レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2019年12月18日
- 登録日時
- 2020/04/07 12:59
- 更新日時
- 2020/04/10 09:55
- 管理番号
- 0000110828
- 質問
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解決
太平洋戦争中、現山陽小野田市内にあった捕虜収容所についての資料を探している。とくにオランダ人捕虜の情報について知りたい。
- 回答
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県内の捕虜収容所についてまとめた資料は見当たらなかった。
当館蔵書検索にて、「捕虜」「虜囚」「俘虜」「収容所」のキーワードで図書資料、雑誌記事を検索したが、現山陽小野田市の収容所に関すると思われるものは見当たらなかった。また、県域及び山陽小野田市(旧小野田市)及び宇部市の市史、地域史、軍事戦争関係資料を確認したが、関連する記述は見当たらなかった。
確認した資料は以下のとおり。(それぞれ、索引及び目次により、関連すると思われる部分を確認)
『小野田市史』(小野田市史編纂委員会 編 小野田市 1962.3)
『小野田市史 補遺篇』(小野田市史編纂委員会 編 小野田市 1963.5)
『小野田市史 通史』(小野田市史編集委員会 編 小野田市 1990.11)
『小野田市史探訪ノート』(小野田市青年文化会議 編 小野田市教育委員会 1966)
『小野田市史年表』(小野田市史年表編集委員会 編 小野田市 1980)
『宇部市史 通史篇』(宇部市史編纂委員会 宇部市史編纂委員会 1966.3)
『宇部市史 通史篇 下巻』(宇部市史編集委員会編 宇部市 1993.5)
『山口県政史 下』(山口県文書館 編 山口県 1971.3)
『山口県史 通史編 近代 [修正版]』(山口県 編集 山口県 2016.3 [2018.3])
『山口県警察史 下巻』(山口県警察史編さん委員会 編 山口県警察本部 1982.3)
『日本軍の捕虜政策』(内海愛子 著 青木書店 2005)
以下、参考までに情報提供
質問者確認済みのPOW研究会ウェブサイトの「日本国内の捕虜収容所/広島」の項によると、山陽小野田市内の収容所として、小野田本山分所と、小野田大浜分所があり、収容者は、それぞれ本山炭鉱、大浜炭鉱で使役されたものと思われる。(2020年4月7日最終確認)
http://www.powresearch.jp/jp/archive/camplist/index.html#hiroshima
下記資料1に、『石炭鉱業の展望』(運輸省鉄道総局総務局統計調査課 編 運輸調査局 1947)p121からの引用として、太平洋戦争時の山口県の炭鉱労働者数の統計が掲載されており、「俘虜」の項がある。労働者数は以下のとおり。(県内の総数であり、炭鉱ごとの数値や、出身国等は不明)
昭和19年3月末 767人
昭和19年9月末 1,467人
昭和20年6月末 1,585人
資料2に、太平洋戦争時の山口県下の工場における、捕虜等の強制労働についてまとめられている。小野田の捕虜についての記述はないが、山口県下松市の日立製作所笠戸工場に開設された、福岡俘虜収容所第7派遣所でのオランダ人捕虜に関する事件についての記述がある。なお、この文献は、インターネット上で利用できる。
国立国会図書館デジタルコレクション:徴用・動員・強制連行 : 戦時山口県下の工場労働者(戸島昭)
http://www.dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/10337555
また、このオランダ人捕虜に関する事件については、資料3に収録された「戦時体制への抵抗」(梅原郁夫)に、「特高月報」昭和19年6月分からの引用として、詳細が記載されている。
後日追記
資料4p11-12に、以下の記述がある。(出典の記載なし)
「また、大浜には連合軍捕虜の収容所があった。捕虜は、イギリス兵、オーストラリア兵が主で、終戦時には390人ほどいたという。地元民(大浜炭鉱の鉱員と家族)や収容所長楠本政夫中尉は親切だったらしく、「他の収容所に比べれば、大浜はかなりマシな収容所」と評されている(POW研究所・笹本妙子)。」
また、捕虜たちが「全体主義的に労使一体を強調した増産一直線の使役であったろうと推測され」ることや「捕虜収容所の建物も残っており、独身者寮として使用され、その一角には理髪店があったりした。」ことについても記載がある。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
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POW研究会ウェブサイト「日本国内の捕虜収容所」は確認済み。
http://www.powresearch.jp/jp/archive/camplist/index.html
- NDC
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- 国際法 (329 9版)
- 中国地方 (217 9版)
- 参考資料
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- 1.山口武信. 炭鉱における非常-昭和17年長生炭鉱災害に関するノート. 宇部地方史研究会. 宇部地方史研究 vol.5 p30
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2.戸島 昭 [著] , 戸島 昭. 徴用・動員・強制連行 : 戦時山口県下の工場労働者. 戸島昭, 1987.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I060339147-00 (p55-57) -
3.山口県高等学校教員組合 編著 , 山口県高等学校退職教員協議会 編著 , 山口県高等学校教員組合 , 山口県高等学校退職教員協議会. 告発・証言・十五年戦争 続. 山口県高等学校教員組合, 1985.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I060740215-00 (p215-217) -
4.布引敏雄 著 , 布引, 敏雄, 1942-. 大浜炭鉱労働争議の記録 : 最高裁不当労働行為判決第一号がでるまで. 解放出版社, 2017.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I028022660-00 , ISBN 9784759267754 (p11-12)
- キーワード
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- 捕虜収容所
- 太平洋戦争 (1941-1945)--捕虜
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000280271