レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2015年10月22日
- 登録日時
- 2015/10/27 11:24
- 更新日時
- 2021/03/12 09:25
- 管理番号
- 20151044
- 質問
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解決
秀郷流藤原氏で 佐藤氏の祖になった佐藤公清、資(助)清について知りたい。山内首藤氏の祖にあたる。
- 回答
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◆『伝説の将軍 藤原秀郷』(野口実 吉川弘文館)の記載が最も良くまとまっていたので以下に引用します。
P87~
「この公光の子公清は、寛徳二年(1045)に、未給となっていた長久元年(1040)の内給によって右兵衛少尉に任官し(『除目大成抄』第六)、治暦四年(1068)十一月二十一日の大嘗会叙位の際に従五位下に除せられている(『本朝世紀』)。この時、公清はすでに検非違使であり、『水左記』永保元年(1081)十月十四日条に「左衛門大夫公清」と見えることから、彼は父の公清と同様に兵衛尉から衛門尉に進み、ついで検非違使の宣旨を賜り、さらに五位(大夫)に除されたものと見える。
ところでこの公清は、彼の子の季清の願文に「伊豆守公成」とあるので、その後受領に任じ、また同じ頃に改名したものと思われる」
P128~
「…佐藤公清(公成)には資清(助清)という融子があった。この資清が首藤氏の祖である。彼の出自については、『山内首藤氏系図』(大日本古文書『山内首藤家文書』所収)に冷泉朝の左大臣藤原師尹の血を引くというように記されているが、この説に即して検討すると不合理な点が多く、ここでは本姓守部氏の助清が佐藤公清の融子になったとする『尊卑分脈』に従っておきたい。師尹の流れをくむとする『山内首藤氏系図』にしても、資清は美濃国席田(むしろた)郡司大和介守部資信から所領を譲られて、その養子になったとしているので、守部氏の出身であることは間違いない。
資清がどのような事情から公清の融子になったのかは明らかでないが、秀郷流藤原氏の嫡流として声望の高い公清の子になることは、武士として身を立てていく上で好都合であったことは確かである」
◆他にも野口実氏は『坂東武士団と鎌倉』(戎光祥出版 P132~)、『坂東武士団の成立と発展』(戎光祥出版 P179~)で山内首藤氏について考察しており、公清、資清の名前も出てきます。
◆『鎌倉の豪族Ⅰ』(鎌倉春秋社 P141~)も同じ野口氏の著作ですが、内容は上記の引用とほぼ同じです。
◆一方、『鎌倉御家人の系譜/山内首藤氏の周辺』(山内利三 爽風社)では、山内氏の系図を考察して、「尊卑分脈」の系図と「続群書類従本」の系図はそれぞれが成立できるとし、その根拠として、
P15~
「『続群書類従本』の通家の条に、「通家は従五位下、上野介・下野守。秀郷将軍五代の孫相模守公光の子となり、武士となった」とある。
つまり、『続群書類従本』及び『師尹流系図』は、通家を山内氏の生家にかけ、『尊卑分脈』秀郷流系図は養子先にかけているのである。そうなると、二つの系図が通家と公清を境に、名前の異同はあるものの、内容的に一致するのも納得できる。
通家養子説に従うなら公光の子公清は通家その人でなければならない。公清とは公光養子としての通家の改名だったのである」
と述べています。
◆国立国会図書館に『山内首藤氏史料』(前田泰男編 書誌ID:00001209617)
があり、デジタル公開されています。
◆他に東京大学資料編纂所のデータベース検索で、『大日本史料』を検索し、また、CiNii(学術情報ナビゲータ[サイニィ])から論文等を探しましたが、手がかりらしいものは見つけられませんでした。
- 回答プロセス
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①国史大辞典等で確認
②国史大辞典に掲載されている参考資料にあたる。
③山内首藤氏、秀郷流藤原氏について書かれている本にあたる。
④公清、資清、助清で、東京大学史料編纂所のデータベース検索
⑤Ciniiで論文も探してみる。
⑥国会図書館で検索。『山内首藤氏史料』がデジタルで見られることが分かったので見てみる。
⑦ネットで検索。
- 事前調査事項
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『尊卑分脈』や『群書類従』はもう見たので、それ以外で何か。
- NDC
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- 日本史 (210 8版)
- 個人伝記 (289 8版)
- 参考資料
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- 『国史大辞典 14』 国史大辞典編集委員会/編 吉川弘文館 1993年 210.033 4-642-00514-5 山内首藤氏
- 『国史大辞典 6』 国史大辞典編集委員会/編 吉川弘文館 1985年 210.033 佐藤氏 , ISBN 4-642-00506-4
- 『伝説の将軍藤原秀郷』 野口実/著 吉川弘文館 2001年 2891 P87,P128~ , ISBN 4-642-07779-0
- 『鎌倉の豪族 1』 野口実/著 かまくら春秋社 1983年 21042 P40,P141~
- 『鎌倉御家人の系譜』 山内利三/著 爽風社 1999年 210.4 P14
- 『続 史籍集覧 第4冊』 近藤 瓶城 臨川書店 1984年 081 P256
- 『坂東武士団の成立と発展』 野口実/著 戎光祥出版 2013年 210.36 P178~ , ISBN 978-4-86403-096-0
- 『坂東武士団と鎌倉』 野口実/著 戎光祥出版 2013年 210.42 P132~ , ISBN 978-4-86403-078-6
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国立国会図書館デジタル化資料 山内首藤氏史料 第1巻
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1708326 (2015年10月24日確認)
- キーワード
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- 藤原氏
- 秀郷流藤原氏
- 佐藤氏
- 山内首藤氏 やまのうち すどう し
- 佐藤公清 さとう きんきよ
- 佐藤助清 さとう すけきよ
- 首藤資清 すどう すけきよ
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000182955