レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2023年05月23日
- 登録日時
- 2023/12/10 10:44
- 更新日時
- 2024/02/05 14:45
- 管理番号
- 中央-1-0021686
- 質問
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解決
『梁塵秘抄』の原本・原典が見たい。
書道の参考としたいので、毛筆で書かれているものを見たい。
- 回答
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『梁塵秘抄』のうち現代にまで伝わっているのは4種のみで、いずれも写本の形で残っているが、重要文化財に指定されているため現存している『梁塵秘抄』そのものを図書館に取り寄せて閲覧することはできない。
そのため回答プロセス内の〇印をつけた、『梁塵秘抄』をデジタルデータで閲覧できるものと、『梁塵秘抄』の一部分を写真で掲載している資料を紹介した。
- 回答プロセス
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●『梁塵秘抄』(りょうじんひしょう)の概要について辞典類で調べる。
・『国史大辞典 14 や-わ』国史大辞典編集委員会/編 吉川弘文館 1993年
歌謡集。後白河天皇撰。全二十巻のうち、巻一巻頭の断簡と巻二全体および口伝集巻一巻頭の断簡と口伝集巻十全体が現存する。歌謡集十巻と口伝集十巻から成っていたと推定される。
そもそも梁塵秘抄の原本で、現存するのは以下のもののみ。
歌謡集:巻1断簡、巻2全体(全10巻中)
口伝集:巻1断簡、巻10全体(全10巻中)
現存しているものについて
・『梁塵秘抄 新潮日本古典集成』榎克朗/校注 新潮社 1979年
p276 梁塵秘抄の伝存について次の記述あり。
「(イ)梁塵秘抄巻一(断簡)
(ウ)梁塵秘抄巻二
(ハ)梁塵秘抄口伝集巻一(断簡)
(ニ)梁塵秘抄口伝集巻十
(中略)ところが、明治四十四年の秋、歴史学者和田英松が東京下谷の古本屋で(ロ)の写本を発見し、歌人にして国文学者なる佐佐木信綱がこれを
研究した結果、かの幻の大著の一部分に相違ないことが判明した。引きつづいて、雅楽の名門綾小路家から(イ)と(ハ)が出現したが、この(イ)
と(ハ)は一連の古文書で、断簡と称せられてはいるが、写しざまから見て、残欠ではなく、『秘抄』全体の見本として作成されたと推量されるもの
である。」
●デジタルデータで閲覧できるものを調べる(最終確認日はすべて2023.12.10)
〇「梁塵秘抄口伝集 巻十断簡 伝冷泉為相筆」國學院大學図書館デジタルライブラリー
(https://opac.kokugakuin.ac.jp/digital/diglib/ryoujinhisyu-1869/ryoujinhisyu-1869_04.html)
〇『梁塵秘抄口伝集』後白河天皇[他]/著 国立国会図書館デジタルコレクション(ログインなしで閲覧可能)
(https://dl.ndl.go.jp/pid/2541994)
〇『梁塵秘抄口伝集 巻12』 国立国会図書館デジタルコレクション(ログインなしで閲覧可能)
( https://dl.ndl.go.jp/pid/2540723)
・国立公文書館デジタルアーカイブ(https://www.digital.archives.go.jp/)
「梁塵秘抄」で検索すると15件ヒット。うち、画像閲覧できるのは12件
〇『梁塵秘抄』(https://www.digital.archives.go.jp/file/1232534.html)
●「梁塵秘抄」の本に原本が一部でもいいから写真で載ってないか調べる
○『書道全集 第18卷 日本 平安 5、鎌倉 1』平凡社 1954年
p79「梁塵秘抄切」(治承3年(1179)頃)の一部写真(モノクロ)
p198「梁塵秘抄切」の解説
○『国宝・重要文化財大全 7 書跡 上巻』毎日新聞社 1998年
p290「梁塵秘抄口伝集巻第十残巻」(鎌倉時代中期書写)の一部写真(モノクロ)
p291「梁塵秘抄巻第一梁塵秘抄口伝集巻第一残巻」(室町時代中期の古写本)の一部写真(モノクロ)
×B911.63『梁塵秘抄』後白河院/[撰] 植木朝子/編 角川学芸出版 2009年
×911.63『梁塵秘抄』西郷信綱/著 筑摩書房 1979年
×911.63『梁塵秘抄 信仰と愛欲の歌謡』秦恒平/著 日本放送出版協会 1979年
×911.63『梁塵秘抄うたの旅』桃山晴衣/著 青土社 2007年
×B911.63『梁塵秘抄口伝集』馬場光子/全訳注 講談社 2010年
×911.63『梁塵秘抄漂游』尾崎左永子/著 紅書房 1994年
×918『新編日本古典文学全集 42』小学館 2000年
×918『日本の古典 完訳 34』小学館 1988年
×918.3『新日本古典文学大系 56』佐竹昭広/[ほか]編集委員 岩波書店 1993年
△918.3『日本古典文学大系 73』岩波書店 1978年
口絵に「梁塵秘抄口伝集巻第一」の一部モノクロ写真あり(綾小路本(天理図書館所蔵))
○『梁塵秘抄』西郷信綱/著 筑摩書房 2004年
目次の次に「梁塵秘抄原本(和田本)」という注を付けて、原本一部のモノクロ写真あり。
「あそひをせんとや~」が含まれている箇所。
○『日本古典文学全集 25』小学館 1977年
p12「梁塵秘抄 巻第一断簡 綾小路家本 奈良・天理図書館蔵」と「梁塵秘抄 巻第二奈良・天理図書館蔵」のカラー写真あり。どちらも一部のみ。
注釈によると、巻第一(綾小路家本)は室町時代の写しで、消息文の紙背に書写されたもの。巻第二(竹柏園本)は二冊の袋綴じの冊子本で江戸時代末期の書写とのこと。
- 事前調査事項
- NDC
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- 書.書道 (728)
- 詩歌 (911)
- 参考資料
- キーワード
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- 梁塵秘抄
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000343230