レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2023/12/19
- 登録日時
- 2024/01/20 00:30
- 更新日時
- 2024/01/20 00:30
- 提供館
- 宮城県図書館 (2110032)
- 管理番号
- MYG-REF-230203
- 質問
-
解決
フレンチ=インディアン戦争の後にイギリスが植民地のアメリカへ課税を強化したのはなぜか知りたい。
- 回答
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御照会の件について、下記の当館資料を確認しました。※【 】内は当館請求記号です。
資料1 紀平英作 編『アメリカ史』上, (YAMAKAWA SELECTION), 山川出版社, 2019年【253.01/2019.7/1】
資料2 和田光弘 著『植民地から建国へ : 19世紀初頭まで』(岩波新書 新赤版 1770), 岩波書店, 2019年【253/2019.4/1】
資料3 ニーアル・ファーガソン 著 ; 山本文史 訳『大英帝国の歴史』上 : 膨張への軌跡, 中央公論新社, 2018年【233.05/2018.6/1】
これらの資料で関連する部分を御案内します。
(1)資料1に下記の記述がありました。
p.70「第二章 独立から建国の時代 一七六四~一八〇八年」-「1 独立への道」-「イギリス的自由の継承者としての意識」の項
「「フレンチ・アンド・インディアン戦争」に勝利し、十八世紀のなかばにイギリスは北アメリカ大陸からフランス勢力を一掃し、その東半分をその領土にすることとなった。このように拡大した領土を効率よく統治するためには、従来の植民地政策を改める必要があることは、本国の政策担当者の認めるところであった。その結果、植民地の貿易を統制し、工業製品にかんする規制を厳しく課すことにより、富国の目的を達することが再確認された。それはより直接的に植民地運営の経費を植民地に負担させることを意味した。(後略)」
p.72「第二章 独立から建国の時代 一七六四~一八〇八年」-「1 独立への道」-「印紙法からボストン茶会事件へ」の項
「七年戦争は、一七六三年二月のパリ講和条約をもって終結し、イギリスの北アメリカにおける優位が確定した。拡大した北アメリカでの領土をいかに統治するかの課題に直面したグレンヴィル内閣は、そのための費用の一部を植民地に負担させることを考え、一七六四年四月、「アメリカ歳入法」(砂糖法として知られる)を成立させた。これは、外国産糖蜜の関税をさげる一方、外国産の精白糖への関税をあげ、キャリコ・リネン・絹・ワインなど本国を経由して植民地に輸入される外国産品にたいする関税をふやすことを意図したもので、鉄・毛皮・炭酸カリなどが輸入制限の対象となる列挙品目としてあげられた。(後略)」
(2)資料2に下記の記述がありました。
p.94「第三章 アメリカ独立革命の展開」-「1 先鋭化する対立」-「イギリス第一帝国の頂点」の項
「(前略)本国と植民地の共通の敵であったフランスの軍事的脅威が北米から消え去ったことで、皮肉なことに本国は植民地に対する規制の強化が可能となった。七年戦争中の一七六〇年に亡くなった祖父ジョージ二世の後を襲って王位に就いた若きジョージ三世は、自らに親しい政府とともに、従来の「有益なる怠慢」の見直しへと舵を切る。(中略)また、翌一七六四年には、密貿易への対策として通商規制を強化し関税収入の増加をはかるべく、外国産の砂糖や糖蜜などに新たな税率を導入する砂糖法(アメリカ歳入法)を制定し、(中略)本国政府はそれまでの戦費を回収するためにも、植民地統治の経済的負担を植民地に求めたのである。(後略)」
p.96「第三章 アメリカ独立革命の展開」-「1 先鋭化する対立」-「「代表なくして課税なし」」の項
「一七六五年、本国議会はアメリカ植民地に対して印紙法を定めた。新聞などの印刷物や証書類、トランプにまで印紙を貼ることを義務づけた法律である。グレンヴィル内閣の方針に沿ったその立法化は、消費革命による植民地の購買意欲の高まりに接した本国の役人たちが、さらなる課税が可能であると考えたことも一因であった。(後略)」
(3)資料3に下記の記述がありました。
pp.164-165「第二章 白禍」-「内戦」の項
「(前略)一七三九年までに、植民地は、「それぞれの域内の中で絶対的」に機能する法体系を持ち、これらの法体系は、王室に対して、法的もしくは行動上の責任を負うものでは、ほとんどなくなっていた。(中略)しかしながら、こうした動きは、結果的に、七年戦争の最中とその前後、ロンドンからの中央集権化の新しい波が起こるきっかけとなったのであった。一七六〇年代の課税を巡る議論は、このような憲法上の文脈の中で理解すべきなのである。(中略)一七六六年、印紙税法を撤廃する際、イギリス議会は、次のような宣言を断固として行なった。議会は「植民地とアメリカの人々を束縛するため、十分な権威と法的正当性を持つ法令と規則を定めるための完全なる力と権限を、これまでも持ち、現在も持ち、当然の権利として持つ必要があるのである」。これに対して、植民地の住民たちは、異議を唱えたのである。(後略)」
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- アメリカ合衆国 (253 9版)
- 参考資料
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- 紀平/英作?編. アメリカ史 上. 山川出版社, 2019.7【253.01/2019.7/1】:
- 和田/光弘?著. 植民地から建国へ. 岩波書店, 2019.4【253/2019.4/1】:
- ニーアル・ファーガソン?著 山本/文史?訳. 大英帝国の歴史 上. 中央公論新社, 2018.6【233.05/2018.6/1】:
- キーワード
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- フレンチインディアン戦争
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- その他
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000344969