レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2022年11月26日
- 登録日時
- 2022/12/03 14:22
- 更新日時
- 2024/04/08 13:56
- 提供館
- 行橋市図書館 (2300131)
- 管理番号
- 行橋市2022-056
- 質問
-
解決
【当館に寄せられたメールにて】
行橋市と杉孫七郎の関わりにつき、教えていただきたく、メールを送らせていただきました。お忙しい中、ご面倒をおかけいたしますが、よろしくお願い申し上げます。
(1)下記のホームページに、「後藤又兵衛の「槍を見るために安政5(1858)年2月12日に長州の杉聴雨(杉孫七郎)が、沓尾浦大庄屋元永甚兵衛(守田実房)の屋敷を訪ねています」とありました。
http://www.city.yukuhashi.fukuoka.jp/kanbee/doc/2014021400259/files/kiseki_pamphlet-02.pdf(2022/11/26確認)
この内容は、何か史料で確認ができますでしょうか。
(2)その他、杉孫七郎関係の史料や、史跡等が御座いましたら教えていただきたく存じます。
松山神社には杉が建立に関与した碑があるのかと存じますが、これにつきましても何か関係する史料などありましたらそちらもお願い申し上げます。
2018年09月15日「朝日新聞」で、行橋市歴史資料館で明治維新150年を記念した特別展「行橋の明治150年」を開催され、杉孫七郎についても紹介されていたとの記事も読みました。もしも、他機関所蔵の資料なども御座いましたら教えていただきたく、よろしくお願い申し上げます。
- 回答
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まず、「後藤又兵衛の槍を見るために…」について、情報提供いただいたホームページを確認しましたところ、市が作成した「黒田官兵衛の軌跡」というパンフレットであることが分かりました。問い合わせ先として「行橋市教育委員会 文化課」「行橋市歴史資料館」などが挙げられています。(市が作成した黒田官兵衛のHP上にて、パンフレットのPDFファイルが公開されています。)
また、似た文章を確認できた資料は下記のもので
①『行橋の明治150年』行橋市歴史資料館/編集,行橋市教育委員会/発行,2018年,p25~26 第三章 行橋のヒト(2)「杉孫七郎」
②『明治の元勲を感動させた男 守田蓑州』行橋市歴史資料館/編集,行橋市教育委員会/発行,2009年,p6 Ⅱ章 守田家の歴史と伝承 (2)「守田蓑洲と杉聴雨の出会い」
こちらは歴史資料館特別展展示図録で、行橋市教育委員会所有の史料をもとにまとめられています。
他に根拠を示す資料としましては
③『松風録』陣山綏/著・発行,1972年,p87~「松山神社」
④『合本 美夜古文化第一集』美夜古文化懇話会/編集・発行,1971年,p289~「守田家の夫婦石―杉聴雨と守田蓑洲のことなど―」
こちらの2点の一部分に記載があり、簡単にまとめると「槍術修行のため、まず九州路に向かい、たまたま松山城址の下を通りかけた時に、里人から“杉家ゆかりの地”であることを聞き、懐古の念にたえず松山城址に登った。その日に泊まった苅田村の村人に、沓尾にいる守田家に“後藤又兵衛の槍”が所蔵されていると聞き、訪ねて行った」というような内容が書かれています。
③は守田家の親戚の方が、④は郷土史家の方が当時の守田家当主の話や協力を得、書かれたものです。
杉家と守田家の関係は、苅田町にあった松山城の城主(杉家)と家臣(守田家)でしたが、松山城が廃城となった後、守田家が松山城と行橋市の沓尾に小さな祠を建て、杉家の御霊と守田家の先祖を祀ったのが松山神社の起こりであるといわれおり、
⑤『京都郡誌』伊東尾四郎/著,美夜古文化懇話会/発行,1975年,p182~183 「松山神社」
「松山神社」の項目に、松山城主の祖を祭神としていることや、孫七郎に至るまでの遍歴に触れています。
他に杉家の先祖が治めていた「松山城」についての記載ある資料としては
⑥『苅田町の文化遺産』苅田町教育委員会/編集・発行,2002年,p35~「松山城跡」
⑦『郷土誌かんだ 第七号』かんだ郷土史研究会/発行,1990年,p5~「松山城跡調査雑報告書」
⑧『苅田町誌 全』苅田町誌編集委員会/編,苅田町/発行,1970年,p307~「松山城跡」
上記3点に松山城跡の文化財としての紹介や調査報告の記載があります。
「後藤又兵衛の槍」を機に守田蓑洲(もりた さしゅう)と杉孫七郎は親交を深めていき、孫七郎は守田家を支援したとされていますが、それに関わる史料は主に行橋市教育委員会が所有しています。
当館所蔵の資料としては、行橋の郷土人・守田蓑洲に関りがあった人物として市や郷土史家がまとめた記述であり、杉孫七郎に深く関わる史料となると、ほぼ行橋市教育委員会が所有しているようなので、詳細については行橋市教育委員会文化課にお問合せいただいたほうがお分かりになるかと思われます。また、①と②の展示図録に関しても、行橋市歴史資料館にお問合せいただければ、在庫があれば入手ができるかもしれない、とのことです。(HPからも確認できるようになっています。)
連絡先を記載いたしますので、よろしければお問合せください。
★行橋市教育委員会 文化課 (市のHPより確認)
★行橋市歴史資料館 (市のHPより確認)
- 回答プロセス
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「杉孫七郎」のキーワードで検索、「明治文学全集62」が表示されるが、目的の人物か判断がつかず。
(1)の根拠を示す資料を探すために、提供情報元のホームページを確認。PDFファイルで公開されており、「後藤又兵衛の槍」についての記述内容を確認。
次いで同じく情報提供のあった「行橋の明治150年」の図録(①)を確認、「守田蓑洲」に関わりがある人物と判明。「守田蓑洲」の資料を検索・確認。②の資料にて二人の出会いについての記述を確認するが、似たような文章で根拠とするには乏しく、「松山城」「松山神社」「杉聴雨」についても検索が必要かと再認識する。「守田蓑洲」といえば!で③の資料を確認、屋敷を訪ねるに至った理由となる部分を発見。さらに「杉聴雨」のキーワードで検索をかけ、④の資料の記述を確認、③よりも詳細な理由となる部分を発見し、二つの資料を根拠として提示。
(2)について、「松山神社」を調べるが碑に関して杉孫七郎がどのように関わったのか、根拠を示すような詳細なものは見つけられず。ただし、⑤の資料で杉家の遍歴について触れている記載があったため、紹介する。他に、杉孫七郎と直接関わりがあるわけではないが、杉家先祖に関わる史跡として「松山城」を紹介。史跡を…とのことだったため、文化財としての資料⑥⑦⑧を提供する。
※『新京築風土記』山内公二/著,幸文堂出版,2017年,p65「守田蓑洲旧居」 ←松山城の城主・杉家の家臣だった、との記載のみ
『ゆくはし屋根のない博物館ガイドブック 改訂版』行橋市歴史資料館/編集・発行,2012年,p40「松山神社」 ←神勅碑に刻まれた杉聴雨の漢詩と生い立ちについて少し触れている
上記二つについても調べたが、少し触れている程度の記載であったため、参考にはなったが、回答には加えていない。
メールでのレファレンスの受付は行なっていなかったが、利用者の強い希望でメールのやり取りをしたため、求められた部分にのみ焦点をあてた回答となった。相手と応対しながらだと「他にもこんな資料が…」と相手の反応や知っていることの有無を確認しながら紹介できたが、今回は「杉孫七郎」のどこから、どういったことを知っていて、何をどこまで紹介・回答すれば良いのか、できるのかの判断が難しかった。現物史料は行橋市教育委員会が所有していたので、最終的にはそちらで詳しい話を伺ってはどうか、という流れになった。
- 事前調査事項
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・(黒田官兵衛について市がまとめた)ホームページを参照
・朝日新聞にて行橋市歴史資料館の特別展示についての記事を読んだ
- NDC
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- 日本 (291)
- 参考資料
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- 行橋市歴史資料館. 行橋の明治150年. 行橋市教育委員会, 2018年. p. 25~26 (当館請求記号 K212.1, 当館資料番号 115492969)
- 行橋市歴史資料館/編集. 明治の元勲を感動させた男 守田蓑洲. 行橋市教育委員会, 2009年. p. 6 (当館請求記号 K212.1, 当館資料番号 115382806)
- 陣山綏. 松風録. 1972年. p. 87~88 (当館請求記号 K288, 当館資料番号 110855574)
- 美夜古文化懇話会/編. 合本美夜古文化 第1集. 美夜古文化懇話会, 1971年. p. 289~295 (当館請求記号 K205, 当館資料番号 110930377)
- 伊東尾四郎/著. 京都郡誌. 美夜古文化懇話会, 1975年. p. 182~183 (当館請求記号 K212, 当館資料番号 115273377)
- 苅田町教育委員会/編集・発行. 苅田町の文化遺産. 2002年. p. 35 (当館請求記号 K212.2, 当館資料番号 115232852)
- かんだ郷土史研究会. 郷土誌かんだ 第七号. 1990年. p. 5~7 (当館請求記号 K212.2, 当館資料番号 115334757)
- 苅田町誌編集委員会/編. 苅田町誌 全. 苅田町, 1970年. p. 306~308 (当館請求記号 K212.2, 当館資料番号 112081427)
- 山内公二/著. 新京築風土記. 幸文堂出版, 2017年. p. 65 , ISBN 978-4-907965-09-9 (当館請求記号 K212.1, 当館資料番号 115482531)
- 行橋市歴史資料館/編集. ゆくはし屋根のない博物館ガイドブック 改訂版. 行橋市歴史資料館, 2012年. p. 40 (当館請求記号 K296, 当館資料番号 112664776)
- キーワード
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- 杉孫七郎
- 杉聴雨
- 守田蓑洲
- 松山神社
- 松山城
- 行橋市
- 沓尾
- 後藤又兵衛の槍
- 照会先
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- 行橋市教育委員会 文化課
- 行橋市歴史資料館
- 寄与者
- 備考
- 質問・回答のみ、メールの文面を(wordで作成し)コピペしています。(個人情報に関わる事項は除外済)
- 調査種別
- 文献紹介 事実調査 所蔵調査 所蔵機関調査 利用案内
- 内容種別
- 郷土 人物 地名
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000325077