レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2023年11月07日
- 登録日時
- 2023/11/07 15:30
- 更新日時
- 2023/11/18 22:35
- 管理番号
- 県立長野-23-118
- 質問
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未解決
長野県上田市に住んでいた祖父が、生前「関東大震災の時、東京の方の空が赤かった」と言っていたのだが、本当に関東大震災の火事は上田市から見えたのか。
- 回答
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当館契約の「信濃毎日新聞データベース」で、関東大震災発災日の9月1日から1週間の紙面を確認したところ、次の記事が見つかった。
上田からではないが「東の空が赤い」という状況は、少なくとも軽井沢駅及び高崎市からは確認できたようだ。
なお、東京の火災は9月3日朝まで続いている。
・「震災強行踏査1 軽井澤から向ふは一面の火の海」大正12年9月2日 別刷特集面
記事の中に「被害地に急行した記者は一日午後八時半軽井澤駅着 遠く東天を眺れば関東平野は紅蓮の
如き火炎天に沖し」とある。
・「震災強行踏査4 満天皆な火 高崎にて」大正12年9月2日 別刷特集面
記事の中に「午後十時五十三分も弱震があった当市より東方の天を望めば噴火の火炎の所へ火災の猛炎横様に
棚引き月明の空に一種言ふべからざる物凄さを示して居る」とある。
当館が所蔵する『長野新聞』の大正12年9月2日から1週間の紙面も確認したが、質問に関連する内容の記事は見あたらなかった。
- 回答プロセス
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1.関東大震災もしくは東京大空襲であるかもしれない、との質問者からの情報から、まず当時の新聞記事をデータベースで確認し、回答の記事を見つける。
2.実際に、東京方面の火災が長野県上田市で見えたとは考えにくく、気象現象である可能性を考え、インターネットで「空 赤い」「現象」などのキーワードで検索すると、「散乱」と呼ばれる現象の記事が見つかる。
『日本十進分類法』相関索引で「散乱」を検索すると、<425.4/光学>であることがわかり、自館書架を<451/気象学>と併せて確認する。
3.『キーワード気象の事典』新田尚ほか編 朝倉書店 2002【450.03/ニタ】p.49などによると、空が青く見えたり夕日が赤く見える現象のことを「レイリー散乱」と言い、これは太陽の波長と比べ十分に小さい空気分子による散乱であり、任意の球形粒子による散乱を「ミー散乱」と呼ばれている旨の記述がある。
また、『天気と気象大図鑑』荒木健太郎監修 ニュートンブレス 2021【451/テン】p.42-45にも比較的わかりやすい説明がある。
海外事例で、2020年のカリフォルニアの山火事で300キロ以上離れたサンフランシスコの空を赤く染めたことが、以下のサイトで確認できた。
「サンフランシスコを覆う不気味な赤い空 カリフォルニアで過去最大規模の山火事」
『ニューズウィーク日本語版(ウェブ版』2020年9月15日
「まるで「世界の終わり」…山火事の煙がアメリカ西海岸の空を不気味なオレンジに染めた」
『BUSINESS INSIDER JAPAN』2020年9月10日
<最終確認:2023/11/7>
- 事前調査事項
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『上田市誌 近現代編7 上田市民のくらしと戦争』上田市誌編さん委員会編 上田市 2000
『海野町史』中沢好冨著 海野町商店街振興組合 1978
『神科村誌』神科村誌編集委員会編 神科村誌刊行会 1968
『川西村のあゆみ』川西村のあゆみ編集委員会編 川西村 1973
- NDC
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- 日本 (291)
- 気象学 (451)
- 光学 (425)
- 参考資料
- キーワード
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- 関東大震災
- 上田市
- 空
- 散乱
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000340744