レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2024年01月31日
- 登録日時
- 2024/03/17 00:30
- 更新日時
- 2024/03/17 00:30
- 管理番号
- 7123009862
- 質問
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解決
桑津環濠集落について知りたい。
- 回答
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「環濠集落」とは、『国史大辞典』(資料(1))によると、村落全体を壕や堀で囲んだ集落で、室町・鎌倉時代の中世において、大和(奈良県)や摂河泉(摂津国・河内国・和泉国)の平野部に多く存在しました。「桑津環濠集落」の跡は大阪市東住吉区三丁目にあります。
東住吉区のホームページ( https://www.city.osaka.lg.jp/higashisumiyoshi/page/0000033846.html )の東住吉100物語「030桑津環濠(かんごう)集落」(資料(2))の項に、
「桑津の場合、(中略)四周を水濠に囲まれ、竹薮で一部囲まれていました(古老の話)。 外周の濠の東南部に2カ所、金蓮寺東側に2カ所、それぞれ少しづつ離れて濠が広くなって池となっていました。外部に通じる道路としては北に2カ所、南に1カ所、西に1カ所の計4カ所だけで、現在でもその地名として桑津北口・桑津南口などが残っています。(中略) 桑津環濠集落は昭和はじめ頃まで、およそ400年間続いていました。今では、濠はうめられて道路に変わりましたが、細くて曲がりくねった道や、木戸口にまつられていた地蔵尊は今も残され、往時を偲ばせています」とあります。
「桑津環濠集落」について記述のあった資料を以下のとおりご紹介します。
(1)『国史大辞典 3』(国史大辞典編集委員会/編 吉川弘文館 1983.2)
p.810「かんごうしゅうらく 環濠集落」の項があります。
(3) 国立国会図書館デジタルコレクション『大阪の歴史』1983年4月号・9号(大阪市史編纂所/編集 大阪市史料調査会 1983.4)(図書館・個人送信限定) <当館書誌ID:5100000973 >
https://dl.ndl.go.jp/pid/7953341/1/61 (2024.3.7確認)
p.117-121(コマ番号61-64)「明治期地籍図にみる桑津環濠集落」のうち、p.118(コマ番号62)では、明治17年に製図された『大阪府管下摂津国住吉郡桑津村地籍編成総図』という桑津村の地籍図を手がかりに、桑津環濠集落の形を復元した図を確認できます。p.121(コマ番号64)には、「桑津は(中略)、「環濠の形が……各所に折があり、特に入口の脇に折があって横矢掛かりになっている」「環濠の内側に土塁がめぐる」「集落内の道が見通しを妨げる丁字路や袋小路になっている」(中略)、軍事的自衛を重視した中世の環濠集落の特徴がよくあらわれているといえる。」とあります。
(4) 『大阪府中世城館事典』(中西 裕樹/著 戎光祥出版 2015.8)
p.138-143「46平野環濠都市 47喜連環濠集落 48桑津環濠集落」の項に、「桑津環濠集落は明確な遺構は残らないものの、絵図などにみられる集落の構造が現在の地割や地形にとどまる。(中略)桑津環濠集落は平野環濠都市の北西約二キロにあたる上町台地の東縁に位置し、同じ台地上の中世都市・天王寺と平野の中間に位置し、竜田越奈良街道が集落の北を通過していた。(中略)東西約二〇〇×南北三〇〇メートルの規模であり、(中略)集落の周囲には竹藪があり、大正十五年(一九二六)年写の地籍図では同じ場所が山とされるため土塁であったと考えられている。環濠には折れがみられ、集落には北・西・南の三ヶ所に口があった。」とあります。「桑津環濠集落の北口」の写真も掲載されています。
(5) 『桑津郷土史 [第2集]』(桑津郷土史研究会 1993)
p.22-25「桑津村環濠集落」の項があり、前掲の東住吉区のホームページと同様の記述とともに、年代は不明ですが、桑津環濠集落の地図と北・西・南の口や、見通しのできない四つ辻等の写真が掲載されています。
(6) 『桑津郷土史 [第2集]』(桑津郷土史研究会 1993)
口絵「宝暦十二年時代の桑津村古地図」があり環濠が確認できます。
(7)『大阪市公報』5861(大阪市 2018) (インターネット公開)<当館書誌ID:5114832379 >
https://dl.ndl.go.jp/pid/11481019 (2024.3.7確認)
p10-12「大阪市告示第348号」の項のうち、p.11に東住吉区の都市景観資源として登録されたなかに、「桑津環濠集落」があり、所在地「東住吉区桑津3丁目」との記述があります。
(8) 国立国会図書館デジタルコレクション『東住吉区史』 (川端 直正/編 東住吉区創設一五周年四カ村編入三周年記念事業委員会 1961)(図書館・個人送信限定) <当館書誌ID:0000301758 >
https://dl.ndl.go.jp/pid/3026655/1/54 (2024.3.7確認)
p.58「環濠部落」
(9)『わたしたちの桑津 :改定版』 (大阪市立桑津小学校 2001.3)
p.104-105「(5)桑津環濠集落」
- 回答プロセス
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1.商用データベース「JapanKnowledge」をキーワード“環濠集落”で検索、資料(1)が見つかる。
2.東住吉区ホームページの「東住吉100物語」の「川・堀(環濠)・橋」の項を確認、資料(2)が見つかる。
3.国立国会図書館サーチを、キーワード“桑津環濠集落”で検索、資料(3)、資料(4)が見つかる。
4.国立国会図書館デジタルコレクションを、キーワード“桑津環濠集落”で検索、資料(7)が見つかる。
5.東住吉区関連の書架を確認、資料(5)、資料(6)、資料(8)、資料(9)が見つかる。
- 事前調査事項
- NDC
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- 近畿地方 (216 9版)
- 参考資料
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- 当館書誌ID <0000166994> 国史大辞典 3 か 国史大辞典編集委員会/編 吉川弘文館 1983.2 9784642005036 資料(1)
- 当館書誌ID <0013568871> 大阪府中世城館事典(図説日本の城郭シリーズ 2) 中西 裕樹/著 戎光祥出版 2015.8 978-4-86403-171-4 資料(3)
- 当館書誌ID <0070096805> 桑津郷土史 [第2集] 桑津郷土史研究会 1993 資料(5)
- 当館書誌ID <0000371010> 桑津郷土史 桑津郷土史研究会 1982 資料(6)
- 当館書誌ID <0000301758> 東住吉区史 川端 直正/編 東住吉区創設一五周年四カ村編入三周年記念事業委員会 1961 資料(8)
- 当館書誌ID <0011366231> わたしたちの桑津 :改定版 大阪市立桑津小学校 2001.3 資料(9)
- 国立国会図書館デジタルコレクション『大阪の歴史』(9) (大阪市史編纂所 編 大阪市史料調査会 1983.4)(図書館・個人送信限定) https://dl.ndl.go.jp/pid/7953341 (2024.3.7確認)資料(4)
- 国立国会図書館デジタル『大阪市公報 (5861)』(大阪市)(インターネット公開) https://dl.ndl.go.jp/pid/11481019 (2024.3.7確認)資料(7)
- 東住吉区ホームページ:東住吉100物語:川・堀(環濠)・橋:030 桑津環濠(かんごう)集落 https://www.city.osaka.lg.jp/higashisumiyoshi/page/0000033846.html (2024.3.7確認)資料(2)
- キーワード
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- 大阪府大阪市東住吉区
- 桑津
- 環濠集落
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000347562