レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2019年11月20日
- 登録日時
- 2020/03/24 16:41
- 更新日時
- 2021/11/15 14:22
- 管理番号
- 2019-031
- 質問
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解決
女性刑務官の誕生について,関係資料を調べている。
「刑務官」の用語は,実務上,かなり以前から使用されていると思われるので,その起源を知りたい。
おそらく,大正11年の監獄官制の改正により,行政組織としての名称が「監獄」から「刑務所」に改称された後のことだと思われる。
何か手掛かりになる資料があれば,御教示いただきたい。
- 回答
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監獄官制の改正により「刑務所」が誕生した大正11年の『刑政』35巻11号に「行刑法規改正ノ趣旨」が掲載されていて,そこに刑務官吏と記載されている。https://jca-library.jp/kangokukyoukaizassi/PDF/vol35/35(11).pdf#page=3
また,それ以前の明治33年,『刑政』の前誌である『監獄協会雑誌』13号1号に「刑務小言」という記事が掲載されており,監獄等を「刑務署」「刑務官」と改称するべきとの意見が述べられている。https://jca-library.jp/kangokukyoukaizassi/PDF/vol13/13(1).pdf#page=33
執筆者の青木生は,警察監獄学校の第一期在校生であった。
なお,この「矯正図書館報」には,昭和17年『月刊刑政』55巻1号の座談会で山岡萬之助が大正11年に監獄官制の改正によって「刑務所」が誕生したいきさつを述べている部分も引用されている。https://jca-library.jp/kangokukyoukaizassi/PDF/vol55/55-1.pdf#page=21
監獄学校が「刑務官練習所」に名称変更したのも,大正11年の監獄官制の改正からのようである。
『刑政』35巻11号の94ページにはすでに「刑務官練習所の近況」という記事が掲載されている。
- 回答プロセス
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『刑政』95巻11号(昭和59年)掲載の「矯正図書館報―「刑務署」「刑務官」」に,刑務官の名称のいきさつについて詳しく書かれている。これを基に回答。
- 事前調査事項
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これまで集めた資料等から,
1)明治以降,現在の女性刑務官に相当する「女監取締」が,当初は雇人として,のち官吏として置かれたこと,
2)明治39年に看守部長相当の「女監取締部長」が置かれたこと,
3)昭和4年に「女監取締」が「(女ノ)看守」に改められたこと,
4)平成18年の監獄法改正により,法律上,「監獄官吏」の用語の代わりに,「刑務官」の用語が使われるようになったことがわかった。
(人事院規則では,昭和期から,「刑務官採用試験」の関係で,「刑務官」の用語が使用されていたと思われる)
- NDC
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- 刑法.刑事法 (326)
- 日本史 (210)
- 参考資料
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- 矯正図書館報:「刑務署」「刑務官」. 1984. 刑政 95巻11号
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行刑法規改正ノ趣旨. 1922. 刑政 35巻11号
https://jca-library.jp/kangokukyoukaizassi/PDF/vol35/35(11).pdf -
刑務小言. 1900. 監獄協会雑誌 13巻1号
https://jca-library.jp/kangokukyoukaizassi/PDF/vol13/13(1).pdf -
歴代局長にものを聴く会(一). 1942. 月刊刑政 55巻1号
https://jca-library.jp/kangokukyoukaizassi/PDF/vol55/55-1.pdf
- キーワード
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- 刑務官
- 監獄官制
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 言葉
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000276460