲイ」(1977年出版)の取材資料の複製とみられる」テープの内容として「光に包まれた時、鉛のような味がした。きっと放射線(の影響)だろう。とてもほっとした。(原爆が)さく裂したと分かったから」というインタビュー内容を紹介している。
同じ体験については,他の資料にも次のとおり記述があった。
参考資料②p.286「ティベッツ隊長は、(略)歯がうずくような妙な感覚にとらわれ、鉛の味が広がったことをテニアンに帰投して軍医に報告した。後にこれは、歯の詰め物が原子力の放射エネルギーに反応していたと判明した。」
参考資料③p.151「コクピットに突然見たこともない強烈な閃光が走った。そのとき、ふしぎなことにチベッツはその閃光の味を感じた。そう、口の中で味わったのだ。まるで鉛のような味だった。多分、虫歯の詰め物が放射線の影響を受けたんだろう。」
参考資料④p.8「彼[ポール・ティベッツ]は、原爆が爆発したときには、それを実際に体で感じることができた、と説明した。「口の中が鉛で詰まったような感じだった」と。」
また,参考資料⑤のp.39には,「副機関士であると同時に副射手として「エノラ・ゲイ」に近寄って来る敵機を警戒していたロバート・シュマード氏は、(略)一九六七年四月死去。白血病だったという。」という記述がある。ただし,放射線の影響については言及されていない。
この他,参考資料⑥~⑩を調査したが,関連の記述は見付からなかった。
- 回答プロセス
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1 エノラ・ゲイの原爆投下に関する資料を調査した。
2 エノラ・ゲイの乗組員による自伝を探したが,当館には所蔵なし。
3 放射線被曝に関する資料を調査した。
- 事前調査事項
- NDC
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- 兵器.軍事工学 (559)
- 参考資料
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①
ゴードン・トマス/[著] , マックス・モーガン=ウィッツ/[著] , 松田 銑/訳 , Thomas‖Gordon , Morgan‐Witts‖Max , 松田‖銑. エノラ・ゲイ : ドキュメント 原爆投下. TBSブリタニカ, 1980.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I000184168-00 (p.439-452 衝撃波) -
②
本多巍耀 著 , 本多, 巍耀, 1945-. 原爆を落とした男たち : マッド・サイエンティストとトルーマン大統領. 芙蓉書房出版, 2015.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I026776896-00 , ISBN 9784829506608 (p.267-288 ヒロシマ) -
③
広島平和教育センター設立準備委員会. 原爆投下の軌跡 : エノラ・ゲイ機長の証言、その歴史的背景. 広島平和教育センター設立準備委員会, 1980.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I074361372-00 , ISBN 465114201X (p.141-162 閃光、盛り上がるキノコ雲) -
④
グレン・バン ウォリビー 著 , 和田 敏彦 訳 , グレン・バン ウォリビー , 和田 敏彦. 原爆を落とした男たち--エノラ・ゲイ号乗組員の神話と現実--「ヒロシマ」39年後の心の傷あとを追う. 1984-07-27. Asahi journal / 朝日新聞社 [編] 26(32) p. p6-18
http://iss.ndl.go.jp/books/R000000004-I2671872-00 -
⑤
久保安夫 [ほか]著 , 久保, 安夫, 1955-. 原爆搭載機「射程内ニ在リ」 : B29エノラ・ゲイ. 立風書房, 1990.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002060837-00 (p.19-43 甦る原爆搭載機“エノラ・ゲイ”) -
⑥
チャールズ・W.スウィーニー 著 , 黒田剛 訳 , Sweeney, Charles W, -2004 , 黒田, 剛, 1966-. 私はヒロシマ、ナガサキに原爆を投下した. 原書房, 2000.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002940918-00 , ISBN 4562032189 -
⑦
マーティン・ハーウィット [著] , 山岡清二 監訳 , 渡会和子, 原純夫 訳 , Harwit, Martin, 1931- , 山岡, 清二, 1936- , 渡会, 和子, 1949- , 原, 純夫, 1942-. 拒絶された原爆展 : 歴史のなかの「エノラ・ゲイ」. みすず書房, 1997.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002616522-00 , ISBN 4622041065 -
⑧
トム・エンゲルハート, エドワード・T.リネンソール 編 , 島田三蔵 訳 , Linenthal, Edward Tabor, 1947- , Engelhardt, Tom, 1944- , 島田, 三蔵, 1938-2007. 戦争と正義 : エノラ・ゲイ展論争から. 朝日新聞社, 1998. (朝日選書 ; 607)
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002702677-00 , ISBN 4022597070 -
⑨
中川保雄 著 , 中川, 保雄, 1943-1991. 放射線被曝の歴史 : アメリカ原爆開発から福島原発事故まで 増補. 明石書店, 2011.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000011297241-00 , ISBN 9784750334820 -
⑩
中国新聞社 編著 , 中国新聞社. 年表ヒロシマ : 核時代50年の記録. 中国新聞社, 1995.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002474808-00 (索引で「エノラ・ゲイ」が含まれる項目を確認した。)
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①
- キーワード
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- エノラ・ゲイ
- 原爆
- 原子爆弾
- ヒロシマ
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000240659